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2016年12月09日

未来をどう読んでいくか

時代の変化の大きな波が来ています。
今までも大きな波は数多く来ていましたが、これまでと大きく違うことは、この大きな波に気づいている人が少ないということです。静かに大きく押し寄せている感じでしょうか。

そして人の輝き方も変わって来ています。
「輝く」という定義が変わって来たと言った方が近いのかも知れません。
人に合わせられる順応性があることが輝くことに繋がる時代もありました。人と違う尖がったことをすることが輝くと見る時代もありました。これからは「自立」と「協調」がキーワードになって来ることでしょう。

今回テーマにしている人の輝きもITについても、普遍的な回答はありません。
その時代を理解し、未来を出来るだけ正確に見つめていくことが重要となります。
当連載記事では、この人の輝きといったアナログなところと、最新テクノロジーの筆頭に立つITというデジタルなものが、どう接点をなすのか、その辺を掘り下げていきたいと思います。

連載初回となる当記事では、時代の変化から語っていきたいと思います。

とは言いつつも、未来を読むことって、どれくらいの精度で出来るものなのでしょうか?
まず画像1と画像2を見比べて、違いを見つけてみてください。

画像1 バチカン市国のローマ法王謁見シーン(2005年)
バチカン市国のローマ法王謁見シーン (2005年)

画像2 バチカン市国のローマ法王謁見シーン (2013年)
バチカン市国のローマ法王謁見シーン (2013年)

画像1は2005年のローマ法王の謁見シーンです。今から11年前の出来事となります。
画像2はそれから8年後の2013年のローマ法王の謁見シーンです。
違いがわかりますでしょうか?
そう、2013年にローマ法王を見に来た人達が頭上にかざしているのはスマホなのです。
ローマ法王を撮ろうとスマホを取り出しているのです。

今から11年前に、それから8年の間にスマホがこれだけ普及すると予測出来た人はどれくらいいたでしょうか。きっとほとんどいなかったでしょう。それくらいテクノロジーの進化は激しく起こっています。

そこからわかることは、今から10年後を予想しようとしても、当たる人はほとんどいないだろうという事実です。未来は運命のように流れてやって来るというよりは、とても強い意志を持った人の行動力によって創られていくものなのかも知れません。そんな読めない未来に向かって、我々はどう輝いていったらいいでしょうか?

1つ言えることは、テクノロジーの側面から未来を予測しようとすると「読めない」となるので、あてに出来る変化を見つけて、そこから考察することです。このあてに出来る変化というのが、実は我々人間にあります。

それは人間の数、つまり「人口」という観点と、「平均寿命」という観点です。
この観点から見ていくと、未来の姿をある程度予測することが出来ます。
特に人口に関しては、戦争や災害等によって極端に減ることがなければ、比較的長いスパンで未来を読むことが出来ます。

図1にあるように、人類の歴史から見ると凄い変化の時代に我々は生まれて来ています。

図1 世界人口の推移  出典:国連人口基金東京事務所
世界人口の推移(c)Dolphere Ltd.

人類が生まれてから数万年は緩やかな人口の伸びであったのですが、ここ100年で上昇角度が大きく変わり急激な伸びの一途になりました。
過去の事例から未来を読むのが危険なぐらいの人口増加のカーブです。

そして特筆すべきは、そういった世界の人口増加の中で日本は人口減に転じているという事実です。(図2)

図2 日本人口の推移(c)Dolphere Ltd.
日本人口の推移(c)Dolphere Ltd.

 

人口密度増加がストレス増加に影響し、それが人口抑制に働きかけているのかも知れません。そうだとすると、日本はこれから世界の見本となって適切な「生き方」をリードしていかねばならない立場と言えます。

この人口増加から人口減少へ転じたのは、ちょうど2000年頃になります。
くしくも20世紀の生き方と21世紀の生き方を色分けする象徴的な分岐点になりそうです。

モノを作れば作るほど消費されて来た20世紀の時代と、モノを作っても価値が認められなければ消費されない21世紀の時代へと変わりつつあります。欲しいものは大抵保持することが出来る世の中になり、一方地球の資源は枯渇して来ている現実。

こういった背景に、明らかに「価値観」が変わって来ております。
この変化を冒頭で「静かに大きく押し寄せている」と書かせていただき、多くの方が頭で理解していたとしても肌ではまだ感じていないのではないかと懸念するわけです。

モノを作れば作るほど消費された時代にすべきことは、大量生産による原価の最小化でした。そのために稼働率の良し悪しは無視してでも優秀な人材を確保することが肝要でした。個性を無視して、号令と共に一定の品質のモノを安く沢山作ることが「良し」とされる時代でした。いわゆる合理化の時代です。
当然ITというテクノロジーも「合理化」の手段として期待され、その観点で発展して来ました。

しかし前述したように、作っても売れない時代が到来すると価値観は変わります。
「隣と同じモノ」よりは「自分に素敵なモノ」が喜ばれる時代です。
大量生産で利益を捻出するビジネスモデルから、個に合わせて高い価値を提示していくことで利益を捻出するビジネスモデルへの転換が求められています。

インターネットの技術を代表にITのインフラも整って来たことも、この新しい「付加価値創出」のビジネスモデルの後押しをしています。稼働率を無視して優秀な人材を確保しないまでも、プロジェクト毎に優秀な人材が動的にタッグを組めるITインフラが整って来ました。「会社」という囲い込みで一定の品質を提供することよりも、優秀な「個」が動的に、そして最適に集まれることの方が価値を提供出来る時代です。
そんなことからIT利用の活路も、合理化手段から付加価値創出手段へと変わって来ております。

「足で稼げ!」と言ってそれが通用していた時代も終わりを遂げようとしています。
みんなが同じものを欲しい時代にはこれでもよかったのです。かいた汗の分、営業に繋がりました。しかし個性が多様化したいま、如何に効率的に欲しい人に欲しいモノを提供出来るかがビジネス成功可否の分かれ目になって来ています。

「ニッパチの法則」はよく聞く言葉だと思います。

図5 ニッパチの法則をITで活かす!(c)Dolphere Ltd.
ニッパチの法則をITで活かす!(c)Dolphere Ltd.

 

お客様が1万人いたら、1万人に同じ商品を説明しに回る時代ではありません。
だいたい2割のお客様が8割の利益に貢献しているのですから、この2割を効率よく見つけていくのがこれからの時代です。それがITの発展により読みやすくなって来たわけです。

アナログな人間の行動が、デジタルな技術によって読まれ始めている時代なのかも知れません。

次号からは、この辺の事例を見ながらITの活用方法を深堀していきたいと思います。
そして連載の後半から人が輝くためのITの活用方法へと話を発展させていきたいと考えています。
乞うご期待ください。

井下田久幸

井下田久幸

井下田久幸いげたひさゆき

ドルフィア株式会社代表取締役

IT業界一筋で34年。SEからマーケティング、営業と幅広く経験。難しいITを分かりやすく、役に立つ情報として伝えることで、セミナー講演はいつも好評。デモを披露したり、世の中の動向とITの動向を絡めて話…

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