2018年12月17日

働き方改革の事例その2

さて、今回も前回に引き続き働き方改革の事例紹介ですが、前回では紹介しきれなかったユニークな事例をもう少しご紹介したいと思います。

機能ごとにグループ会社のセクションを配置

物理的な場所にとらわれない働き方の工夫では、在宅勤務や社内でのフリーアドレス化などが定番となってきますが、東京のキリン株式会社では、もう一歩進んだ取り組みを行っています。

こちらは本社が中野にあるのですが「Nakano Style」と銘打って、ワークスタイル変革のプロジェクトがスタート。これは、各所に散らばっていたグループ各社の本社を一か所に集約した際、会社ごとの縦割りのフロア配置ではなく、マーケティング、営業、生産など機能ごとに配置したそうです。これにより、同フロアに違う会社の同じセクションが存在することになりますが、このことにより業務の効率化や各社の連携によるシナジー効果が生まれているそうです。

これはとても面白い!すぐそばにほかの会社で同じことをやっている人たちがいることで、刺激にもなりますね。グループ会社を持つ企業にはぜひ見習ってほしいオフィスの配置です。

意識改革のひとつの方法

新しい概念を職場に浸透させていくとき、その方法に悩むことも多いでしょう。

住友電装株式会社(三重県)では、活き活き職場推進委員会なるものを設置し、全国の職場から委員を任命。年4回の人権研修を実施、問題への感受性を高めています。また委員が持ち回りで人権に関するメールマガジンを発行して、自分の感想やコメントなどを付記しながら全体への意識高揚を図っているということです。

一つのテーマを決め、それに対する研修を担当委員に対して行い、委員がそのテーマについてのメルマガの作成を通じて全体に訴求させるというこのやり方は、風土改革を模索する多くの企業がマネできるやり方ですね。

女性がイキイキ働ける

東京の小売業、株式会社ランクアップは、女性が働きやすい職場として、2014年の東京都のワークライフバランス育児介護部門の認定企業にも選ばれている会社です。社員41名中約半数がワーキングマザーとして働いているという状況で、かなり具体的かつユニークな施策がたくさんあります。

スーパー時短

これは、平日に子どもを習い事に連れて行くことができるように考えられた制度で、8:30~14:30勤務で、休憩無しというもの。14:30に上がれれば、家に帰って子どもを習いごとに連れて行けますよね。

「17時で帰っていいよ」制度

定時は8:30~17:30だが、震災をきっかけに仕事が終われば17時に帰宅しても良いという制度を設けています。17時に退社しても17:30に退社しても給料は同じなので、17:00に帰らなければ損だという意識が定着しているそうです。

柔軟な有休取得制度

有休も年間20日間付与され、期限なく最大40日まで持つことが可能です。また時間単位で取得できる「2時間休」~「6時間休」制度があります。またこのほかでも、社員の改善提案制度から生まれたものとして、病児シッター費用の会社負担、就業時間中のヨガ教室や無農薬野菜の支給、研修費用の全額負担などがあります。病児保育などは一日3000~4000円はかかりますので、これが会社持ちになるとはなんと素晴らしい。

事例を調査し終えて

いかがでしたでしょうか。2回にわたって様々な事例をご紹介しましたが、今回思ったのは、この働き方改革の取り組みは、会社によってバラツキが大きいなということです。ここに取り上げたような意識の高い職場もあれば、医療業界などは私の知る限り、大変遅れています。要はトップの意識次第なのですね。

最後に、偏差値36の高校生が東京大学に入るという受験ストーリーを描いた『ドラゴン桜』で有名な漫画家の三田法房さんの働き方改革をご紹介します。彼の漫画工房では、業界の常識を破り、週休3日、残業禁止、作画完全外注という、漫画業界では超異例のシステムをとっています。これは彼がスタッフたちの働き方をみていて、お菓子を食べながら煙草を吸いながらダラダラとしているのがあまりにも効率が悪いと判断し、働き方を改革していった結果のようですが、漫画の命である人物の作画さえも外注にしてしまうというのが驚きです。でもこうすることにより、作者は取材やストーリーの構想などに集中できるということです。

この事例からいえることは、その仕事の本当に大事な部分を見極め、そこにエネルギーを集中すること、自分がすべきことのみをやり、ほかはできるだけ人に任せるということです。もちろんコストはかかりますが、結果としては仕事の質があがり、得られるものも多いのではないでしょうか。

2018年6月に働き方改革関連法案が成立し、2019年度4月からは年次有給休暇の5日間取得が義務になりました。しかし、ここにあげたような働きやすい環境づくりについては、明確な基準はありません。これからはこうした環境づくりが、よい人が集まり、定着する大きな要因となってきていますので、ぜひ積極的にこうした改革に取り組んでほしいと思います。