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2016年03月25日

2017卒の新卒採用(就職活動)スタートで感じること

3月1日、2017年卒の就職活動(採用活動)が正式に解禁となりました。若年層の減少や将来の人手不足感を背景に、企業の採用意欲はここ数年どんどんと高まっており、昨年の学生の内定率も非常に高い数値となったことから、今シーズンは、一層の売り手市場になり、余裕を持ってゆっくりと動く学生が増えるだろうと私は予想していました。しかし、それはまったくはずれたようで、学生は就職氷河期かと見紛うほど活発な動きを見せています。

「就職なんて何とかなるさ」と高をくくっていたバブル期の学生(私たち世代)と比べれば、何と真面目なことか・・・と思ってしまいます。授業の出席率なども昔に比べてとても高いそうで、横着や怠慢をせず、“大人”の言うことを聞いてしっかり日々を過ごすのはもちろん悪いことではありません。ただ、もう少し新聞や先輩の情報などから全体の状況を把握すれば、就職活動などにそこまで熱心にならなくてもいいのに(他にやっておけばいいことも多いだろうに)・・・と思ってしまうのも事実です。

もちろん熱心さは評価すべきですが、学生には就職活動を始め、情報を収集・検討する前に、「どうやって会社を選ぶか」「どこまで考え、どこで考えるのをやめるか」を考えてもらいたい。会社から提供される情報は、その会社の全てではないし、脚色が入った広告的なもので十分な信用に値するとは言えません。また、会社の数は探せばキリがありません。つまり、得られる情報にモレがあり、正確とも言いがたく、かつ選ぶことができる選択肢は無限にある状態です。このような状況で、論理的に結論を導こうとするのは誤りだと気付かねばなりません。羽生名人も「将棋では、どこまで深く先を読むかではなく、どこで読むのをやめるかが重要」と言っています。いきなり勉強を始めるのではなく、「どうやって勉強するのが効果的か」を考えてから勉強するのが大切ということでもあります。

一方、企業の採用手法も、変化が見えてきました。

最も大きな変化は、リクナビ・マイナビなどの採用サイトだけでは十分な人数を採用できないことがはっきりしたようで、少人数の合同説明会といったイベントに、大手企業も中小も積極的に参加していること。企業と学生を直接マッチングするイベントを企画・提供する企業も、多く出てきています。従来のように、学生が企業のブースに来て説明を聞くだけではなく、プレゼンテーションを聞いて学生が企業を評価するようなケース、グループワークをしている学生を見て、企業が個別にその様子を評価し「一次面接スキップ」などの特典を与えるような仕掛けなど、工夫も凝らされています。

また、採用説明会とほぼ同じ目的の“インターンシップ”もすっかり定着し、3回生の後半段階から学生にアプローチできる方法として、多くの企業が重視するようになっています。フェイスブックなど、SNSを使う企業も格段に増えました。SNSが普及し始めた頃は、大企業はほとんど及び腰でしたが、現在では手のかからない広報手段としてほとんどの会社が使っているといっても良いと思います。私が個人的に楽しんでいるのは、リクナビとマイナビの競争。長くトップを張ってきたリクナビを、ここ数年でマイナビが急速に追い上げ、昨シーズンはとうとう掲載会社数でリクナビを抜くという業界的には快挙を成し遂げました。今年はどうやら、リクナビが追い抜き返したようですが、今年の採用結果(=企業の評価)によっては、またまた逆転も・・・という激しい競争になっています。どちらのサイトがより成果を上げ、来シーズンはどうなるのか・・(リクルートグループOBだからといって肩入れはまったくしていませんが)興味あるところです。

川口雅裕

川口雅裕

川口雅裕かわぐちまさひろ

NPO法人「老いの工学研究所」理事長(高齢期の暮らしの研究者)

皆様が貴重な時間を使って来られたことに感謝し、関西人らしい“芸人魂”を持ってお話しをしています。その結果、少しでも「楽しさ」や「気づき」をお持ち帰りいただけていることは、講師冥利につきると思います。ま…

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