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2005年08月10日

選手から教わったこと

昨年7月より、フジテレビ及びその系列局で企画される『春の高校バレーコーチングキャラバン』という企画で広島県の広島市立広島商業高校に派遣コーチとして、毎年3月に行なわれる全国大会(通称:春高バレー)に出場させる為、8ヶ月間月に3~4回チーム指導にあたった。私の監督経験の中で始めての女子チームである。今では、私が企画している『寺廻塾』で女子チームを何チームか数時間教えたことはあるが、これだけの長丁場で教えるのはもちろん今回が始めてである。

最初にテレビ局の方とチームに挨拶に行ったときに感じた第1印象は、このチームで本当に春高バレーに出場させることが出来るのかという不安だった。何せ今の全国大会に出場するチームは、平均身長が170cm以上というチームが多々ある中で、このチームは165cmもないのである。

私がまず始めにこのチームに課した課題は、まずガンガンと力で相手チームを崩すことは不可能なので、ディフェンス面を鍛えることにした。バレーボールは、コートにボールが落ちた時点で相手チームのポイントとなるため、とにかくボールをコート上に落とさず、相手チームの集中力を欠けさせミスを誘う作戦である。幸い私には、アメリカを始めとするイタリア、フランス、韓国など様々な国でコーチング経験があるため、ディフェンスに関しては、自信があった。

広島市立商業の太田監督は、私のディフェンスシステムを深く理解して下さったので、チームに合流する度に急激に選手達は成長していった。ディフェンスシステムがだいぶ形になってきたので、次は私の18番『リードブロック』の伝授、そしてセッター、エースポジションを務める選手へと、次々私の出来る限りの知識を教えていった。

秋の季節も過ぎ正月も越し、いよいよ『春高』予選まであと2ヶ月をきった。その頃チームは、今まで一度も勝ったことがないチームに大差をつけて勝つ様になり、広島県内でもトップ4に入る実力を選手達はつけていた。かなりの急向上のため選手達は自信をつけてはいるが、自分達の強さにまだ気づいていない状況である。

そしていよいよ、『春高』バレーの予選の時期が近づいてきた。選手達は私が伝授した技術を習得し一戦一戦大事に戦っていき、いよいよ準決勝である。ここまでくるとさすがに選手達にも緊張している表情も見られた。試合は準決勝までの特別ルールとして2セット先取したチームが勝利するわけだが、1セット目を落とし2セット目も24-20(25点先に得点した方が勝ち)と絶体絶命のピンチを向える。私は正直このチームがここまで成長した事だけでも満足していたので、負けてもきっと満足できるだろうと半ば諦めていた。

しかし、選手達は違った。ここから大逆転をし、2・3セットを取り見事決勝進出を決めたのである。私は負けを覚悟し諦めていた自分を本当に情けなく思った。私は常日頃選手に言い伝えていた「最後まで絶対に諦めるな」という言葉を、この時は私が最初に諦めていたのである。

決勝は接戦の末惜しくも敗退してしまったが、選手達からこの8ヶ月間たくさんの事を、私が逆に教えられた。中には私が少し強い口調で叱ると涙する選手もいたが、非常に良い経験をさせて貰った。本当に今でも感謝している。

そして私は、現在Vリーグ女子のJTマーヴェラスの監督に就任した。現場に戻りたいと願ってから5年が経ったわけだが、広島市立商業の選手に教わったことを、このトップチームでも活かし、今シーズン優勝に導けるよう「最後まで諦めない心を持って」頑張ります。今後も応援宜しくお願い致します。

寺廻太

寺廻太

寺廻太てらまわりふとし

PFUブルーキャッツ監督

元全日本男子バレーボール監督、韓国バレーボールプロリーグ プロコーチ。国内では男女両方の監督を務めるなど、コーチとして高いスキルを持つ。男子ではNECブルーロケッツ、女子ではJTマーヴェラスといずれも…

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