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2016年10月25日

ゲームの中で「友達になる」とは?

 中高校生の保護者の方を対象にした講演会の際、こんなご質問を受けることがあります。
「子どもがスマホやパソコンでネットゲームをやっています。そこで仲良くなった友達と盛り上がるのが楽しいと言って、深夜までつづけることもあります。どうやって友達を作ったり、一緒に遊んだりしているのでしょうか」

 実際にネットゲームをやったことのない人にとっては、「ゲームで友達を作る」とか、「一緒に遊ぶ」というのがピンとこなくても無理はありません。学校の同級生が家に来てみんなで遊ぶというならわかりやすいですが、スマホやパソコンに向かっているだけで「友達になる」とはどういうこと? そんな疑問は当然とも言えます。

 そこで今回は、ネットゲームで友達になる、一緒に遊ぶという仕組みについてご説明しましょう。
あくまでも一例ですが、冒険モノのようなゲームをはじめる際、「キャラクター」を設定します。これは役柄や役割といった意味です。演劇を思い浮かべるとわかりやすいかもしれませんが、自分が王様役になるとか、狩人になるとか、勇者になるとか、好きなように決めるわけです。

 仮に「狩人」というキャラクターを選んだとしましょう。するとゲームの画面には、狩人の姿をしたキャラクターが現れます。これがゲーム空間での「自分」です。名前をつけたり、服装や武器を選んだり、自分とよく似た顔に設定することもできます。

 こうして冒険の旅に出た狩人(=自分)は、街道や森、砂漠といったさまざまな場面で、村人や動物、敵などに出会います。村人として出会った人というのは誰かが設定したキャラクターで、ゲームの中で「一緒に戦いましょう」などと話しかけてきます。もちろん狩人のほうから話しかけることもできます。

 こうした会話は「チャット」と呼ばれ、マンガの「吹き出し」のように文字で表示されます。互いに文字で会話し、親しくなると、友達や仲間として登録しあいます。すると、その後のゲーム進行では、互いに相手の状況がわかったり、自由に意志疎通ができるようになります。

 狩人が町の酒場に入ったとしましょう。店内に「仲間」になった人たちが集まっていたら、複数で会話をすることもできます。店内の様子や仲間内の会話は、グループ内の全員で共有しますから、「みんなで作戦会議をやろう」とか、「意見のある人は出してください」とか、現実世界での井戸端会議のようなこともできるのです。

 仲間に知られず「この人とこっそり話をしたい」などという場合には、指定したキャラクターだけを会話に誘えるような仕組みもあります。「ツーショットチャットルーム」などと呼ばれますが、たとえば2人だけで秘密の話をしたいとき、ほかの仲間には知られない形でチャットすることもできます。

 こんなふうに、私たちの現実生活を踏襲したようなゲームの世界があるのです。冒険の途中で仲間を増やす、みんなで作戦を練る、協力して敵を倒すといったものだけでなく、結婚や出産、家を建てる、土地を耕す、市場にモノを売りに行く、学校で勉強する、パーティーを開く、楽器を演奏する…、挙げたらキリがないほどの「物語」がゲームの中で展開します。

 仮に仲間の誰かがゲームの中で結婚したら、それをみんなで祝ってパーティーを開くということもできます。もちろん「チャット」で会話できますから、一緒に盛り上がり、ますます仲間意識が強まります。

 ただし、ゲーム上の友達は良い面だけではありません。戦闘の際に仲間の足を引っ張って批判されたり、互いの意見の食い違いから誹謗中傷合戦になったりします。特定の人と親しくなりすぎて「ストーカー」のようにつきまとわれたり、根も葉もない噂を流されることもあります。現実の友達関係にもいろいろなトラブルがあるように、ゲームの世界にも思わぬ危険が潜んでいるのです。

 ネットゲームで友達を作ることのメリット、デメリットをしっかり考えられるよう、子どもだけでなくおとなも情報収集してください。また、子どものゲーム利用には必ずルールを設け、「深入りさせない」ことが大切です。

石川結貴

石川結貴

石川結貴いしかわゆうき

ジャーナリスト

家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表している。 出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各…

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