第6回「リモート環境での人の褒め方叱り方」
人を褒める、叱る…こういった行動は、極めてエモーショナルな要素がからむイベントですが、リモート環境下において人を褒めたり叱ったりするのには、それなりの工夫が求められます。
褒めたり叱られたりするとき、人は味覚、嗅覚以外の五感(視覚、聴覚、触覚)を使ってそれを受け止めます。褒められるときの相手の声のトーンや表情、そして親愛をこめて肩を叩かれたり、握手のときの力加減などで、自分への称賛を確認します。また叱られるときの相手の声色、声の大きさ、体の震え、など様々な様子から相手の怒りのレベルを感じ取ったりもします。
しかし、オンラインで画面を通してしまうと、それらの多くの情報が遮断されてしまい、こちらの喜びの大きさが伝わらなかったり、また逆にそれほど怒っていなくても勘違いされてしまったりするミスコミュニケーションがしばしば起きます。どうしたらそういった行き違いを防げるか、考えてみましょう。
●褒めるとき
リモートの画面を通じてだと、どうしてもこちらの感情のエネルギーが伝わりにくくなります。男性の方は特にですが、声のトーンはいつもより少し高めで、表情も「ちょっとおおげさかな」と思うくらいで丁度いいです。手の動きを使ったり、口を大きく開けて話したり、まずはお使いのオンラインソフトのテスト画面を使って、自分の表情や声を確認してみましょう。
またお互い場所が離れていると、褒める要素が見つけにくいですよね。どうしても何かのタスクを振り、その進捗状況の確認、といった会話になりがちです。そのなかでも、目標設定を少し工夫して、達成できる目標を多く設定するとよいですね。たとえば〇件成約した、というよりは〇〇件コンタクトをとった、のように、結果より行動面を評価してあげる指標があればよいと思います。
というのも、人は離れているとどうしても不安が先に来るものです。リモートで働いていると、どうしても帰属意識が薄くなり、疑心暗鬼になってしまうものです。承認欲求に飢えている状態ですね。自宅で仕事をしている皆さんは「あー人恋しいな」と思うことがありますよね(私も思います)。こうした状況下では、少しでも自分を知っている会社の上司や仲間に、褒められる、認められるというのは、とても心に響くはずです。
そしてリモートワークで使うオンラインソフトのメリットを活用して、ぜひ参加者全員の前で褒めるイベントを行ってください。オンラインだと全員の顔が画面に映りますし、そのみんなから拍手をもらったり、メッセージをもらったりできるのはオンラインならではですね。
●叱るとき
任せたタスクを完了しなかったり、忘れていたりなど、オンラインでも叱る場面はあるでしょう。しかし、対面のように叱っては、前述のようにむしろ誤解されたり過剰に取られてしまい逆効果です。相手によってはひどく責められたと思うかもしれません。まずは気持ちを落ち着かせ、その人を責めるのではなく、事実を冷静に伝えましょう。
「〇〇君、このタスクは今日までだったけど進捗を教えてください」
「なるほど、達成はできなかったんだね」
「難しい要素があったかな。何か助けはいるかい?どうしたらできるようになるかな」
どうしてできなかったのか、ではなく、どうすればできるか。原因よりも方法に目を向けて、最後は笑顔で対話を終えるようにしましょう。
また、リアルの場面でもそうですが、叱るときはできれば皆の前ではなく、マンツーマンでの対話が望ましいですね。相手の自尊心を傷つけないように対話をすすめてください。
私が育った昭和の時代は、まだ多くの人に叱られる耐性が備わっており、中には叱られることに愛情を感じたりそれで発奮して頑張ったりということもありましたが、同じ感覚でいまの若い人に接すると、パワハラという認識で捉えられてしまいます。相手をよくみて接し方を考えてください。
次回は、「リモート環境での組織の在り方」についてです。どうぞお楽しみに。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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