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コラム 人権・福祉

2018年04月20日

中東シリア情勢・イスラム国壊滅から列強の介入

 中東シリア情勢が動いています。アサド政権による空爆で首都ダマスカス近郊の反体制派組織の拠点東グータ地区が完全制圧されました。シリアを支援するロシアの軍事力が反体制派組織の撤退合意を引き出すほどに激烈な爆撃を加え、1600人以上の死者を出す事態となっています。

壊れた車軍人

 同時期にシリア北西部では、隣国のトルコ軍がシリア領内のアフリンに越境攻撃。トルコからの独立闘争を続けるクルド人組織撲滅を大義にクルド人民防衛隊(YPG)を駆逐。シリア領内にトルコ軍が駐留し、さらにそこから100km地点にあるクルド組織の拠点マンビジュへの戦闘拡大を宣言しています。このYPG部隊にはアメリカ軍が有志連合として軍事支援をしており、対シリアに向かっては連携を取っているはずのトルコとアメリカ軍がYPGを絡めて衝突する可能性が指摘されています。

アフリントルコ国旗

 2011年3月から始まったシリア内戦。約7年の間に政府軍、反政府軍、過激派組織イスラム国、アメリカ軍支援の有志連合が群雄割拠となり内戦が複雑化。さらにシリアを軍事支援するロシアを筆頭に周辺国のトルコやレバノン、イランが介入。シリア全土で各国の思惑を前面に出した戦闘が繰り広げられてきました。

 こうした混乱の中であっても政権基盤を固めつつあるアサド大統領は今後もロシアとの連携を保ちながら自らの立ち位置を定めていくと思われます。その振る舞いはまるでロシア連邦シリア共和国と揶揄されるほどにロシアへ依存し、軍事拠点の提供、中東地域の統括権を認めるものとなっています。

内戦軍事拠点

 かつて中東情勢の舵取りを牽引したアメリカはトランプ政権となった昨年から中東への介入を削減し、存在力が急激に減退し、その空白を狙うかのようにロシア、トルコ、イランがシリア内戦に絡みつき、安定和平への合意を結ぶ状況にまで繋がりをみせています。過激派による混乱期から次世代の利権を狙った代理戦争ともいえる諸外国の介入がアラブ諸国に刺激を与えることは避けられません。特にロシアとシリア・アサド政権の関係に注視が必要といえます。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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