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2021年02月10日

カーボンニュートラルの動向と日本の政策

昨年の12月に日本政府は、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を発表しました。この政策により、日本のCO2削減による温暖化防止策と、それに伴うエネルギー利用の方針が示されました。
今回は日本のカーボンニュートラル政策について触れてみます。企業における新ビジネスの可能性がカーボンニュートラルの政策の中にあるかもしれません。なお、日本においてはカーボンニュートラルの実現とCO2の排出削減、地球温暖化防止はほぼ同じ意味を持ちます。

カーボンニュートラルの国際動向と日本

カーボンニュートラルという言葉は、今世紀に入ってからによく使われるようになりました。CO2の排出を、削減や吸収でプラスマイナスゼロにすることを意味します。2017年にパリで開かれたワン・プラネット・サミット(One Planet Summit)において、カーボンニュートラル宣言が出され、2050年までに各国はCO2の排出をネットゼロに抑える政策が公約とされました。参加国は日本をはじめ29ヶ国ですが、米国や中国は参加していません。
世界は2015年に採択されたパリ協定の下、温室効果ガスの排出削減目標を定め、取組の強化を進めています。しかし、各国が掲げている目標を達成しても必要な削減量には大きく不足しているのが現状です。そこで、地球温暖化防止のために、カーボンニュートラルが世界の大きな潮流となっています。なお、パリ協定では多くの国は2030年を目処に目標を定めています。対してカーボンニュートラルは2050年の目標です。
日本では、2020年10月の新総理の所信表明演説で、2050年までにカーボンニュートラルによる脱炭素社会の実現を目指すことが示されました。カーボンニュートラル実現の鍵は、次世代型太陽電池、カーボンリサイクルをはじめとした革新的なイノベーション、徹底的な省エネルギー、再生可能エネルギーの最大限の導入です。電力については、安全最優先で原子力政策を進める一方、長年続けてきた石炭火力発電を減少させCO2排出の削減を図ります。

カーボンニュートラルの政策

カーボンニュートラルを実行するのは、並大抵の努力ではできません。そこで日本政府は、新しい時代をリードしていくチャンスと捉え、大胆な投資をしてイノベーションを起こすといった民間企業の前向きな挑戦を全力で支援します。そのための主要な政策は次の5つです。

  1. 予算(グリーンイノベーション基金)での支援
  2. 税制面での支援
  3. 金融による支援
  4. 規制改革・標準化を行い支援
  5. 国際連携による支援

上記の予算、税制、金融による企業のカーボンニュートラル推進の支援策について、以下に少し説明を加えます。
カーボンニュートラル実現の予算としてグリーンイノベーション基金2兆円を、経産省傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に創設します。本戦略の実行計画を踏まえ、意欲的な2030年目標を設定(性能・導入量・価格・CO2削減率等)して、下記の重点分野について、企業の研究開発を、今後10年間(2030年まで)、継続して支援が行われます。

  • 電力のグリーン化と電化
  • 水素社会の実現
  • CO2固定・再利用、等

この2兆円の予算を呼び水として、約15兆円の民間企業の研究開発・設備投資を誘発し、世界のESG資金、約3,000兆円も呼び込み、日本の将来の所得・雇用の創出につなげる目標です。

カーボンニュートラル実現の税制において、企業の脱炭素化投資が強力に後押しされます。企業による短期・中長期のあらゆる脱炭素化投資が強力に後押しされること等により、10年間で約1.7兆円の民間投資創出効果が見込まれます。また、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制(税額控除又は特別償却)の創設、事業再構築・再編等に取り組む企業に対する繰越欠損金の控除上限の特例の創設と、研究開発税制が拡充されます。

カーボンニュートラルの実現に向けての融資として、次の分野の製品や装置について生産設備の導入が資金的に支援されます。

  • 化合物パワー半導体素子又は当該素子の製造に用いられる半導体基板
  • 電気自動車又はプラグインハイブリッド自動車用リチウムイオン蓄電池
  • 定置用リチウムイオン蓄電池(充放電サイクル7,300回以上を満たすもの)
  • 燃料電池(発電効率50%以上、総合効率97%以上、純水素を燃料とすること、のいずれかを満たすもの)
  • 洋上風力発電設備(1基当たり定格出力9MW以上を満たすもの)の主要専用部品 (ナセル、発電機、増速機、軸受、タワー、基礎)

企業においては、政府の方針や国際動向を的確に把握して、自社が持つ技術や経験を活かして、カーボンニュートラルの推進の中において、新ビジネス可能性を見出して、企業発展に繋がることを期待致します。

カーボンニュートラルと国際社会

最期に温暖化問題と国際社会の動向にについて触れたいと思います。EUは2000年代になって厳しい環境規制を実施し、順守できない製品はEUの市場に入れない状況を作っています。自由貿易が原則の世界経済でありますが、EUが熱心に提唱するカーボンニュートラルも、EU経済圏を護るという政治的な目的があるかもしれません。
そもそも、温暖化問題には、南北問題、東西対立、地域対立の構図が常に含まれていることを念頭に置いておかなければなりません。19世紀に鉄は国家なりと言われましたが、20世紀、21世紀は、エネルギーは国家なりと言えます。自前のエネルギー資源を持たない日本は、これからもかなり腰を据えてエネルギーおよび環境問題に取り組むことが必要です。

進藤勇治

進藤勇治

進藤勇治しんどうゆうじ

産業評論家

経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…

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