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2022年09月12日

カーボンニュートラル、中小企業の対策と国等の支援策

地球温暖化対策としての2050年・カーボンニュートラルの達成は、世界の大きな潮流となっています。日本でも2020年に当時の菅総理がカーボンニュートラル推進の政策を表明して以来、積極的に取り組まれています。
ただ、個々の中小企業がカーボンニュートラルに取り組む場合には困難なことも多く、行政からの支援が望まれます。今回はカーボンニュートラルの中小企業の対応策と国等の支援策について触れます。

カーボンニュートラル、社会や経済の変化と中小企業

2050年・カーボンニュートラルの実現のためには、これから日本社会は大きく変化して行きます。中小企業においては、これから起こる日本社会の価値観や経済環境の変化を十分に把握しておくことが重要です。
今後予測される経済環境の変化には、サプライチェーン全体で脱炭素化に取り組む取引慣行の進展、エネルギー需給構造の変化による経済環境の変化、投資家や金融機関による環境に配慮したファイナンスの拡大、などがあります。このカーボンニュートラルによる経済環境の変化を、以下に詳しく見てみます。
エネルギー調達の変化では、エネルギー構成、エネルギーコスト、エネルギー管理コストの変化などです。また、世界では新たな国際ルールとして、ガソリン車制限や石炭火力制限、国境炭素税の実施などが進められています。
業界の新たな取引ルールの変化としまして、サプライチェーンでの再エネ導入や排出量削減の要請などがあります。中小企業はカーボンニュートラルに関する大手企業の要請に応えていかなければなりません。これは、かつて環境経営が求められた1990年代に、中小企業も環境マネジメントシステム認証を取得した状況に似ています。また、2050年・カーボンニュートラルの達成のために、今後各種規制の見直しが行われていくことになります。
投資家および金融機関においては、サステナブルファイナンスの拡大などの変化も起こっていきます。環境や社会、企業ガバナンスを重要視したESG投資が、現在積極的に進められていますが、温暖化防止のカーボンニュートラルの取り組みはESG投資の目的に適うものです。
カーボンニュートラルは温暖化防止という環境問題への取り組みですので、消費者の意識や、価値観においても変化が起こります。環境配慮製品やサービスを選択する消費者が増加します。BtoC型の企業においては、特に消費者意識に敏感に対応していくことが必要です。
産業は常にイノベーションを繰り返して発展しています。2050年・カーボンニュートラルの実現にむけて、再エネのコスト低減や新たな環境技術への期待、さらにニュービジネスとしてのイノベーションへの期待があります。カーボンニュートラルの推進に合わせて、企業の発展や成長を期待致します。
以上の様に、カーボンニュートラルの推進は、社会経済を大きく変革し、投資を促し、企業の生産性を向上させ、産業構造の大転換と力強い成長を生み出すチャンスであり、このチャンスを地域経済や中小企業の成長にもつなげていくことが必要です。
この大きな潮流の中で、地域経済の成長を担う中小企業等の地域企業は、コスト負担の増加やルールチェンジによるリスクの側面を意識しつつも、カーボンニュートラルへの挑戦を成長の機会と捉えて、生産性の向上や新事業の創出など、自らの稼ぐ力の強化につなげていくことが重要です。

カーボンニュートラル、中小企業の対応策

2050年・カーボンニュートラルの実現に向けて、水素社会の構築や二酸化炭素の回収・処理などは行政と大手企業が中心となり社会全体で実施していくものです。カーボンニュートラルの推進の中で一般の中小企業が取り組むべき、もしくは取り組むことのできる対応策の例は以下の通りです。

  1. 省エネルギーやエネルギーの高効率利用、節電の推進など
  2. 風力や太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用
  3. 電気・電動自動車の利用
  4. 化石燃料に代り、電気や水素エネルギーの利用

などです。なお、これらの対応策は個々の企業においては、費用対効果や、経済合理性の下で実施されなければなりません。

上述の対応策は一般の中小企業での例ですが、企業によってはカーボンニュートラルでビジネスチャンスを迎えたり、逆に業態を変えるなどの守りの対策を行わなければならない企業もあります。これらの企業は、以下のように一歩も二歩も踏み込んだ積極的な対策をとる必要があります。

  1. 新ビジネスとしてカーボンニュートラル産業への参入
  2. 脱炭素需要に向けた販路拡大
  3. リスク回避のための多角化、業種転換など
  4. サプライチェーン(大企業)の要請への対応
  5. 循環経済、環境配慮の消費者志向への対応
  6. カーボンニュートラル達成のために積極的なSDGs・ESG経営への転換

などです。

カーボンニュートラル、中小企業への支援策

中小企業のカーボンニュートラルの取り組みに対して、経産省では補助金の支給を含め様々な支援策を実施していますので、次に紹介いたします。

  1. 中小機構(経産省外郭団体)のカーボンニュートラルのオンライン相談
  2. 中小企業等の省エネ取組に対して現状把握から改善までのサポート
  3. 省エネ最適化診断、先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金
  4. 省エネルギー設備投資に係る利子補給金助成事業費補助金
  5. 炭素生産性の向上(ものづくり・商業・サービス補助金のグリーン枠の活用)
  6. カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設(所得税・法人税・法人住民税・事業税)

等です。
さらに、経産省の外郭団体や、環境省等においても、支援策が実施されています。

  1. 環境省の二酸化炭素排出抑制対策事業費補助金
  2. 中小機構の事業再構築補助金(グリーン成長枠)およびものづくり補助金(グリーン枠)
  3. 日本政策金融公庫の環境・エネルギー対策資金融資
  4. 税制においてカーボンニュートラルに向けた投資促進税制

等です。

カーボンニュートラルの名目以外で、たとえば、温暖化対策や脱炭素、再生可能エネルギー促進、脱炭素、省エネ推進等の名目で、経産省の他、環境省、国交省、農水省、さらには地方自治体等から補助金や助成金が出されたり、様々な支援策が実施されています。これらもカーボンニュートラルの達成に繋がるものです。

中小企業においては、これらの補助金や支援策を大いに活用され、カーボンニュートラルの実現と企業のさらなる発展をご期待いたします。

進藤勇治

進藤勇治

進藤勇治しんどうゆうじ

産業評論家

経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…

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