2019年01月10日

省エネ・節電対策と企業の課題

原油価格は高騰したり下落したり変動の波はありますが上昇基調にあります。日本では原発の停止や再生可能エネルギーの高コスト分の負担などにより、電気料金は高騰しています。エネルギー高価格時代において、省エネと節電は企業にとっては極めて重要な対策課題です。今回は省エネと節電の方法についてふれてみます。

エネルギー・電力料金の高騰と省エネ・節電

日本などの先進国の経済成長率は2%前後ですが、中国やインドなどの新興国は7%程度の成長を示して世界経済を牽引しています。ただ、人口の多い中国やインドの経済成長により世界の原油の消費は増大しています。変動の波はあるものの、原油価格は右肩上がりに推移していくものと考えられます。

日本では2011年の東日本大震災の後に電力料金が高騰して現在に至っています。原発を止めて火力発電に切り替えることにより、年間約3兆5千億円の燃料代が追加で必要となりました。また再生可能エネルギーで発電された電力の買取のために年間約2兆7千億円が電気料金に上乗せされています。今後も再生可能エネルギーの買取が増えることが予測され、2030年にはその買取費用が3兆7千億円~4兆円になる可能性もあります。東日本大震災の後、地域ごとにバラツキはありますが、全国平均で民生用の電気料金は約3割、産業用は約4割値上がりしています。

エネルギー価格が高騰している日本においては、現在省エネや節電に努めることは費用対効果が大きい経済行為になっています。国際的に株価は暴落するなど厳しい経済環境下では、製造業を中心にエネルギー消費の大きい企業にとりましては省エネや節電に取り組むことは企業防衛にもつながることです。

企業の省エネルギーの進め方

企業における省エネルギーの取組みは、基本的にはPDCAサイクルで進めていくことが理想的です。PDCAサイクルは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の4段階を繰り返して、より高い省エネ効果を求めていきます。

まず、企業内でエネルギー管理のフローを作成して取り組む組織体制を整備します。実際に省エネルギー対策を実施して、エネルギー使用実績の把握と分析を行います。エネルギー消費を原単位で管理、見直しを行い、より効果の高い省エネ実施のためのフォローアップを細かく行います。このプロセスを繰り返すことによって、改善を重ね継続的に省エネルギーを達成させることができます。以下では、省エネの中でも節電対策を中心に具体的な方法を述べます。

企業における節電アクション

オフィスや商店、営業所などでは省エネと言えば節電対策が大きな比重を占めます。まず企業における節電アクションをまとめると次の通りです。

1.電力消費の現状を理解
2.社員と共に考え、社員の智恵を集める
3.自社の消費電力を把握
4.節電行動計画を立てる
5.節電の実施と検証・改善

節電はこまめに実施して、その積み重ねが大きな効果を生みます。そのためには企業の各部署において、社員ひとりひとりが高い目的意識をもって節電に取り組むことが望まれます。

具体的な節電対策

省エネ・節電は大きく2つの方法に分けられます。1つは運用改善による対策です。2つ目は設備改善による対策です。こまめに照明を切って無駄な電気の消費を抑えることが運用改善による対策例です。古い空調設備をエネルギー効率の高い設備に買替えて節電を図ることが設備改善による対策例です。

次に、オフィスや商店、事業所や工場における節電の対象項目をあげてみます。オフィスなどにおいては、照明、空調、OA機器が3つの大きな節電対象項目になります。

照明設備

たとえば、執務エリアの照明を半分程度間引きすると平均的に約8%の節電効果が、使用していないエリア(会議室、廊下等)の消灯を徹底すると約3%の節電効果が期待できます。

そのほか、自然の日照を活かして日中は消灯する、LED照明や反射板の利用など設備投資による省エネ化、人感センサーや手動でのON・OFFスイッチの細分化などによる稼働時間効率化などにより一層の節電が行えます。

空調設備

テナントは空調のスイッチを切り、オーナーはビル全体が適切な温度空調になるように調整を行うなど、適切な温度管理を行い3℃下げた場合には約4%の節電効果が、使用していないエリアの空調を停止すると約1%の節電効果が期待できます。

そのほか、冷房の設定を28℃にする、エアコンと換気扇との併用をできるかぎり避ける、扇風機の併用により効率をアップする、冷房の使用時間カットや空調のゾーニングを行う、 外気温が適温の場合は外気を取り入れて冷房は使用しない、空調のメンテナンスや清掃による効率のアップする、日照による温度上昇を留意し遮光カーテンや反射パネルなども活用するなどにより一層の節電対策が行えます。

OA機器(パソコンなど)

たとえば、長時間席を離れるときはパソコンの電源を切るか、スタンバイモードにすると約2%の節電効果が期待できます。

そのほか、パソコンのディスプレーの輝度設定を下げる、パソコン本体を省電力設定にする、パソコンの冷却ファンの清掃、給排気部のスペースを十分にとる、プリンター使用時にだけ電源を入れるなどにより節電が出来ます。

さらに以下のような設備や装置の節電対策を行うことが望まれます。

4.電力消費の現状を理解
5.ポンプ・ファン
6.コンプレッサ
7.受変電設備
8.契約電力の見直し

工場などの節電のポイント

工場においても節電の取組みはオフィス等と基本は変わりません。しかし、工場はオフィスなどに比べると電気を多く消費します。設備や装置に対してきめ細かく節電対策をとることにより大きな節電効果が得られます。工場における節電のポイントを以下にあげます。

1.生産プロセスの合理化・生産設備利用の最適化
2.生産設備の保守点検による効率の向上
3.省エネ・創エネ設備の導入
4.従業員の協力

省エネや節電は、今問題になっている地球温暖化の対策にもなります。エネルギー消費の多い工場等においては、積極的な省エネ、節電のへの取り組みが期待されます。

工場等での節電や省エネに対しては、国や地方自治体から様々な補助金を得ることも出来ますので是非活用してください。また温暖化対策、省エネ対策、二酸化炭素削減等は減税の対象にもなります。

徹底した省エネと節電を

中長期的には原油価格は右肩上がりで上昇することになるでしょう。さらに原発が停止している限り、また再生可能エネルギーの買取制度が続く限り、日本の電力料金は高値状態で推移していくことでしょう。

ここであげた省エネや節電は多数ある対策法の一部です。個々の企業においては対策効果が高い方法から順に積極的に取り組まれることを期待致します。