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2011年06月24日

『人が育たない』のは、人材育成の方法が悪いからか?

社長になったら、さらにまた大きく成長したというのは、よくある話です。もちろんそれまでもずっと立派な働きぶりであったから社長になったのでしょうが、トップに立つとすぐに、これまで精通していた分野以外のことを積極的に学び始め、これまでとは異なるレベルのリーダーシップを発揮し、以前にはなかったような力強さと影響力を持つようになったという事例は少なくありません。

そうなる理由は、大きな責任感と、新たに獲得した視点・視野がその仕事ぶりを変えていくからでしょう。立場が人を作るとは、そういうことだと思います。これに則れば、上に行くほど育つという傾向があることになります。上にいくほど負っている責任が大きくなるのですから、より本気で仕事に取り組みますし、それまで見えなかったものが見える、触れることがなかった情報を得る立場になるわけですから、成長するのは当然とも言えます。つまり、昇進や昇格が成長のきっかけとなり、その成長がさらに昇進・昇格につながるという好循環が起こる。そして、それとは逆の人との差がどんどんと広がっていくことになります。

成果を出している人ほど成長が早いというのも、同じようなことでしょう。成果を出すと、認められ、褒められるからモチベーションも上がるし、自信もつく。成果を出すにはコレが大事だというような信念や原則が見つかったりするので、それを再現してまた成果が表れる。そうして成果を出せばだすほど、成長を遂げていくというわけです。逆に、成果が出ないと、やり方に迷い、自信を失い、やる気が低下してきますので成長が遅れていく。そうして、どんどんと差がついていきます。

このように、昇進や成果は成長へのエンジンであり、成長に向けた好循環のきっかけとなるという面があり、だから「抜擢する、やらせてみる、成功体験を積ませる」ことに経営者も、人事部や上司達も腐心します。

一方で、上に行くほど限界がはっきりと見えるということもあるでしょう。引き上げてみたが能力や適性などの点から難しかった、やってくれると思ったが期待はずれだったという話は、どんな組織にもあるはずです。また、部下に成功体験を積ませようにも、しり込みしてしまう、途中で諦める、すぐにサポートやアドバイスを求めてくるので、自信になるほどの体験がさせられないということもあるでしょう。このように、「抜擢する、やらせてみる、成功体験を積ませる」ことが人材育成にとって非常に重要だと分っているけれども上手くいかない、もどかしいという声を多く耳にします。

この問題を、「人材育成領域」だけで解決することは相当難しいと言えます。期待して昇進させたがどうやら彼には難しいといった状況は必ず起こりますが、そうなった時、「昇進させてしまった以上、育てるしかない」ではなく、等級・評価制度で柔軟に対応できるほうが良いでしょう。そうでないと、組織への悪影響も大きく、ピーターの法則(スペースの関係でここでは細かく述べませんが)にあるような「ポストがそれに相応しい機能をしない人達で占められてしまう」状態になってしまいます。また、成功体験を積ませようにも、意気込みや挑戦心が足りないというのであれば、採用に問題があるのかもしれませんし、”失敗できない”といったような雰囲気や組織風土に問題があるのかもしれません。

人が育たないという問題を考えるとき、上司の指導力や研修の内容・やり方が良くないのではないか、という議論になりがちです。しかしながら、人事や人材、組織の問題というのは常に多様な観点から、またその組み合わせで考えなければなりません。昇進や昇格、成功体験を積ませようという試みが成長につながらない理由を、これまで習慣としてやってきたこと、あるいは組織の仕組みやルールや組織風土などに対して、批判的に思考してみることが大切です。

川口雅裕

川口雅裕

川口雅裕かわぐちまさひろ

NPO法人「老いの工学研究所」理事長(高齢期の暮らしの研究者)

皆様が貴重な時間を使って来られたことに感謝し、関西人らしい“芸人魂”を持ってお話しをしています。その結果、少しでも「楽しさ」や「気づき」をお持ち帰りいただけていることは、講師冥利につきると思います。ま…

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