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コラム 政治・経済

2006年07月01日

“日米親善野球”にみる対アメリカへの外交姿勢

先月のコラムでご紹介させていただきました拙著『主権在米経済』について、色々なご意見をいただきました。日本とアメリカの関係に興味を持ってくださる方がとても多いこと、政治家として、又、日本国民として嬉しく思います。

今回は、日米の関係について、本当にこのままでいいのか、ということをこのコラムを通して少しでも考えていただければ幸いに思います。

先ず誤解されないように言っておきたいのは、私はアメリカを嫌いではないということです。二十代の頃にはアメリカに留学し、多くのことを学ばせてもらったことで感謝していますし、アメリカ人の友人も多数います。ただ、そのことと国益の話とは全く関係ないことなので、日本の国益がアメリカによって損なわれるとなったら、私は政治家として黙っていられません。

ここで、少し拙著にて紹介させていただいた、今の日本とアメリカの関係を如実に表しているエピソードを紹介させていただきます。

2006年3月15日、私はまたもわが目を疑いました。この日、東京ドームで、「小泉チルドレン」こと自民党新人の「83人会」が、駐日米国大使館チームと「日米親善野球」という一大イベントを行ったからです。これは、駐日米国大使トーマス・シーファー氏が小泉チルドレンを招いた昼食会で野球談義に花が咲き、大使自らが「ぜひ試合をしよう」と言い出したからだと聞いています。

親善試合は、日米の国歌でスタートし、この日のためにユニホームまで新調した新人議員の面々は、大いに盛り上がりました。そして、スタンドにはゲームに出ない井脇ノブ子氏らが着ぐるみ姿で太鼓を叩く姿がありました。もちろん、次期総理候補の安倍晋三官房長官や森喜朗前首相の姿もありました。平日の夜に東京ドームを借り切ると、47万7000円。オーロラビジョンを使用すると、プラス14万7000円で、計62万4000円かかるといいますが、これらの費用は全て日本持ちであり、おまけに衣装代や米大使館員へのプレゼントまで日本側が負担したとのことです。

この小泉チルドレンと米国大使館員の親善試合が行われた日、アメリカ本土のアナハイムでは、第1回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場した日本チームがメキシコと真剣勝負を演じていました。日本はその前に、アメリカ代表チームに八百長とも思える「世紀の誤審」で敗れていたから、
まさに「背水の陣」でした。しかし、本国では政治家がこんなことをやっていたのだから、なにをか言わんやではありませんか。

この親善試合は、ニュースで「庶民らしくて好感が持てる新人議員たち」というような内容で多少紹介されたのみの報道だったことにも、私は空いた口がふさがりませんでした。

いったいこの国のマスコミは何故黙っているのでしょうか。今、新聞を開いて、外資系企業の広告が載っていない日はありません。新聞社は、外資系企業から多額の広告料をもらっているため、スポンサーである広告主の顔色を伺いながらの発言しかできなくなってしまっているという現状に大きな問題があると思います。

『日本には言論の自由がある』という嘘が日本ではまかりとおってしまっているため、多くの国民は「テレビで言っているから本当だ」「新聞に書いてあるから間違いない」と、報道を鵜呑みにしてしまうという話を聞いたことがあります。面白いことに、中国人やアメリカ人は、テレビや新聞でさえも100%は鵜呑みにしないのだそうです。

大切なのは、色々な情報を自分なりに分析して、何が真実であるかを見極めることなのではないでしょうか。

小林興起

小林興起

小林興起こばやしこうき

元財務副大臣

<ご本人からのメッセージ> かつて郵政民営化法案に反対して、自民党を追放されたが、この法案は米国の要求であることが今なお国民に全く知らされない中で、ますます米国への隷属化が進む。その根底に戦後70年…

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