2014年10月01日

指導者が変われば、結果は変わる

仁川でアジア大会が開催されていましたが、今大会の日本代表団は2020年の東京オリンピックを視野に入れた強化が各競技着々と進んでいることがうかがえる素晴らしい成績でしたね。柔道、競泳、フェンシング、レスリング、体操などなど。私個人としてはなんと言ってもシンクロのあの井村監督が日本代表監督に復帰されてから初めてのビッグイベントということもあって、いやおうなしに出身競技に注目をしてしまった訳ですが、結論から言いますと、『日本シンクロ復活』と言っていいのではないでしょうか。

 

昨年からと比較して、明らかに体のキレが違いますし、列の並びや、動作の一つ一つが非常にクリアです。日本シンクロの信条としていたこの辺りの部分がまた再び見られたような気がして大変嬉しく思いました。しかし、大会後に井村監督や選手自身が話していらっしゃったように、完成まではまだ半ばというところ。課題はまだまだありながらも、その課題の克服までの行程表は描けている!といったそんな自信や手応えも感じられたので、私としては頼もしい限りです。

 

今回はこの日本のシンクロ界復活の兆しに端を発するテーマです。選手は指導者との出会いによってこれまでの競技力が飛躍的に伸びるということはよく聞くことですが、では今までと何が違って選手は能力を覚醒させるのでしょうか?それを私なりに考えてみようと思うのです。

 

最近特にそんな話題が出てきていたと思います。例えば、全米オープンテニスで準優勝を飾ったテニスの錦織選手。元々の類稀れな才能を、同じアジア人で小柄で、プレースタイルが似ているマイケル・チャンコーチとの出会いによってさらに引き出され、いまや世界一を狙えるトップ中のトップの選手です。錦織選手が嫌がっていた基礎の練習を何度も反復していたという話も聞きました。

 

そしてシンクロの井村監督の話に戻るのですが、10年ぶりに日本代表監督に就任されわずか半年ほどで選手をここまでの動きに仕上げて来られるのは、選手達の心に一体どういう働きかけや力が加わって可能となるのでしょうか?私も長く井村監督の主催クラブの選手として、また井村監督率いる日本代表選手として競技を続けてきましたが、選手の時には気づかずにただ必死について行っていた記憶だけが残っています。そして、事実として残っているのはマイケル・チャンコーチと同様、井村監督の基礎練習は徹底して妥協がなく長時間を割いて取り組んでいました。

 

当時は気づかないまま取り組んでいましたが、この基礎の徹底にははっきりと意図があることが今ならわかる気がします。体の小さな日本人ですが、器用さがあり、精確。これを支えるのは、徹底した基礎練習の積み重ねそのものなのです。これはシンクロ競技のみならず、ものづくり大国日本の強みそのものです。これは先祖から受け継いだDNAと言っていいのかもしれません。井村監督はそれを誰よりも理解し、身体表現においてそれがどう表せるのかをイメージし、しかもその頭の中のイメージ映像(完成品)が世界最高レベルであり、ぼやけていない。ぼやけていないからこそ、目指すべき到達点に対して妥協がなく、強化策が次々と打ち出せるのではないでしょうか。

 

また、選手達は昨年からのウェイトトレーニングのメニューをずいぶんと変えました。体脂肪率を5パーセントほどそぎ落としたと聞いています。体型でさえ表現の一部なのです。井村監督の頭の中には、体の小さな日本人が世界と戦えるダイナミックさを保ちながらも、『美しく、早く、動ける体型』というものが見えていらっしゃるのでしょう。井村監督はゴールイメージに対して一切の妥協がない方です。

 

私も、今、三重で子供達のシンクロ指導をしていることはお話しているかと思いますが、どうしても『前よりよくなった』ということに甘んじてしまって、本当に目指したい映像がいつの間にかぼやけてしまっていることが多々あります。妥協も出てきてしまいます。子供達にもまたステップアップしてもらえるよう、私自身の設定がぶれないようにしなければならないと強く感じました。

 

東京オリンピック前にはリオデジャネイロオリンピックが2年後に控えています。日本シンクロ界、まずはここでメダル圏内に返り咲いて、来るべきその日を迎えることを楽しみにしたいと思います。