2013年09月13日

あるアメリカ企業の実例

さて、これまでこのコラムでは「人は外部からの動機づけでは動かず、内部からの自発的な動機づけが必要」と書いてきました。私自身もちろんそう思いますし、正論には違いありません。ただ、実際にはどうなのでしょうか。私の知るかぎり、まだ成果主義、ルールやノルマといった、いわゆる「外からの動機づけ」で人を管理している企業のほうが多いと推測します。

ここでアメリカを代表する携帯電話会社、ベライゾン・ワイヤレス社の例を紹介しましょう。従業員数8万人を超えるこの巨大企業、もちろん成功し利益も出しているのですが、この会社がとっているマネジメントスタイルのなかに「部下に責任感を植え付ける8つの方法」というのがあります。

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「部下に責任感を植え付ける8つの方法」

1.突然の訪問

2.予期せぬフォローの電話

3.コーチング

4.5:15レポート
(毎日5時15分までに提出するクイックレポート。マネジャーが5分以内に目を通せ、部下も15分以内で用意できるもの)

5.パフォーマンス合意契約

6.業務進捗レビュー

7.パフォーマンスレビュー

8.パフォーマンス改善計画


『叩き上げCEOが明かす結果にこだわる思考法』より引用
(デニー・F・ストリゲル著、川村透訳、日本経済新聞社)

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3から8までは、どの会社でもやっているような制度で、基本的には「決めた結果を出せば報酬が約束され、出さないとペナルティが待っている」というモチベーション2.0の考え方です。しかし、1と2の「不意の訪問や電話」は、少しユニークです。どういうことかというと、部下に仕事を任せたあと、ある日突然「例の件、どうなっている?」「何か手伝えることはあるかい?」と不意にフォローを入れるのです。こうすると、部下には「自分があてにされている」というメッセージが伝わります。また、いつ電話がかかってくるかもわからないので、気が抜けないという効果もあるでしょう。これは、厳密には自発的なモチベーションではありません。しかし、そうして動いているうちに、いつしかそれが自分の習慣となる、という効果はあるように思えます。

冒頭にも書きましたが、理想は「自発的なモチベーション」で動いてほしいのですが、8万人もの組織ともなると、いろいろな人もいて、それに100%期待するというのは現実として難しいのでしょうね。

皆さんの会社でも、組織が大きくなればなるほど、いきなりモチベーション3.0を適用し、すべて部下の自発性に任せるなんてことは無理でしょうから、まずはいまの枠組みのなかで、部下が自発的に動けるスペースを少しずつ広げていく、という「自分なりのさじかげん」を見つけてみてはいかがでしょうか。

次回のテーマは、「内的モチベーションに火をつける」です。どうぞお楽しみに。