子どもたちにとっては練習よりも試合が楽しいし、指導者にとっても試合をさせている方が楽です。でも、楽しく、楽なことばかりをしていては何事も上手くはなってはいきません。
普段の練習をしっかりとやっているからこそ、試合で「あれだけ練習したのに打てなかった」と悔しさを覚えたり、「あれだけやったから打てたんだ」という喜びも味わうことができます。あくまで試合は日頃の練習の成果を発表する場であり、試合でミスが出れば、練習で補ってまた試合に臨む。このサイクルの繰り返しがあって初めてプレーのレベルは上がっていきます。
誰にも失敗はあり、試合での一度の失敗、成功が結果を分けるわけではありません。大切なのは失敗の後の対応で、その差が先々の成長を決めるのです。失敗を反省することは難しく、労力がいります。うまくいかなかったことを振り返るのは楽しい作業ではないからです。プロの選手でも打てなかったり、抑えられなかったりすると気分を紛らわすために、お酒を飲んで愚痴をこぼしたり、カラオケで発散したりするケースをよく見かけました。適度なガス抜きも時には必要ですが、基本的にはいくら発散しても、それで打てるようにも、抑えられるようにもなりません。
安易な気分転換でごまかすのではなく、失敗を振り返る作業をしっかり行えるかどうか。ここが大きなポイントです。同じ失敗を二度と繰り返さない。
この点を守るだけでも技術面も精神面も驚くほど成長していきます。
奥村幸治おくむらこうじ
ベースボールスピリッツ代表
イチロー選手が210安打を達成した時に、イチロー選手の専属打撃投手を務めていたことから“イチローの恋人”としてマスコミに紹介され、以来コメントを依頼されてのテレビ出演多数 。 1999年に中学硬式野…