2007年09月05日

特別編「対談―できる営業=探偵」その秘密は、共感?!」

66-2.jpg【対談のお相手】
藤原毅芳
(営業コンサルタント/ビジネスクリエーター

顧客管理運用のコンサルタント会社を経て、 現在は企業を最速発展サポートする コンサルティング企業CKPLATに所属。 斬新な手法で売上げを伸ばしたい方、お客さんを増やしたい方にマーケティングプロセス構築バックヤード、プロモーション、 顧客データベース構築の支援をおこなっている。

詳細プロフィールはこちら



川村:今日はビジネスクリエイターの藤原毅芳さんをお迎えして、営業シーンで役立つもののみかたのスキルについてお話ししていきたいと思います。


――人は自分の知りたいことしか聞きたくない

川村:
藤原さんは、元々大手の住宅会社で販売のお仕事をなさっていたのですよね。

藤原:はい。ショールームでのお客様のご案内から契約業務まで、お客様と直接お話しする部分を仕事にしていました。

川村:実は、一度ショールームに足を運んだことがあるんですよ。
でもそのときは、自分の聞きたいこととは別のことばかり説明されてしまって、すぐ出てきてしまったんです。雰囲気が見たかったのに構造を説明されたので、これはちょっと違うかなと。

藤原:説明しちゃったんですね。私の著書『営業は説明するな』にもありますが、いきなり説明しちゃだめなんですよ。川村さんも結局説明を聞かずに出てきてしまいましたよね。

川村:はい。何だか売りつけられるような気がして(笑)。
でもその後、担当が代わったとかで別の営業の方から分厚い資料が送られてきたんです。ずいぶん分厚いなと思いましたが、中身を見たらローンの話や家を買うまでの流れなど自分の知りたかったことについての資料があったんですよ。やはり自分の気になる情報があると注目しますよね。

藤原:昔は説明営業でよかったんですよ。お客様に情報がなかったから。でも最近はインターネットや雑誌によって、お客様も情報をかなり持った状態でショールームにいらっしゃいますから、お客様に知りたい情報を選択させることが大事になってくるんです。

川村:そうそう、言わせてくれることが大事ですよ!結局お客は自分の知りたいことしか聴きたくないんですよね。


――とにかく信用が大事

藤原:
お客様を見るとついつい説明してしまうのは、今までの営業の仕方のトレーニングのせいだと思いますよ。これは私の場合ですが、一年目はとにかく商品説明のロールプレイングでした。二年目になると初めてお客様にする質問の内容についてトレーニングするんです。 質問のポイントは、予算・動機・時期についてなのですが、その3点について様々な切り口から質問事項を考えていきます。

例えば、川村さんは犬を飼ってらっしゃいますよね?であれば、「お客様ペットは何か飼っていらっしゃいますか?」という質問を切り口に、ワンちゃんにはフローリングは滑って肩を痛めるので、よくないんですよ。できればカーペットやタイルを敷いてあげるといいんですけどね。なんて話題を出したら、つい聞いてしまうでしょう?

川村:絶対聞いてしまいますね(笑)
でもそういう話の運びをしてくれていれば、私が見に行った時ももっと営業のチャンスが広がったんじゃないでしょうか?
営業の方々ってコーチングの勉強はしているんですか?

藤原:いや、していないと思いますよ。少なくとも私の時はしていませんでしたね。
質問トークにはやり方があって、ただ投げかければいいというものではないんですよ。初めに安心感がないとだめなんです。

お客様は説明しても本当の意味で理解しているかというと、理解した気になっていることが多いのです。それをきちんと理解していただくには、段階を追ってコミュニケーションをとっていくという方法をとります。人として安心感を与えて、セールスとして信用してもらい、さらに信頼をしてもらい、最後に理解してもらうという順番。その中の信頼してもらう段階まで持っていってからでないと質問しても上手にお客様は本音を話してくれないんですよ。
【安心→信用→信頼→理解】

川村:ああ、この人のいうことならそうかもしれないなと思ってしまうのは、その人を信頼してしまった後の段階だからということですか。

藤原:そうなんですよ。家を買うってすごく大きな買い物じゃないですか。ある意味お客様の人生を変えてしまうわけですよね。ライフプランを提案することと同じわけです。そんな提案をするのですから、聞いてもらうためにはまず信用してもらうことが大事になってくるんですよ。

川村:聞かせるんじゃなくて、聞いてもらうためにという考え方をするわけですね。
それって逆転の発想というか、もののみかたを変えるということですよね。

藤原:そうですね。だから話がうまい人は営業が伸びないんですよ。説明しちゃうから。
昔の押せ押せというタイプの営業が主流だった時代であればいいのですが、これからは賢くなったお客様への提案営業でなければやっていけない。それほど情報を持っているお客様はシビアだということです。


――質問で意識を変える

川村:
なるほど。確かに家を買うってことは、勇気がいることですからね。
でもショールームに来る人全員が、真面目に家を買うことを考えている人ではないわけでしょう。中には私みたいに、ちょっとどんな雰囲気かのぞいてみたいという人もいますよね。そういう人にはどう接しているのですか?

