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コラム 環境・科学

2011年02月25日

事業系ゴミの減量について

 当コラムをお読み頂いている皆さまなら、ゴミ処理など身近な環境問題に対してもご関心がおありかと存じます。近年、廃棄物処理に関する規制が厳しくなり、廃棄物処理に必要な費用は増加するばかりです。職場や事業所から出るゴミの適正処理と減量は、事業者にとっては大きな課題となっています。今回は出るゴミを極力減らす方法について考えてみます。

【事業所におけるゴミ減量】
 事業所から出るゴミは、事業系一般廃棄物と産業廃棄物に分けられます。産業廃棄物は法律で定められており、産業廃棄物以外が事業系一般廃棄物となります。産業廃棄物は事業主の責任で費用を支払って適正に処理しなければなりません。事業系一般廃棄物は市町村が管轄しておりますが、やはり事業主が業者に費用を支払って引き取ってもらう形が一般的です。
 職場のゴミを減量した場合のメリットは、まず経費を削減できることです。丁寧に分別すれば、ゴミではなく有価物資源として売る事も出来ます。このような取り組みは企業のイメージアップや、 従業員の意識改革、モラルの向上にもつながります。
 ゴミの減量は、事業主の役割が大きいものです。事業主はゴミ適正処理の重要性をしっかりと認識し、先頭に立ってゴミ減量を推進して頂きたく思います。
 ゴミ減量を行う場合の基本的な行動を考えてみます。まず、ゴミの種類や量、発生場所等の現状を把握し、個別にゴミ発生の原因の調査や分析を行います。その結果を受けて、減量のルールを決めるとともに、部署ごとに責任者を決め、その下で社員全員で実行します。まずは効果の大きいものから減量に取り組んでいく事をお勧めします。ゴミ減量の実行結果は表やグラフで可視化し、評価や分析を行うと良いでしょう。評価をもとに行動の見直しを行い、計画を改善していきます。このような行動を繰り返すことによって、的確なゴミ減量が実現できます。

【ゴミ減量の基本は3R】
 3Rは次の三つの語の頭文字Rから来ています。
 「Reduce」とはゴミの発生抑制です。職場において仕事や工程を見直して、ゴミを出さず減らす努力を期待致します。
 「Reuse」とは再利用のことです。使い捨て物品の使用は極力避けて、物を大切にし、繰り返し使うことが望まれます。
 「Recycle」とは再生利用や再資源化のことです。ゴミとして捨てずに分別して、可能な限りリサイクル使用することです。廃棄物であったものを再資源化して、有価物として処理することは経費の節約にもつながります。
 以上が3Rですが、さらに2つのRを紹介しておきます。
 「Refuse」とは断ることです。納入業者とよく相談して、 過剰な包装・梱包を断ることにより、ゴミを減量できます。
 「Return」は返却することです。納入には通い箱を利用するなど、ゴミとなるような物品は 出来うる限り、納入業者に引き取ってもらうと良いでしょう。

【職場におけるゴミ減量の事例】
 身近なゴミ減量例として、オフィスや飲食・食品関係の職場の取り組みを以下に示します。
 (1)オフィスにおける例
 事務用品に詰替用を使用する、社内の部署間で不要品の販売や交換を行う、パソコンやEメールを使い紙の使用は極力避ける、コピー用紙は両面使用する、個人配布を減らしてなるべく部署内回覧する、メーカー回収品は積極的にメーカー回収に出す、使用済み封筒を利用したり、使用済み用紙の裏面を利用するなどがゴミ削減につながるでしょう。
 (2)オフィス町内会における例
 オフィス町内会とは、同じ地域や同じビル内の事業所同士の集まりです。まずは紙のみを対象にして行うと良いでしょう。段ボール、新聞、雑誌、OA紙など一括して集め、共同で取扱業者に資源ゴミの回収を依頼します。紙資源の売却益がありますので、回収業者に対して引き取り費用がトータルで軽減されます。
 (3)飲食店における例
 燃やせるゴミと燃やせないゴミの分別する、生ゴミの水切りをしっかりと行う、使い捨て用品の使用をなるべく控える、洗剤や調味料は詰替用のものを使用する、飲み物はなるべくリターナブル瓶を使用する、取引先と協力して通い箱の利用する、生ゴミは堆肥化や家畜飼料にする、などがゴミ減量の効果があるでしょう。
 飲食関係のゴミは生ゴミの比重が大きく、水切りは重要です。例えば、底に網が張ってあり、簡単に水切りできる構造の生ゴミ保管容器を設置し、利用する方法があります。一晩で、投入した廃棄物重量の20~30%相当を減量することが可能です。水切りは、飲食店と回収する側の双方にとってメリットがあります。
 (4)食品製造事業所の減量例
 製造ロスを抑えるため、ユーザー注文予定数の精度を高めて予測をする、ユーザーへのアンケート調査によってメニューを改善して食べ残しを減らす、鰹だしかすを園芸農家で肥料として使用してもらう、ご飯を普通と大盛りを選択できるようにして食べ残しの量を減らす、などが考えられます。

 環境問題の解決の第一歩は、まず一人ひとりが身の回りの課題から取り組む事です。事業所でのゴミ減量は経費の節約にもつながります。今回紹介しました事例を参考に、皆様でも職場のゴミ減量に取り組まれる事を期待致します。

進藤勇治

進藤勇治

進藤勇治しんどうゆうじ

産業評論家

経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…

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