2007年07月01日

「SHANGRILAⅢ」~活躍する人の共通項とは何か?

あまりの発見の多さに、この舞台のことを一度で書ききられていない気がして、前回に引き続きユーミンスペクタクル「SHANGRILAⅢ」についてのお話をしたいと思います。

ショーの規模の大きさが計れる一つの要素として、関わる人の多さが挙げられると思いますが、その通りSHANGRILAⅢにはスタッフ、キャスト合わせて総勢約220人の人々が関わっています。各分野の第一線で活躍されてこられた人々が結集し、それぞれに実力を発揮し、日々その化学変化を続けるSHANGRILAⅢのリハーサルの現場は、とにかく刺激的です。

私はこの舞台で、多くの人々との出会いがありました。そしてその出会いを通して、第一線で活躍している人のある共通項を見つけました。この発見は職種や年齢に関係なく人生をよりよく精力的に生きるためのヒントになると思います。そこで、今回の武田ビジョンのテーマは「活躍する人の共通項とは何か?」として進めていきたいと思います。

一つ目に挙げるとすれば、まずこれです。揃いも揃って皆さん「聞き上手」「話し上手」「質問上手」な方ばかりです。コミュニケーション能力の高さには本当に驚かされました。言い換えれば、よく笑う!よくしゃべる!そして好奇心の塊!なのです。

例えば「聞き上手」の場合。用件を話しかけたときには必ず相手は相槌を打つと思いますが、その表情の明るさと、相手から目を離さず頷く動作が印象に残ります。内容によって笑顔という訳ではないのですが、心を開いて話を聞いてくれているような感じのイメージです。仮に言葉を噛んでしまったり、表現をするのに適当な単語が出てこなくても、萎縮せずに用件を最後まで話し終えられる安心感を相手に与えている気がします。

次に「話し上手」はこんな例が挙げられます。話し方が早口でもゆっくりでも聞き取りやすい言葉であることが必須条件のようです。また話し方が、独特であることも条件に挙げられるでしょうか。それぞれに個性がはっきりと現れているので、特徴が掴みやすく「物真似しやすい」と表現できると思います。もちろん、知識が深く話題も豊富なので内容が面白いことは当たり前という感じです。

最後の「質問上手」は、相手が話しやすいように誘導していくのがとてもスムーズです。話の流れに乗ってスルスルと質問が出てきます。頭の回転が速い方達であるのは間違いありません。巧く人をそのペースの速さに巻き込んで話させるので、こちらもつい饒舌になり話し上手になった気がしてしまう程です。

こんな方達ばかりなので、リハーサルの現場がいかに活気に満ちた雰囲気であるかお分かり頂けると思います。

二つ目にはこれを挙げましょう。前回に「仏、露、英、日の4カ国のスタッフとキャストが集まっているショーである」ということをお話させて頂いたかと思いますが、違いのある言語や文化に関係なく、皆さんとにかく一生懸命です。黙々と仕事や技を磨くことに取り組みます。

今回、共演しているシンクロソロ競技世界水泳3連覇のビルジニー・デデュー(仏)に日本人のイメージを尋ねてみたところ「勤勉である」という言葉があったのですが、私が思うにこのショーに関わる全ての人が勤勉です。才能があるその上に、努力をする天才でもあると思います。

努力は「苦」がつきものですが、皆さんの取り組む姿や表情は苦しそうに見えません。汗をかき、目の下にクマができ、何度も議論を交わしていても、なぜか悟りを開いたお坊様のように穏やかささえ漂います。できるまで諦めずに方法を探り、習得するまでやり続けることで一つの壁を乗り越え、その瞬間「苦」から「楽」に変えることができる喜びを経験上知っているからなのでしょう。

「喜びを味わうために苦しい時間は必要なのだ。」と現状の苦しさを受け止められる強さが顔の表情にもオーラにも表れています。

ご紹介する最後の共通項は、自分の良さや自信を持っているところを自然にアピールできる方達だということです。独自のこだわりの部分をショーの中で反映させる手段として皆さんはこんな方法を取られています。企業などでも企画を通すために「プレゼン」と言われるものをしますが、それに当たります。演出プランや持っている技術を最初に見せるときからかなり完成度を高く持っていくことが秘訣のようです。納得せざるを得ない出来栄えにするとプランの採用率が高くなります。

特に今回の場合は、演出家の松任谷正隆さんがキャストの声を聞いて下さる方だということがあるので、その点についてとても恵まれていますが、そのやりとりを見ていて私は感心しきりでした。松任谷さんが話されるショーのイメージやストーリー自体も「すごい想像力だなぁ...。どこからそんな発想が...。」と引き込まれながら聞くのですが、その瞬間に「自分はこんなことができる。」とか「こんなプランはもっとイメージに合うのではないか?」とプレゼンを開始するのですからそのスピード感に圧倒されました。

人生は一度切りですから、チャンスを掴むためにはためらわずに前へ進み出てプレゼンすることも必要だと思います。その代わり、納得させられるところまで自信を持てる努力と準備がそれ以上に必要になると思いますが、いいものを作るためにはこのスピード感を持てるとまた違ったチャンスに出会えるのではないかと思います。

これを企業や学校に置き換えて考えてみることもできるのではないでしょうか。今もその教育システムは採用されているとは思いますが、新入社員研修や学校教育で、もっとそれぞれが発想の豊かさを養えるプログラムを構築し、スピード感を持ってそれを実現させるプレゼンテーション能力を身につけ、それが日常的にできればいいのではないかと思います。

一歩持ち場を離れたら、陽気でおしゃべりで個性豊かな人の集まりであるSHANGRILAⅢの人々。私はこのツアーの期間中に、自分のパフォーマンスを磨くだけでなく、人としてどう生きていきたいか?を今一度考える大切な時期として過ごそうと決めています。

ここは学びの宝庫です。こんな方々とお仕事ができて、一つでも多くのことを得たいと思います。今回ご紹介したのはまだほんの一部分であり、これからも発見は続くでしょう。また、皆様にも生きるヒントとして新たな発見をお伝えできればと思っています。