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2017年12月15日

現場インタビュー「どうやって人を教えていますか?その2」

生方

お相手:生形厚志さん(株式会社統合生産方式研究所 代表)
聞き手:川村透

現場インタビューシリーズ第2弾。今回は業務プロセス改善のコンサルタントである生形厚志さんにお話を伺いました。生形さんは、全国の工場やバックオフィスなどで仕事の手順を改善し、無駄を省いて業務の効率化につながる現場の改革をされています。業務改革の手順をどうやって管理職や現場の皆さんに教えているのか、とても興味のあるところです。

川村「今日はありがとうございます。さっそくですが、生形さんの教え方のひな形のようなものがあるのですか?」

生形「まず、管理職の皆さんを集め、座学で業務改善の考え方をしっかりと理解して頂きます。ただそれだけでは実践が伴っていないので、その後、皆さんの現場でチームを作ってもらいます」

川村「そのチームでの課題は何か提示するのですか?」

生形「いや、現場での課題を見つけるところからやってもらいます」

川村「改善の仕方とかを教えたりするのでしょうか」

生形「基本的に私は教えることはしません。管理職のリーダーに任せます。人は教えられたことは忘れますが、追い詰められ、頭を絞ると知恵が出る。そこで身につけたことは忘れないものです」

川村「確かに」

生形「ただ、私なりに正解は持っているつもりですので、その場のベストの案にたどり着くよう最低限の誘導はします。しかしながら、世の中が物凄い勢いで変化していますから、今までの改善の考え方、方法も従来型では指導する側の考えや過去の実績の押し付けになります。改善とはイノベーションで、型にはまった手法や技法じゃないんです。若い方に自由に考えてもらって、会社方針や方向性を違えない限り、自由にやらせています。もちろん背後では私と経営層の意思疎通は完全に進めています。でもそうして進めると想像もしなかった様な凄い改善案が実際に出てくるものなんです。私も日々勉強させていただいています」

川村「コーチングに通じるようなところがありますね。ちなみに、教えていて嬉しいときはどんなときでしょうか」

生形「“標準なきところに改善なし”という言葉があります。いつもこれを言うのですが、自分や仲間の仕事が本当に楽になって残業や休日出勤が無くなって、この言葉の意味が心底わかった、と言って頂けるときが一番うれしいですね」

川村「具体的にいうと、どんなことでしょうか」

生形「はい、業務の改善をしていくにあたっては、担当者がただ自分なりに工夫し、少しだけよくなったとしても、それは本人にしかわからないし、上司からもただ“なんかよくなったね”と言われるだけ。それでは不十分なんです。まずは標準作業という“起点”を作り、それを比べて何秒早くなったのか、何工程短縮できたのか、そうやって数値化できてはじめて改善と言えるのです。営業?事務管理?生産工程の一気通貫の見える化があって本当に効果ある改善が出来るということで、部分最適の時代は既に過去のものです。」

川村「うーん、これはおもしろい。私もやってみたいですね」

生形「5時間かかっていたのが1分で終わったり、1500工程もかかっていたのが7工程で終わったり、本当に飛躍的な進歩があるのです」

川村「すごい!そんなに違うのですね…。生形さんが教える経験の中で、失敗談はありますか?」

生形「海外の工場で、この業務改善のコンサルティングをしていたときのことです。海外ですと、どうしても短期滞在で時間的制約もあるので、つい答えを教えてしまうんですね」

川村「わかります。短い時間で結果を出そうとしますからね」

生形「すると、相手には答に到達するまでの実力が伴っていないのに、答を聞いてしまっても、うまくいかなくなってしまうのです。つまり、本来は育てることが目的なのに、教えることが目的になってしまうのですね」

川村「うーん、これは深い」

生形「だから、私にとって、教えるとは教えることではないんです。相手に気づかせて変革を起こさせることなのです」

川村「とてもよい言葉ですね。最後に、今後の抱負があればぜひ教えてください」

生形「いまさかんに働き方改革とかNO残業とか言われていますが、ただ時間を短くしても意味はありません。日本の生産性は先進国の中でも最下位です。でも、きちんと段取りをつけて、仕事のやり方を見直し、無駄をなくせば、必ず生産性は上がりますし、日本は復活できると信じています。そのお役に立てれば嬉しいと思っております」

川村「ありがとうございました」

インタビューを終えて:
生形さんは自らの工場勤務や海外工場でのマネジメント経験、そして中国での業務改善コンサルタントの経験を活かし、2012年に独立され、現在に至っています。いまや口コミでその噂が広がり、関西地区への出張も多いようです。「人は教わったことは忘れる」と言われていた言葉にとても共鳴しました。私が実施する研修と同じ考え方ですね。こうした業務改善の現場は、結果が目に見えてくるので、さぞやりがいがあるだろうなと思います。一度ぜひ、現場に同行させて頂き、私も学びたいと思います。生形さん、お忙しいところ、本当にありがとうございました。

 株式会社 統合生産方式研究所
 https://www.ktpsk.com/index.html
 所在地:群馬県渋川市伊香保町伊香保509-119

次回は、「私がいいなと思った上司」をお送りします。どうぞお楽しみに。

 

川村透

川村透

川村透かわむらとおる

川村透事務所 代表

「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…

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