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2020年07月15日

ものの見方で問題解決!その4~パン製造業編~

このシリーズも4回目になりました。今回はちょっとユニークなとあるパン製造業の会社のお話です。この会社、パンはパンでも冷凍パンを製造しています。「冷凍パンって、まずそう」と思ったあなたは古い!いまや一流ホテルやレストランの多くでこの冷凍パンが使われています。この会社では、冷凍パンでも焼きたてのおいしさを味わえる製法を確立し、人気となっており、個人向けのネット通販でも買うことができます。そんな先進的な会社で、どんな課題があったのでしょうか。

研修のテーマ:「モチベーションが10倍上がる視点の見つけ方」

依頼の背景・課題

こちらの会社では新しいことに次々と取り組んでいくものの、現場の反応は鈍く、真っ先にできない理由を探したがる風潮があり、とくにベテラン社員ほど頭が固い。また上がってきた声には「頑張っても成果がわかりにくい、やりがいにつながらない」「挨拶などのコミュニケーションに欠ける」「会社のビジョンや理念が広まっていない」「変化を恐れる社員が多い」といったものがありました。

ものの見方で斬る

「頑張っても成果がわかりにくい、やりがいにつながらない」-これは製造業の現場でよく聞かれる声です。理由のひとつに、お客さまの声に直接触れることがないことが挙げられます。毎日工場内の同じ製造ラインで、同じ道具を使って同じ材料と向き合い、ひたすら同じ作業を繰り返していると、その商品が最終的に届く消費者の顔をイメージすることができにくくなるのは当たり前のことでしょう。ここは管理側の工夫が求められるところですね。メガネでいえば「価値メガネ」を使って、いかに自分たちの仕事に価値を持たせるか、ということになります。そう思い、私が用意したのは、家で子どもたちと家族で、この会社のパンを食卓でかじっている写真。実際この会社のパンを取り寄せてみたのです。そして「おいしい!」とニコニコしながらかじりついている子どもたちの写真と共に、この会社の理念である「パンを通じて上質な時間を創り、パンを通じて心の贅沢を創る」というキーフレーズを掲げ、まさにそれらがうちの食卓でも起こっていることをお伝えしました。会場を見回すと、頷きながら聞いてくださっている年配の社員の方がちらほら。あの場を通じて、少しでも皆さんのやっている仕事の意味と、一顧客の声が伝わったのではないでしょうか。

現場の人たちのやりがいについてですが、これはたとえば、売上や人気パンランキング、売れ残り数などをできるだけ製造ラインで働いている人たちにフィードバックしたり、お客様からの声を定期的にフィードバックする仕組みを作られたらよいかなとも思います(全日空では、毎月の給与明細書に加えて、お客様からの声が社員にシェアされているという記事を以前見かけました)。また改善活動などを通じて、やらされている仕事から、自分たちでやっている仕事へ意識を転換することが大切ですね。

最後に、変化を恐れる社員が多いことについて。人は誰でも変化を恐れます。歳をとればとるほどそれは顕著です。それは、いままで自分が培ってきた経験やノウハウが使い物にならなくなるのを恐れているからですし、いまのままなら、これまでの惰性でできるのに、新しいことをすると一から覚えなくてはならず、億劫に感じるからです。そこは「逆転メガネ」を使って、いや、現状にしがみついていることこそリスクがあるという考えを、しっかりと伝えなくてはなりませんね。

今後の展望

こちらの会社は、2006年ころから冷凍パン事業を始めています。二代目の社長さんがアメリカに行ったときに冷凍パンが普及しているのに目をつけ、日本でも展開しようとしたのですが、当時は誰も見向きもせず、そこを苦労して、「パンは焼きたてに限る」から「冷凍パンはおいしい」に価値観を逆転させた、まさに逆転メガネの典型といえます。事業の方向性は素晴らしく、今後ますます冷凍パンの需要は増えていくでしょう。あとはやはり、中で働いている人たちが、パン作りに誇りを持ち、変化に乗って変わり続けていけるよう、変わることに価値があるという価値観をいかに浸透させていくかにかかっていると思います。

さて次回は、訪問販売業界です。どうぞお楽しみに。

川村透

川村透

川村透かわむらとおる

川村透事務所 代表

「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…

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