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コラム 環境・科学

2012年05月25日

私の講演の取り組み方について

私は環境問題とエネルギーに関するテーマを中心に講演活動を行っています。今回は私の講演を行う基本姿勢や、最近の講演活動の動向等についてご紹介してみたいと思います。

■3.11以降の講演活動について
昨年の原発事故以降、放射線問題および新エネルギーに関するテーマの講演を非常に多く行っています。また、最近はTPPテーマの依頼も多く頂いております。

依頼主は、以前は商工業等の地域の各種団体や企業グループが中心でしたが、最近は農業関系の団体からの依頼が非常に多くなりました。その背景には、農業が放射能汚染によって深刻な被害を受けていること、また、将来的にTPPが実施されれば大きな影響を受けてしまうという、厳しい現状が表れていると思います。講演を実施する地域は東北および関東近県が相対的に増えており、これもやはり原発事故の影響と思われます。

■聴講者に望まれる講演内容・方法
先日、福島県内のある市からの依頼で農業関係者を対象に講演した際、終了後に聴講の方々から「これまで様々な機会に放射線に関する講演を聞きましたが、大変分かりづらかった。しかし、今回は大変理解し易い講演だったと」いう感想や、「いろいろのモヤモヤも払拭され、将来に希望を持てた」といった率直なお気持ちを聞かせて頂くことができました。実は最近、私の元にこういったご感想が非常に多く寄せられています。

原発事故や放射線に関する専門家の講演が、一般の方々にとってしばしば理解が十分に得られないのは、主に二つの理由にあると私は推測しています。

まず一つ目は、専門家が聞き手の立場を考えずに、高度な専門的な話をそのまま話してしまう点。二つ目は、放射線や原子力は非常に裾野が広い技術・学問分野であり、専門領域が多岐にわたるため、全体的な知識を持つ個々の専門家が少ない点。原発や放射線問題においては、大きく分けると核物理学、原子力工学、放射線医学等の領域あります。

「放射線にはどのような種類があるか」、
「半減期とは何か」などは、核物理学の分野。
「原子力発電所を設計・建設して運転する技術」、
「核燃料の濃縮と処理や放射能の除染」などは原子力工学の分野。
「放射線の人体への影響等の研究」は放射線医学となります。

■聴講者からの質問例・疑問例
現在、放射線の被曝限度量は年間1ミリシーベルトとされています。このことに関連し、聴講者の方から、「ある科学評論家が、年間1ミリシーベルトを超える被曝量は危険という説明をしていました。原発事故直後、事故収束を目指して働いていた方々の被曝限度量は年間250ミリシーベルトで、現在でも年間50ミリシーベルトを限度量として仕事をしています。これはとんでもなく危険な状態という事になりますよね?」という疑問が寄せられました。

年間1ミリシーベルトを超える被曝を危険とするならば、日本人の自然界の放射線被曝量が平均年間1.5ミリシーベルトであるのに対して、世界における自然界からの放射線被曝量は平均年間2.5ミリシーベルトであり、世界の人たちは日本人に比べて危険な状態となってしまいます。また、先進的な医療を受けている日本人は、レントゲンやCTなどの医療検査等で平均的に年間2ミリシーベルトの放射線を被曝しています。これも大変危険、という事になってしまいます。

専門家による講演等においては、「年間1ミリシーベルトという限度量は、原発の運転や核燃料の処理等の産業活動から放出される放射線量を年間1ミリシーベルト以内に封じ込めるという意味の数値であること」を、聞き手に的確かつ冷静に伝える事が重要と思います。そして、自然からの放射線量や医療検査で受ける放射線量、さらに原発で働く人々の放射線限度量の意味を適切に説明することも大切です。

以上は一例ですが、私は聴講者に誤解や不安、疑問を与えないように、バランス良く丁寧に説明をしながら講演を行っています。そうしますと、聴講者は大変よく理解してくれます。
 
■私の基本姿勢
さて、原発事故や放射線問題の講演を行う時に、まずはじめに、自分自身のスタンスを明確に示してから講演を行います。

私は原発容認・推進派でも原発慎重・反対派でもありません。基本姿勢は中立です。将来、原発をどうするかというような国家的問題は、民主主義的な議論やプロセスを経て国民によって決められるべきことと思います。科学者である私は、原子力や放射線問題に関して、多角的な視点から核物理学、原子力工学、放射線医学等の正確な情報や専門的知見を、皆様に分かり易くお伝えすることを第一にして講演を行っております。

以上が講演における私の基本姿勢ですが、これは他の環境やエネルギー問題に関する講演でも同じです。

進藤勇治

進藤勇治

進藤勇治しんどうゆうじ

産業評論家

経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…

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