
イスラエルガザ軍事侵攻による犠牲者が7万100人に及んだことが判明しました。10月10日の停戦合意後もイスラエル軍の爆撃が続きこの2ヶ月間だけで少なとも360名の犠牲者を確認。ガザ停戦合意を利用したイスラエル軍の一方的な攻撃に世界各国から非難の声が上がっています。
これまで繰り返されてきたガザ停戦合意とその断絶を振り返ると2023年11月に1度目の停戦合意が7日間維持されましたが戦闘再開により断絶。2025年1月にも6週間の停戦合意が続きましたが双方の攻撃確認によって合意は崩壊。2025年10月10日にはアメリカトランプ大統領仲介で停戦合意が承認されましたがその後もイスラエル軍は爆撃を継続しています。

ガザ停戦合意の主軸であるハマス拘束の人質完全解放を巡ってはイスラエル側が人質遺体を含め全員解放が確認され次第、ガザ南部エジプト国境ラファ検問所を双方向で開放すると明言しています。国境地帯に控えるガザ緊急支援物資輸送再開の可能性が高まっており人道支援体制の加速が期待されます。現時点においてハマスが人質遺体返還を段階的に進めてきたことで残される遺体は1人となりました。同時にハマス解放の人質遺体が別人であったことも判明しており合意履行の不安要素は拭いきれません。
ガザ南部ラファではイスラエル軍とハマス戦闘員の交戦が勃発したことでイスラエル軍が報復措置としてガザ南部最大都市ハンユニス難民キャンプへの攻撃に踏み切りました。さらにラファの地下トンネルに潜伏するハマス戦闘員を包囲し戦闘員の降伏を要求しましたがハマス側が拒否。ガザ停戦合意の条件であるハマスの兵力解除と戦闘員解放の目処は立っていません。

ハマスに関してはガザ領内で敵対する武装勢力との衝突も確認され、ベドウィン族戦闘員の指導者であったヤセル・アブシャバブ氏の死亡に関与した疑惑が指摘されています。このシャバブ氏を巡ってはイスラエル軍がシャバブ氏とハマスの敵対関係を利用し武器を供与。ガザ領内撹乱戦術の前線部隊として暗躍していたことが判明しました。
長期化するガザ軍事衝突はパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地域にも飛び火しており西岸の街トゥバスではイスラエル軍が新たな軍事作戦として過激派監視を掲げた検問所と攻撃拠点を構築しました。同じく西岸の街ジェニンでも投降したパレスチナ人2名が射殺される事件が発生しています。イスラエル政府は警察とユダヤ強硬派による住民襲撃事件と西岸地域へのユダヤ人入植活動を連動させ国際法違反であるユダヤ居住地域拡大を既成事実化しています。イスラエルのユダヤ至上主義派のベングビール国家安全保障大臣はパレスチナ自治区の存在を認めないと断言しました。ガザ停戦合意の進展は事実上破断の状態となっています。


渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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