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2016年09月20日

大西流モチベーションコントロール法

ラグビーは常に自分よりも強い者たちと戦うことが定説である。誰もが生まれたときからラグビーの能力が備わっているわけではない。小さなころから始めた私も同様、皆最初は大きな人とぶつかることや、ボールの取り合いの怖さに目をつむってプレーをしていた。

そのうち何度かうまくいくと次は薄目を開けてプレーでき、薄目を開くことができると、次には少し前の自分と同じように目をつむってプレーしている人達が見えてくる。

皆同じことなんだと気づくと、次はぱっちりと目を開けプレーできるようになるのである。あとは、目を見開くとボールが落ちているのが見え、人の動きが止まって見えてきたりするのである。

目を見開き少し良いプレーを続けると、次は上のクラスの選手たちの中へ入れられ、少しお山の大将になりかけた自分は、すぐにまた眼をつむってプレーしなくてはならないレベルのプレーヤー達に包まれる。自分が強くなりたい、試合に勝ちたいということはこの果てのない挑戦を繰り返すことなのである。

ラグビーにはミスマッチという言葉がある。30点もの差が開くとその試合を組んだ人自体がミスをしたという意味となる。ラグビーは常に同等の相手または難しい相手、各上の相手に挑戦することが基本的に義務付けられているのである。

個人としても常に上位レベルのプレーヤーに挑戦し、チームとしても強豪相手に挑戦するところがこのゲームの神髄である。初めから勝てる相手と試合をして、弱いものいじめのような形になることは、どちらのチームにも選手にも利益はない。難しい状況であるからこそ、一人では何もできないことを学び、信頼や友情の大切さを学べるのである。

格上と常に戦うということは、自分にはもともと備わっていない、肉体や精神、感情に自分では持てないほどの重いものを載せて走るということになる。積載量が限界を超えると荷崩れや土台が崩れ怪我が起きたり、倦怠感や現実逃避などに包まれるようになる。

いくら才能があってもこの重圧に耐えられなく怪我をする選手は、休んでは復帰の繰り返しとなり、トータルするといくら良い選手とうたわれても、常にグランドにいる人のほうが最後は良い選手となっている場合が多い。長い目で見れば、タフネスは常に才能に勝ると言える。人生のどの局面においても勝利をもたらすのは、遺伝的要素よりも闘争心と戦う能力であることの方が大きい。

いくら大きなものを積んでも、難しいことをやっても崩れない肉体と精神を作りこむことは、どのようなことにおいても志をもって上に挑戦する人には必ず必要となる。

肉体と精神は限界分岐点で繋がっていることを良いレーニングを重ねると知ることができる。逃げ出したくなる体に押され、このきつさはいつまで続くのか?このきつさは何のためにあるのか?ラグビーをなぜ続けなければならないのか?など。心の奥底にいる日ごろ隠しているもう一人の自分の姿が表れるのである。

強くなるということは、こんな葛藤の瞬間を何時間も何日間も続けることとなる。私も大抵のことは行ってきた。一日8時間以上もフィジカルトレーニングを続け、一日に5回も6回も反吐を吐く。筋肉痛は上に、上に重なり続け、自力では布団から出られない日もあった。

それでも逃げ出しそうになる自分を立ち上がらせ、また取り組み続ける毎日を与えてくれたのはトレーナーやコーチの存在であった。当時は顔すら見たくなと思う日もあったが、限界分岐点での励ましや追い込み、オーバーワーク寸前での見極めなど、危険なラインぎりぎりでクオリティーの高い限界線を一歩一歩、歩ませてくれていたのである。

コーチやトレーナー、上司や仲間に恵まれること、これは厳しい状況が来たとき、自分を見失いそうになった時の、正しい道を示してくれる唯一の道標であった。そういう意味では、人生において成長において最も大切なもの、それは自分の置かれている人間環境である。人間環境は自らが作るものである。待っていても偶然でも自分に役立つ人間環境の創造はできない。

「絆」という言葉がある。成功や困難、何かの結果が出た先に、チームが一つになった、住民が一緒に助かった、などのように、それは外的な力が働いて偶然の中で生まれるものだと思われがちである。私は人のために自己犠牲の精神と覚悟を決めた時、先に己の中にその人に対する想いによって「幼い絆」が芽生え、その人に尽くし繋がり、お互いの間合いに本当意味の「絆」が成長するのではないかと思う。

前進することに困難が発生したとき、それが精神、感情、肉体のどれなのかを私は自分で考える。鍛え直さないといけないものに着手し、一から自分に対して厳しく対応する。次は良き友と酒をかわし良い時間を過ごす、ウィットな会話の中にまた前に進む理由が見えてくるのである。

次の日の朝起きると、頭が冴え、やる気が自分の中から湧き出てくることがはっきりと自覚できるのである。モチベーションは考えて作るものではなく、感じて湧き出てくるものであると、私には小さなころから習慣がついている。

大西一平

大西一平

大西一平おおにしかずひら

プロラグビーコーチ

1964年生まれ。 大阪工大高で花園優勝。高校卒業後1年間ニュージーランドへラグビー留学。明治大学時代には3年時全国大学選手権ベスト4、4年時にはキャプテンを務め全国大学選手権ベスト8に導く。その後…

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