藤原:今買った方がいいのでは、という緊急性を大きくするのは、そうですね...動機の部分を大きくしていくことでしょうか。

例えば、川村さんはどうして家を購入しようと考えたのですか?など、「なぜ」の部分を聞いて、そこを刺激してあげることです。こういう考え始めのお客様は実はいいお客様で、まだ考え始めだから他社との競争も少ない。だから今すぐではないけれど、という気持ちをそろ そろ買った方がいいのかもという気持ちに変えさせるために、動機の部分を大きくするような質問をしたり情報を提供したりするわけです。

川村:なるほど!最終的には契約してもらうことが目的ですけれど、買わせるというのではなく、お客様の気持ちを変えようという意識で話をすることがポイントなんですね。

藤原:そうですね。買わせてやろうという意識だと色々説明しちゃいますから。そうすると話を聞いてももらえない、というはじめの話に戻っちゃうんですね。

66-3.jpg川村:営業は奥が深いですねー。
でもお客様が何を聞きたいのかなどのポイントはどうやって見極めているんですか?先ほど私にペットを飼っているのかという質問をしてくださいましたよね。あの質問はまさに私にぴったりな質問だったわけですけれど、ああいう適切な質問をするには何か秘密があるんですか。だって、片っ端から質問をしてたらお客様も疲れて、それこそ帰ってしまいますよね。

藤原:観察するんですよ(笑)ショールームに入ってきたところからの行動とか営業とは関係ない雑談の中で判断するんです。そうすると大方わかってきますよ。たくさんの人を見ますからね。

川村:ちょっとした内容からヒントを拾っていくわけですね。

藤原:そうです。本当にちょっとしたところからです。
それともうひとつ。そのお客様がどんなことを知りたいと思っているのか、ということと同じくらい大事なことがあるんですよ。何だと思いますか?

川村:なんでしょうか。想像がつきませんが...。

藤原:その人が過去にどんな決断をどのような形でしてきたか、ということを確認するんです。それが契約を決める最後の重要な情報源になるんですよ。

川村:今までの決断の経験ですか?それはまたどうして。

藤原:心の中ではほぼ決めていても、やはり人生を決める決断ですから最後の最後でどうしても迷うんですよね。そのときに、そのお客様の過去の決断を例にとって説得するんです。あの時も迷ったでしょうと。

川村:過去にも経験したことと同じですよ、と背中を押してあげるわけですね。

藤原:そうです。でもそれは、普段からお客様に接していく中で質問をしながら、このお客様はこういうことに興味があるのかとか、過去こうした決断をしているんだとか細かい確認作業を重ねているからこそ出来ることなんですよね。

川村:確認作業ですか。営業と確認作業ってちょっと意外な結びつきですけれど。
営業といえば企業の花形で、いろんな人と会って全国を飛び回ってというイメージですけれど、確認作業って大事ではあるけれど地味な作業ですよね。

藤原:もちろん事務職のする確認作業とは少し違うと思いますが、もし強引に売り込んだらもう来なくていいよって言われてしまうかもしれませんよね。でも、確認するだけならまた行けるんですよ。「嫌われない」ってシンプルだけどすごく重要なことなんです。

川村:なるほどね。いきなり説明しちゃうと嫌われてしまいますものね。


――営業は探偵

川村:
説明してしまう営業としない営業では何が違うのでしょうか。

藤原:「お客様にとって何が一番大切か」という視点を持っているかどうかではないでしょうか。もちろん最終的には家を売ることが目的なんですが、売ることだけしか見ていないとお客様を観察することを忘れてしまう。だからお客様が知りたいと思っていることが何かもわからなくなってしまう。視点をお客様側に置くことができるかどうか、でしょうね。

川村:それもまさに「もののみかたを変える」ということですね!
ものを売るのではなく、何かお客様に問題が発生したときの相談役というか、「問題解決コンサルタント」のような考え方をすれば、お客様を無視した営業にはなりませんよね。自分のフレームワークを変えてあげる。例えば、会社としての肩書きは営業でも自分の心の中では違う肩書きにするとか。

藤原:私は、「営業は探偵だ」と思いますね。

川村:探偵ですか?(笑)

藤原:はい。少しずつ証拠を集めていくところなんか似てると思いませんか?

川村:そうですね!探偵、いいですね(笑)

藤原:ただ、そういうことを言われるのが嫌な人もいますからね。
多くの人は自分が考えて決めたことでないと動かないんですよ。だからその方法をやるかやらないかは自由。そういう方法をとると将来的にどうなっていくかを示してあげて、その上で選択権を与えてあげることが必要だと思います。正しいことを指摘されるのっていやなものですからね(笑)

無理難題を突きつけられてもできないものはできない!というふうになっちゃうんですね。だからまず同じ目線まで下りていって、そうだよね大変だよねって共感するところから始めます。同じことでも誰が言うかによって効果が違ってきますから。共感してくれる人には心を開きやすいものですし。しっかり共感してあげてから、新しい方法を提案してあげる。これはお客様に対しても大事なことですよね。

川村:確かに藤原さんのおっしゃるセールスとして信頼してもらうという部分では、共感の発揮する効果は大きいでしょうね。

できる営業は、共感のできる探偵であれ!というところでしょうか。
営業という仕事の中にも成功の秘訣として、もののみかたを変えるという部分がたくさん隠れていることが発見できました。
もののみかたを変えることは、日常のどんなシーンでも必要なことだと改めて感じた対談でした。
藤原さん、今日はありがとうございました。


66-1.jpg