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コラム 人権・福祉

2023年06月12日

グローバルサウス新興国

2023年5月に広島で行われたG7サミット。岸田首相が首脳協議の中で繰り返し触れたグローバルサウスという存在に注目が集まっています。グローバルサウスとは地球環境やエネルギー・資源を巡り日本を含め欧米諸国との連帯と断絶が絡み合ってきた新興国や発展途上にある国々のこと。広島G7サミットにはグローバルサウスと呼ばれる国々からインド、インドネシア、ブラジルが参加しました。

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その中で良くも悪くも存在力を放つブラジルのルラ大統領がウクライナ戦争を巡りロシア寄りの外交立ち位置を保ちながら、停戦に向けた欧米各国とロシアや中国を絡めた停戦協議を提案してきました。来日したウクライナのゼレンスキー大統領はブラジルとロシアの連携に警戒を強め、ルラ大統領との直接協議を遮断しました。ブラジルは世界有数の農業大国であり、その巨大産業を支える膨大な農業用肥料をこれまでロシアに依存、国内産業維持のためロシアとの関係を遮断できない現状がありウクライナに肩入れしない外交姿勢を突きつけました。

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中東地域に目を向けるとグローバルサウスの中で特に影響力を強めているトルコの存在が際立ちます。5月の大統領選挙では現職のエルドアン大統領(69歳)が再選を果たしました。エルドアン大統領は約20年間に及ぶ強権体制を維持。トルコ経済の不信やトルコ大地震の対応不備など国内からの強い反発がありながらも、ウクライナ戦争ではロシアとウクライナの架け橋となる存在力を発揮。プーチン大統領とゼレンスキー大統領双方との連絡窓口を持ち、停戦協議や食糧危機に関わる障壁の仲介役として実績を重ねてきました。実際に大統領続投となったエルドアン大統領にロシア、ウクライナ双方から祝辞が送られています。トルコは1923年に建国。政教分離の国家指針を掲げるも2000年代から約20年間に及ぶエルドアン強権体制が建国理念とは真逆のイスラム政治思想を強靱化してきました。それでもウクライナ戦争におけるトルコ仲介外交の存在は外せない選択肢であり欧米各国も強権体制への批判を強く押しきれない現状があります。

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ウクライナ領内では依然ウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムートを巡る戦闘、さらにウクライナ軍による大規模軍事作戦発令の動きなど開戦から約1年4ヶ月を経ても戦闘停止の動きはありません。グローバルサウスを含めた世界各国の絶え間ない連帯が戦闘を休止させる原動力になり得ることを信じています。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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