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コラム 環境・科学

2012年06月25日

家庭での節電対策

東日本大震災が発生する前、日本では電力の29%を原子力発電が賄っていました。しかし、2012年6月11日現在、国内総ての原子力発電所が稼働停止の状態になっています。原発事故のあった東京電力では今夏、家庭向けの電力料金の約10%の値上げを計画し、関西電力や九州電力でも今夏の節電を呼びかけています。日本にとって電力供給は当面は厳しい状況が続く事になりますので、節電は極めて重要なことです。今回は家庭での効果的な節電法について述べてみたいと思います。

■電力の供給と需要状況
これまでの電力供給は、ベースになる電力を原子力、季節によって電力需要が増える時間など変動する部分は火力発電で賄ってきました。人の活動は昼間が主ですので、電力の需要が増加するのも昼間となります。

家庭と企業を含めた社会全体の電力使用ピーク時間は、夏季は冷房の需要が増加する午後2時頃、冬季は朝9時頃と夕方6時頃です。これは家庭と企業での使用が重なる時間帯のためです。尚、家庭だけに着目しますと、夏季と冬季ともに午後7時~8時頃に電力需要のピークがあります。冬季の暖房は電力以外にガスや石油で行えますが、夏季の冷房はほとんど電気によるエアコンに頼ります。従って、年間を通して一番電力消費のピークを迎える時は、猛暑の夏の午後2時頃です。このピーク時の需要に電力供給が追い付かなくなると、停電という事態に陥ってしまいます。

節電することの目的は、大きく分けて三つあります。

一つは上述の需要のピーク時に極力電力の使用を控え、停電を避けること。
二つ目は、休止している原子力発電に代わる火力発電への負荷を、
出来うる限り軽減することです。火力発電に使う燃料費も、
国民にとって大きな負担となっています。
三つ目は電気を使用する消費者自身の経済的負担を小さくする事です。

■家庭での節電の基本
平均的な夏季・午後2頃の家庭における電力消費の分野別の割合は、エアコン53%、冷蔵庫23%、照明5%、テレビ5%、待機電力4%、その他が10%です。この項では、具体的な節電法と節電効果を述べます。

<節電効果が高いもの(主に夏季)>
・エアコンの設定温度を28℃とする:10%の節電
・すだれやよしずなどで窓からの日差しを和らげる:10%の節電
・(無理のない範囲で)エアコンを消して扇風機を使う:50%の節電
・冷蔵庫の設定を強から中に変え、扉を開ける時間をできるだけ減らし、
 食品を詰めこまないようにする:2%の節電
・日中は照明を消し、夜間も照明をできるだけ減らす:5%の節電
・テレビの画面の輝度を下げ、見ていない時はこまめに消す:2%の節電

<節電効果は低いが、積み重ねると大きくなるもの>
・炊飯器でご飯を炊く際、早朝にタイマー機能で1日分まとめて炊き、
 保温機能を利用せずに冷蔵庫で保存する:2%の節電
・リモコンではなく電化製品本体の主電源を切る、
 長時間使わない機器はコンセントからプラグを抜くなどして
 待機電力を減らす:2%の節電
・温水洗浄便座や暖房便座の便座保温・温水の
 オフ機能・タイマー節電機能があれば利用し、
 機能がない場合はコンセントからプラグを抜く:1%弱の節電

<その他の節電法>
・エアコンの空調効果を下げないために、フィルターの定期的な掃除をする
・冷蔵庫内にビニールカーテンを取りつけ、冷気の無駄を減らす
・お湯は電気ポットを使わずコンロで沸かす
・洗濯機は、容量の80%程度を目安にまとめ洗いをする
・白熱電球の代わりにLED電球を使うなど、
 電気機器を省エネ効果の高いものに取り換える
・食器のまとめ洗いやシャワー時間の短縮など節水を心掛ける
 (節水によって、水を送るポンプや上下水道施設の消費電力を減らすことができます)
・一日の家事スケジュールを立て、なるべく朝9から夜8時までの時間を避けて
 電気製品を上手に使う

夏期の暑い日には、家の電気の半分以上をエアコンが使っています。家族がなるべく一ヶ所に集まり、一台のエアコンで涼をとると節電になります。また、みんなが家を出て美術館や図書館等の公共的施設や商店街のお店に集まって、暑さをしのいで節電することもできます。このような方法は「クールシェア」と呼ばれています。

今回は夏季における家庭での節電法について触れましたが、節電効果は経済産業省の試算を参考にしました。また冬季の節電法も基本は夏季と同じです。夏に向けて、本稿を参考にして皆様で節電に取り組まれる事をご期待致します。

進藤勇治

進藤勇治

進藤勇治しんどうゆうじ

産業評論家

経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…

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