アフガニスタン首都カブールにある大学では男性と女性が同じ教室で勉強していた。キャンパスではイスラムの女性としては珍しい西洋風のファッションに身を包む女生徒たちが目立つ。ジーンズをはきパンプスで颯爽と歩く女学生の姿は、日本の大学生と変わらない。日本では当たり前である男女共学の光景は、アフガニスタンでは最近まで決して当たり前ではなかった。
ここでは宗教の関わりから男性と女性の環境に大きな違いがある。仕事や教育の面でそれは顕著で、地域によっては女性が学ぶ機会さえも持てない場所も存在する。それゆえカブール大学での性別も部族も問わない教育環境は新しいアフガニスタンの希望の象徴である。
アフガニスタンの将来は若者たちにかかっている。学生たちは誰しもがこう語る。「将来の夢はアフガニスタンのためになる仕事につくこと。政治家や弁護士、医者になり混乱するアフガニスタンの人々を救いたい、今の政治家には限界がある。自分たちが国を創り上げていかなければならない。」
女学生の言論の場が出来上がりつつある。女性がもの申せる環境はアフガニスタンでは画期的であり、歴史のなかで女性が教育、社会への参画、政治を変えていくということはごく稀であった。国民が教育という”武器”に気がつき始めている。教育が戦争や貧困を変えていくことを国民が認識した。歴史と宗教は大切な生活の指針であるが、新興アフガニスタンでは学生たちの存在が国を大きく変えていく。
駐留アメリカ軍の復興支援活動にもその方向性は重なっている。米軍のアフガニスタン戦略で注目されるのは学校再建活動にある。破壊された学校を建て直し、再び子供たちに学べる環境を提供する。米軍兵士たちは言う。「アフガニスタン人によるアフガニスタン人のための復興支援活動をしていきたい。」
2011年、アフガニスタンの若者たちの力が国を変えていく原動力となる。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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