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2014年04月25日

ケガが相次ぐ日本代表、ザック監督の判断に注目

 日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督は、「またか……」とため息をこぼしたに違いありません。日本代表選手のケガが相次いでいるからです。キャプテンの長谷部誠、右サイドバックの内田篤人、センターバックの吉田麻也に続いて、本田圭佑と今野泰幸も負傷してしまいました。
本田と今野は軽傷ということで、早い段階で復帰できるとのことです。ただ、チームをあずかる監督からすると、落ち着いているのが難しいかもしれません。

 ブラジル・ワールドカップに出場するメンバーを、日本代表は5月12日に発表します。あと一カ月となった段階で、ザッケローニ監督の構想はどれぐらい固まっているのか。
2002年の日韓ワールドカップでコーチを務めた私の経験に照らすと、少なくとも18人、おそらく20人は決まっていると思います。この段階でそれぐらい決まっていなければ、それだけ不確定要素が多いことになります。つまりは序列が決まっていない、戦略が定まっていないわけで、決していい状態ではありません。

 過日、日本国内でプレーしている選手たちを集めて、ザッケローニ監督はトレーニングキャンプを行ないました。メディアは「サプライズ選出はあるのか?」と沸き立ちましたが、このキャンプは残り3人、ないしは5人を決定するための情報収集の場だったと理解するべきです。サプライズ選出を否定はしませんが、サプライズに満ちた発表になることはないでしょう。

 私が気にしているのは、22番目、23番目に誰を選ぶのか、ということです。
ゲームに先発するのは11人で、途中出場できるのは3人です。試合の状況によって交代選手のセレクトは変わってきますが、だとしても交代のカードとなりうるのは5,6人でしょう。1チームは23人で構成されますが、よほどの緊急事態がないかぎりゲームに絡まない選手が出てきます。それが、22番目、23番目の選手です。

 日本人はグループで仕事をするのが得意です。一致団結した際に生まれるエネルギーの大きさを、私は何度も目撃してきました。10代の選手たちでも、「コイツら、こんなにすごいことができるのか」と驚かされたことがあります。

 国内トップの日本代表では、少しばかり状況が変わってきます。国を代表して選ばれるほどの選手ですから、それぞれに実力があり、プライドもあります。誰もが負けず嫌いで、「監督、オレを使ってくれ」という思いを抱いています。しかし、実際に先発できるのは11人で、交代できるのは3人しかない。9人の選手は、ゲームに絡めないまま試合終了のホイッスルを聞くことになります。
自分がピッチに立てなければ、選手は悔しさを募らせます。ただ、各自が抱く悔しさが負のエネルギーになってはいけません。「試合に出られなくも、チームのためにできることを一生懸命やろう」という雰囲気が大切で、それは監督やコーチが「お前もチームに貢献しろ」と言ってもムリです。上司が部下に残業を押しつけるような状況になってしまうからです。

 監督やコーチではなく同じ立場の選手が「一緒に頑張ろうぜ」と言うと、まったく違う空気が生まれます。発言者が経験豊富なベテランならば、「あんなに実績のある人が、控えでも腐らずにやっているんだ。自分もやらなきゃいけないな」という気持ちをチームメイトに抱かせます。
私がコーチを務めた2002年のチームでは、中山雅史と秋田豊のベテランがまとめ役を果たしてくれました。私が「ちょっと頼むよ」と言うと、彼らはそれだけでこちらの意図を理解し、試合に出られない選手たちに声をかけたりしてくれたのです。

 ザッケローニ監督はイタリア人です。サッカーが文化として根付いてきた国で仕事をしてきた彼が、集団で力を発揮する日本人の特質を理解できているのか。
メンバー発表まで1か月を切ったこの時期に必要なのは、ケガ人の見極めだけではありません。22番目、23番目でもチームに貢献できる人材を捜し当てることなのです。そして、これまでの4年間で、すでにその作業は済んでいなければなりません。

山本昌邦

山本昌邦

山本昌邦やまもとまさくに

NHKサッカー解説者

1995年のワールドユース日本代表コーチ就任以降10数年に渡って、日本代表の各世代の監督およびコーチを歴任し、名実ともに日本のサッカー界を牽引してきた山本氏。山本氏の指導のもと、成長をとげた選手達は軒…

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