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2016年02月05日

子供の命を救えるように

 目と耳を疑うような事件が相次いで起こっています。私はどうしてもこの現状が許せなくて。今回テーマに取り上げさせて下さい。

 その報道される現実を聞いて想像するだけで、もう身震いなのか身悶えなのか・・・。とにかくいても立ってもいられないような気分でおります。皆さんは、児童虐待、幼児虐待についてどのような見解を持っていらっしゃるでしょうか?今すぐにでも意見を交わさせて頂きたいところです。子供に関わる福祉や行政、警察だけでなく、緊急的に子供に関わる当事者ではない方々もできるだけ大勢を巻き込み核心に迫る議論をすべき問題ではないかと思っています。

 『顔に熱湯。火傷を放置』・・・『次、何する?LINEで相談』・・・『手を縛る』・・・『ガンを飛ばしたから』・・・『かかと落とし』。驚愕です。戦慄です。私自身の子供がちょうどこれらの事件の被害者と同世代ということもあるせいか感情移入しすぎているのかもしれませんが、どんなに痛かっただろう、どんなに怖かっただろうと思うと、そうした親たちにとてつもない憎悪感情が湧きます。なのに子供は、それでもお父さんとお母さんのことが大好き。唯一頼れるところが、暴行している本人だとは悲しすぎる現実です。

 私が出演させて頂いている番組で心理学者の方が事件の背景などの分析をされお話を伺ったのですが、傾向として多いと言われるのが、女性側が子連れのシングルで、内縁の夫がその家庭に迎えられるという家族形態において虐待件数が多くなるということがこれまでのデータとして見えてきているそうです。このパターンの家庭でなくとも、過去自分自身が親から虐待を受けていてその連鎖を断ち切れないということもあるそうですが、まず前述したケースで虐待がなぜ多くなるのか、伺ったお話をまとめます。女性側は内縁の夫となる男性と知り合う前は、しっかりと母性があり子供を可愛がって生活をしていますが、そこに男性が入ってくると、男性は子供よりも自分を優先しろという主張をし、苛立ちの矛先を子供に向かわせ手が出るようになり、女性側も男性の機嫌を損ねないように、嫌われないように、いずれはその虐待に加担、協力するようになってしまうというのです。母性よりも女性としての本能を優先していってしまうということなのです。

 昨今言われているのは、福祉事務所、児童相談所の方々のさらなる権限強化と人手不足の問題。プライベートに深く関わることなのでどこまで立ち入ることができるのかという線引きが難しい上、動いてあげたくとも人的確保が乏しく見回りがし切れないという課題を聞きます。制度を変えるのにハードルはあるかもしれませんが、私個人の考えとしては、児童相談所だけでなく民間やNPOの子供に関わる事業を展開されているところにも、ある程度の執行権限を持てるような基準や条例を設け、地域の家族構成の調査・把握や、必要であれば立ち入り、訪問、できるようになることが子供の命をできるだけ多く救えるようになるのではと思います。虐待ホットラインなど相談窓口も、今は児童相談所のスタッフの方が兼任で担って頂いていますが、そこに民間やNPOの方々が専任で入って頂くだけでももう少し負担軽減になるのではないでしょうか。

 私の住む三重での取り組みを聞くと、他の地域よりも1歩踏み込んだ取り組みが始まっているようです。以前、三重でも子供の虐待死事件が起こりました。それ以後、条例を強化し、3つの項目に当てはまる子供の姿を確認すれば、すぐに一時保護の措置を取れるようになっているとのことです。虐待の認定の有無よりも、まず命の確保ということを優先しての取り組みです。しかし、一時保護の行政執行をされた側の保護者から激しい抵抗も起こることがあるので、かなりの覚悟と責任感が現場には必要であるということを伺いました。賛否両論分かれるところではあると思いますが、3年前の三重の虐待死事件以降、児童、幼児、乳児の虐待死は未然に防げているということです。また、一時保護をしたのちの、子供と家族との統合にも、最新の注意を払いながら進めていく取組みもなされているようです。これについても、相当数の人手の確保が必要となり、民間やNPOの方々の協力が期待されるそうです。

 ここ最近の事件は、ほんの氷山の一角であり、知れば知るほど、調べれば調べるほど、実は問題を抱えている家庭はあると思います。子は宝。少しでもこの取り組みが全国的に前進していくことを私は願っています。

武田美保

武田美保

武田美保たけだみほ

アテネ五輪 シンクロナイズドスイミング 銀メダリスト

アテネ五輪で、立花美哉さんとのデュエットで銀メダルを獲得。また、2001年の世界選手権では金メダルを獲得し、世界の頂点に。オリンピック三大会連続出場し、5つのメダルを獲得。夏季五輪において日本女子歴代…

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