2012年02月01日

どんなに厳しい中にいても逞しく突き進める人間に

 今年から活動が2カ月前倒しになった就職戦線。そんな戦線真っ只中にいる主に大学3年生の皆さんにお会いする機会がありました。その会場には一様に黒いスーツに白いシャツ、染め直したばかりだということが伺える黒々とした髪に、少し硬い緊張の面持ちの若者達が。活動時期にいわゆるよくみられる光景です。そしてこの日、超に超がつくほど厳しい就職戦線を皆さんが最後まで乗り切って下さるように、「活動自体を前向きに捉えてくれるようなメッセージ」を贈る講演をさせて頂きました。どこまでそのオーダーに応えられたのかわかりませんが、とにかく今回私なりにお伝えしたかったことを改めて文字にまとめてみようと思います。

 まず、お伝えしたかったのは、2カ月前倒しになった活動時期に戸惑いや不安を感じた方が多かっただろうと思いますが、「人より動き出すタイミングが遅れたのではないか...」とか「前年度までの情報から何が変わって、何が変わっていないのか。自分は情報を取り逃がしてしまっていないだろうか?」など、実際そうであってもそれに対して後悔を感じて自分で不安を煽るのは全く不毛で、とにかく問題点を早急に分析しリカバリーをするのみ、ということです。スタート時期が変わった条件は皆同じなので、自分一人だけが不安ではなく皆同じ気持ちで頑張っていることを忘れずにいてほしいと思います。

 私も選手時代、技術的にライバルが先に進んでいるような気がして、焦りで練習が空回りしてしまい試合でも負けてしまった経験がありますが、結局は自分のやるべきことを自分が理解し、確実に積み上げていくしか上達する方法はないことに気づきました。そこに集中できるようになると、自然と不安は消えていきます。集中し始めた私を見てライバルがどう感じたかはわかりませんが、私はライバルが視界にも入らない程の境地に達すると必ず勝てるというジンクスを自分で作り上げることができるようになりました。

 なんと言っても自分の現状把握が重要です。抱えている問題点、自分が苦手としていること、逆に自分の得意分野などを徹底的に自分が知っていないといけません。ものすごく当たり前のことを言っていますが、なんとなくしか自分のことを把握できていないと、面接されるときやプロフィール記入の際に言葉に力が宿りませんし、これの一番よくないことは、危機感を持てないのです。"危機感"とはネガティブに聞こえるようですが、これは人間の真の原動力になります。本能でそれを回避しようと、潜在的な部分にまで及んで本気の力を出せるようになれるのです。自分に対して「この部分がこんな風に足りない」と細かく具体的なところまで理解度が高まると、よりリアルな危機感を持つことができ、人間はそこで克服のための取り組みに強い集中と執着心を持てます。さらに得意分野や強みをもっと強固にしていこうと前向きな取り組みにも着手できるのです。

 私は今、小学生や中学生にシンクロの指導をしていますが、競技力を上げるためにこんな子供の時期からでも、自分に対する現状把握を促しています。どの種目でもよくやられていることですが、練習ノートに、練習メニューと、今日できたこと、できなかったこと、それを踏まえて次の練習にどう挑めば良いか、などを書いてもらうやり取りをしています。技術的なことから精神的なものまで「この弱点を克服しないと上手くなれないんだ!」と自分で理解することで、本当の成長に繋がります。このノートの中で書かれている内容が、的を得ている選手は、技術も伸びていきます。逆に「この子、あまり今日の練習の目的わかってないなぁ...」という選手の技術の伸びは悪く、比例連動しています。現状把握に繋がる良いツールになりますから、ぜひ一度皆さんもノートや日記を書いてみてください。

就職活動のお話に戻しますが、就職活動期間はエンドレスではありません。特に就職率が厳しい世の中にある学生は、ずっと果てしなく続くゴールの見えない戦いのように思いがちですが、期限が切られています。若い皆さんには是非短いこの期間を完全燃焼して頂きたい。「あれをやっておけばよかった。」「これをやっておけば上手く運んだのに...」ということのないように、ありとあらゆることを想定した準備を、一生に一度の初めての就職、という限られた機会でやり抜いてみませんか?

簡単なことではないのは百も承知ですが、誰よりも本気を出せた人には、必ず人生に生かされる大切な経験値が残るはずだと思います。

私は将来の日本を背負って立つ若い皆さんには本当に思う存分力を発揮して頂きたく、本気で応援したいと思っています。今の日本の国内事情で景気や雇用率が下がってしまっている厳しい現実がありますが、それでもその中を逞しくくぐり抜ける、あるいは新しいジャンルを開拓していくような、そんなバイタリティを持った若者が必要な時代になっています。「それを楽しんでやろうじゃないか!」という気概で頑張ってほしいと思います。