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2010年06月18日

夢を持てない若者たち

 6月に入り梅雨の季節になりました。
通勤、通学そして日常生活には、晴れの日が何かと都合がいいと考える人が多いことと思いますが、木々や農作物にとって雨は成長を促す大切な天の恵みです。この雨の洗礼を受けて、更に成長を進めそれぞれの季節にやがて実りを迎えます。
明るい温もりのある太陽の光りは、元気に成長する為には、一番大切のものですが、木々や農作物が成長する過程で、時には雨の洗礼を受けることでより逞しく強い根に成長していくように思います。

 人も人生を歩む中で、時には太陽ばかりでなく雨の洗礼を受ける時が生きている限り必ずあります。楽しいこともあれば辛いこともたくさんあるのが人生です。
辛いとき「よっこらしょ」と涙を拭いながら立ち上がりまた歩みを進めることができる人とは、この雨の洗礼を受けている時に愚痴をいうのではなく、しっかりと耐え自分なりに何かを吸収してそれぞれの根をしっかりと大地にはることができた人のように思います。

 最近とても寂しく思うことがあります。若者たちが、夢を持って歩みを進めている人が少ないということです。
「将来何になりたいかわからない」「こうなりたいという思いを秘めていてもそれに近づく努力をしていない」「今がよければそれでいい」「こんな世の中だから夢をもってもしょうがない」次々に若者らしかぬ寂しい言葉が耳に飛び込んできます。
限りない可能性と未来があるのに何故?思わず心の中でつぶやいてしまいます。
夢を持てないことを、この社会や時代のせいにするのは少し違うのではないでしょうか。

 今よりも物もなく経済的に豊かでなかった時代に生きた先人達でさえも、その時代のせいにすることなく、人生の中で雨が降っても逃げることをせずしっかりとそのことを受け止め、それを成長の糧にして自分の夢や目標に近づく努力をしながら生き生きとその人生を駆け抜けていった人達が多くいます。苦労すること、努力すること、ころぶことを恐れていたら何も進歩がありません。どんな些細なことでもいいから「こうなったらいいな」「こうしたら嬉しいな」と、自分の心の声を聴く余裕を持ちそれを温めながら少しずつ夢の実現に近づいていく努力をする姿勢はとても大切なことであり、その時間を経てはじめて梅雨あけのようにそれぞれの実をつけることができるのではないでしょうか。

 子ども達の傍にいる私たち大人は、それぞれの子どもが持つ個性や秘められた原石を尊重し、夢を持つことの大切さや、自分らしく生きることの楽しさを幼い頃から子どもに身をもって伝え、子どもが自発的に「こうなりたい」という思いを持ち、未来を切り開いていくきっかけを早い時期から子どもとの触れ合いのなかで楽しみながら一緒に育んでいったならば、諦めずに前を向いて夢を持ちながら人生を歩く楽しさを知った若者が、もっと多くなるのではなでしょうか。

 生きづらい世の中だからこそ、クラーク博士の『少年よ、大志をいだけ』ということばが、今、とても力強く響いてきます。

 生きるということは、大変なこと。しかし楽しいことでもあります。
命は、有限です。
だからこそ、一度しかない人生、悔いなく生きたいものですね。

春日美奈子

春日美奈子

春日美奈子かすがみなこ

フリージャーナリスト

國學院大學大学院法律研究科法律学専攻修士課程修了。報道畑25年の経験を生かし、少年院や教護院(現・児童自立支援施設)での実習を通し、常に現場の”今”や”生の声”を大切にして、少年問題に取り組んでいる。

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