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2008年06月15日

人事労務面からのメリット(1)

前回までに、ワーク・ライフバランスの本質は「仕事と生活との調和を図り、相互に良い影響を与え合うようにする」ことであり、急速に進む少子化に対する国の危機感と、そこから派生する企業の優秀な人材の確保に対する危機感により、ワーク・ライフバランスに対する取り組みが今、注目され始めていることをご理解いただけたかと思います。

今回から数回にわたり、「経営戦略としてのワーク・ライフバランス」を促進していく際の企業におけるメリットをお伝えしてまいります。メリットをまずご理解いただいたうえで、具体的な施策について考えていただければ幸いです。

ワーク・ライフバランスを促進するメリットは、人事労務面のメリット、経営全般のメリットに分けられます。前者は比較的短期間で成果・効果が表れ、後者は中長期的な成果・効果として期待できるといわれています。今回と次回で、前者の人事労務面のメリットを詳しくみていきましょう。

<人事労務面のメリット>
■優秀な人材の確保
少子化による労働力人口の減少が進む中、どの企業も優秀な人材の確保が大きな課題となっています。また、「入社3年で3割が退職する」といわれるほど、早期に離職する若手社員の多さも各社を悩ませています。そうした中で、「ワーク・ライフバランス先進企業」としての取り組みは、優秀な人材を採用するための強力なアピールポイントになります。つまり、ワーク・ライフバランスへの取り組みを積極的に進めることは、「働きやすい会社」であることを直接的にアピールすることにつながり、人材確保の面で即効的なメリットが期待できるのです。

■女性社員の定着
女性市場が活気付く中で、結婚や出産を機に退職する女性が多く、女性社員を定着させることが一つの課題になっている企業も多いのではないでしょうか。自分で子育てをしたい、という理由のほかに、保育園へ入園できず復職の目処が立たない、復職後の育児支援のあてがない、といった、やむをえない理由から退職する人も多いのが現状です。

子どもがある程度、大きくなるまでの期間、短時間勤務や在宅勤務など柔軟な働き方ができれば、こうした退職に至る問題の多くの部分が解消されます。 また、女性社員の定着のためには、男性中心の長時間労働が常態化した職場環境を改善する必要があります。能力ある女性ほど「時間勝負・体力勝負では男性に勝てない」という気持ちを生じやすく、出産を機に退職する女性社員の中には、制度的な支援体制の不備とともに、こういった職場の風土が大きく影響しているケースがあります。全社的なワーク・ライフバランス施策により、長時間労働の是正・評価制度の見直しを図り、能力の高い女性が働き続ける環境を生み出すことは、後に続く女性の定着も促します。

次回は、ワーク・ライフバランス施策を実施するにあたって、その他に考えられる人事労務面からのメリットをお伝えいたします。

小室淑恵

小室淑恵

小室淑恵こむろよしえ

株式会社ワークライフバランス代表取締役社長

ワーク・ライフバランスコンサルティングを900社以上に提供している。 クライアント企業では、労働時間の削減や有給取得率の向上だけでなく、業績が向上し、社員満足度の向上や、自己研鑽の増加、企業内出生率…

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