
アメリカトランプ大統領がイランへの再攻撃に踏み切りました。現時点においてイラン領内では子供含む1230名の犠牲者が確認されています。アメリカ軍はイラン軍事施設への爆撃から制空権確保に向けた大規模攻撃を展開させイランイスラム体制を崩壊させると宣告しています。トランプ大統領は昨年6月にもイラン核開発施設破壊攻撃に踏み切り12日間の戦闘で核開発の進展を遮断させました。今回の攻撃は通称『壮大な怒り作戦』と銘打っています。

アメリカ軍はイラン攻撃に踏み切った初期の段階でイラン最高指導者アリ・ハメネイ師を殺害。イスラム強権体制に反発するイラン市民に反政府活動を扇動しました。アメリカ軍が攻撃対象に上げてきたイラン革命防衛隊の弱体化も顕在化しており情報統制が敷かれてきたイランで体制支持派、反体制派双方の主張が世界に発信され始めています。アメリカ軍の圧倒的な兵力によりイラン国内の軍事施設は壊滅状態となっておりイランによる報復攻撃は周辺国のアメリカ軍施設や空港など散発的な動きに収まっている状況であります。
イラン情勢で最大の要となっているのがイラン南部に位置するホルムズ海峡の存在であります。この海峡は中東一帯のエネルギー資源の輸送航行ルートとして世界各国が依存する大動脈であり日本に限っては原油輸入の約95%がホルムズ海峡経由で搬入されています。イラン革命防衛隊はこのホルムズ海峡の封鎖というエネルギー不安定化を脅しにした戦術を展開させてきました。すでにホルムズ海峡の内側にあたるペルシャ湾で外国籍船舶への攻撃を仕掛けています。アメリカ軍は航行船舶への安全保障として周辺海域での監視体制を強化しました。

イラン攻撃によるイランイスラム体制が崩壊した場合、武力による主権国家介入が正当化される論理が中東全域に派生します。イランはイスラム教シーア派のイスラム教国。世界のイスラム教国の約90%がスンニ派であり約10%のシーア派はイランの存在で保たれています。イランは1979年にホメイニ師によるイスラム革命を成就させたことで国家体制の大転換機を迎えました。それまでイランを統治してきたアメリカ傀儡政権と揶揄されたパーレビー王朝を瓦解させそれ以降徹底したイスラム思想を基盤とした監視管理体制を全域に広げていきます。イラン革命防衛隊を主軸に国民の生活基盤ほぼ全てを統制下に置いていき秘密警察をはじめとした密告監視体制を浸透させました。イスラム教義を掲げながらの反政府分子を排除していく強権国家体制がイランの特徴であります。約半世紀前のイスラム革命に伴う国家思想は現代の国民生活を抑圧していました。世界各国を巻き込んだ核開発疑惑、それに伴う経済制裁により国民生活は破綻。昨年12月にイラン反政府デモが全土に展開した折にはイラン革命防衛隊の存在が抑止力となりましたが、今回のアメリカ軍の攻撃で統治能力は機能不全に陥っており、この先のイラン政権が国民に寄り添った指導体制になり得るのか、中東情勢の激変期が迫っています。


渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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