2018年11月05日

やさしさに つつまれたなら

みなさま、ごきげんいかがですか。
心臓止めて 頭を開けた 元歌手の社会保険労務士、黒田英雄です。

働き方改革は、企業側だけの問題ではなく、働く方(はたらくかた)側の意識改革でもあります。
日頃から労働相談を受けている社労士として、働き方改革に関連した労働問題をもみほぐしていきます。

今回のテーマは「治療と仕事の両立」です。

ダイバーシティの推進

「ダイバーシティ」と聞いて、みなさまは何を思い浮かべるでしょうか?
音楽好きの私としては、お台場にあるライブスペースが真っ先に頭に浮かんでしまうのですが(そこでB’zを観られて大感激でした)、それはもちろん働き方改革にはあまり関係ありません。

ダイバーシティは「多様性」と訳され、女性や高齢者、病気や障がいを抱えている方、外国人などのさまざまな人材を積極的に活用しようという考え方のことです。
働き方改革では労働時間や休暇、賃金のことなどに注目が集まっていますが、このダイバーシティの推進も、厚生労働省が働き方改革に向けて取り組んでいる施策のひとつです。

その中でも「治療と仕事の両立」は、働く方々すべてに関わってくることです。
今は病気やケガを抱えてなかったとしても、いつ誰が急に治療が必要な状態になってしまうかは分からないからです。
ご自身でなくても、ご家族にそのようなことが起こるかもしれません。

また、慢性的に病気を抱えていらっしゃる難病患者の方や、障がいをお持ちの方も、生活のためには働くことが必要です。
こちらも決してすべての方が生まれ持ってということではなく、働き盛りになってから発症したりケガをしたりということもあります。

治療が必要な状況は、誰にでも起こりうることです。
だからこそ、治療と仕事の両立は、働き方改革に向けてもとても重要なのです。

身体はもちろん 心もキツイ

私自身も、サラリーマン時代に2度の長期療養を経験しています。
心臓手術で3ヶ月、開頭手術で1ヶ月半仕事を休むことになり、それまで身体にかなり気を遣っていた私としては、ほんとうにショックでした。

その後労働相談を受けるようになって、今まさに治療をされていて仕事との両立に悩んでいるという方からも、たくさんご相談をいただきました。
自分の経験を活かしてお話しを伺うのですが、当時の私もそうであったように、相談者の方は身体はもちろんのこと、精神的に疲弊してしまっていることが多いです。

治療に対する不安はもちろんのこと、お金の不安、家族の不安、そして仕事を続けられるかの不安。
仕事に復帰するにしても、まだ療養中であったり病み上がりすぐの状態でありながら、会社やお医者さんとのやりとりは、基本的にすべて自分でしなければなりません。

復帰したあとも、外見の変化があるケースでは、人目が気になってしまうこともあります。
私も頭の手術のあとは、髪が一部分だけないので、スーツなのにニットキャップをかぶらないといけない時期があり、仕方ないとはいえイヤだったのをよく覚えています。

お互いに必要な存在として

では、治療が必要になってしまった従業員に対して、企業としてできることは具体的にどんなことでしょうか?
何よりもまず、ご本人に現状を聞いて、どのようなことに配慮してほしいかをヒアリングすることが大切です。

もちろんデリケートな内容ですので、プライバシーを考慮して聞くように注意が必要ですが、ご本人じゃないと分からないことがたくさんあります。
希望のすべてに対応することは難しいと思いますが、お互いに「できること」「できないこと」を伝え合うことに意味があります。

そしていちばんは、心のケアに気をつけることです。
治療のために休むことで、仕事に迷惑をかけていると負い目を感じてしまう方が多いものです。
確かに企業側にいくらか負担は増えるかもしれませんが、従業員が貴重な人材であることは、今までもこれからも変わらないはずです。

企業がその方を必要としているということをしっかり伝えるだけでも、治療中の方はとても安心します。
長期療養から復帰された方には「お待ちしてましたよ」とやさしい言葉でつつんであげてくださいね。

これからもさまざまなテーマを取り上げます!

今回は「治療と仕事の両立」について取り上げました。

働き方改革関連法が施行されることで、他にも影響が出る部分はたくさんあります。
来月も、また別の視点から労働問題をもみほぐしていきます。

どうぞお楽しみに!