ご相談

講演依頼.com 新聞

コラム ビジネス

2012年03月09日

国際人としてマナーとデリカシーを磨き抜く

日本のビジネス社会は、年々、業界を問わず、あらゆる組織体において猛烈なるスピードで国際化・ボーダレス化が進んでいます。そうした中、日本のビジネスパーソンにおいては、時代の推移に応じて、「一個の個人として、日々、エネルギッシュに自分磨きを行う」ということが時代を生き抜く上での必須の条件となっています。

一般論で言うならば、日本のビジネスパーソンにとって「国際人」として大きく成長を遂げる上で重要な要素の一つとして捉えられることは、「国際社会で通用するマナーを身に付ける」ということでしょう。

ご承知のように、日本にはマナーを教える学校が相当数あります。マナーは、一般社会、あるいは、様々なビジネス・シーンにおいて、他者の面前で妥当な振舞い方をする上で必要不可欠なものです。しかし一方、現実問題としてこれを考えてみたとき、実際の国際コミュニケーションにおいて”マナーそのもの”が妥当な方法で実行されたとしても、それだけで、目の前の相手と質の高いコミュニケーションが図れるとは限りません。そこで本稿では、まずはじめに、”原点に戻る”、即ち、”基本の基本を考える”という趣旨で、ここで再度、「マナー」について再考したいと思います。

本来において、人と人がコミュニケーションを図る上で行われる「マナー」(manner)とは、振舞い方、態度、行儀、作法、習慣等を指します。しかし、それらは、必ずしも”世界共通のもの”というわけではありません。

これを本質的側面から述べるならば、「マナー」とは、通常、特定の国・地域・文化圏において行われるものです。今ここで、このことを具体的に捉えると、例えば、スペインにはスペインのマナーが存在し、ドイツにはドイツのマナーが存在するといえます。アジア地域でこのことを考えるならば、例えば、マレーシアにはマレーシアのマナーが存在し、言うまでもなく、日本には日本のマナーが存在します。以上のような側面からマナーについて捉えると、「特定のマナー」が行われるその”空間”とは、実は、「極めて限定された場所」(特定の国・地域・文化圏等)を指すことがわかります。

私は今、日本のビジネスパーソンに対して一つ提案したいことがあります。その提案とは、「日々、個々の国々における政治・経済等の動向による影響を受け、容赦なく様相を変えるこのボーダレス国際社会において、日本のビジネスパーソンにおいては、世界に存する様々な文化圏で行われる個々のマナーを学び、さらには、より高次のステージとして、”人間としてのデリカシー”を磨き抜いていただきたい」ということです。

「デリカシー」(delicacy)とは、繊細さ、優美、優雅さ、あるいは、(他者に対する)思いやり・心遣い等を指す概念です。これは、「”一個の人間”が、”他の一個の人間”の感情・感覚と接触する際に生じる”細やかな気づき・心配り”」について指すものです。デリカシーとは、ここで言及するまでもなく、まさに、「世界中のありとあらゆる文明・文化を超越して存在する”人間としての繊細な感覚”」であるわけです。

残念なことですが、通常、(ステレオタイプな意味での)国際人を目指す人は、目に見える作法としての”表面的マナー”にばかり目を奪われ、「デリカシーの重要性」に対して盲目になる傾向にあります。実際、教育の現場においても、詳細にわたって「デリカシーの重要性」を教える教育者はそう多くはありません。

デリカシーとは、一個の人間が、地球に存する一個の個として備えるべき「”他者の感情・感覚との接触における細やかな気づき・心配り”」を指すもの。それは、決して目に見えるものではなく、「自己の理性・感性」と「他者の理性・感性」との相互コミュニケーションにおいて相互に感じ取ることができる”極めて繊細な代物”です。まさに、デリカシーは、特定の国・地域・文化圏等に関係なく、一個の個人としてそれを養い、そして、毎日の現実の生活において実行していくべきものなのです。

読者の皆さんの日常の生活において、時折、「マナーは申し分ないが、デリカシーに欠ける」という人を見かけませんか。一般世間は、まさに「十人十色」。中には、単に、上辺だけ上品に振舞えばそれで十分である、という考え方を持っている人もいるでしょう。

言うまでもなく、自分の目の前に存在する相手に対する細やかな気づき・心配り(所謂、デリカシー)がなくしては、私たち人間が理想とする「相互理解を基盤とした国際コミュニケーション」を実現することは不可能です。今、私は、この日本において、「マナーに加え、厳格な精神の下、”デリカシー”を磨き抜く日々を送る」というビジネスパーソンが増えていくことを強く願っています。

デリカシーは、まさに、国境を越えた”人間共通のもの”。それ故に、デリカシーを磨くことは、直接、「国際人として自分を磨き抜く」いうことでもあるのです。

生井利幸

生井利幸

生井利幸なまいとしゆき

生井利幸事務所代表

「ビジネス力」は、決して仕事における業務処理能力のみを指すわけではありません。ビジネス力は、”自己表現力”であり、”人間関係力”そのものです。いい結果を出すビジネスパーソンになるためには、「自分自身を…

  • facebook

講演・セミナーの
ご相談は無料です。

業界21年、実績3万件の中で蓄積してきた
講演会のノウハウを丁寧にご案内いたします。
趣旨・目的、聴講対象者、希望講師や
講師のイメージなど、
お決まりの範囲で構いませんので、
お気軽にご連絡ください。