2017年11月24日

面接上手は、雑談上手

実績やスキルや人脈などが基本的にない新卒採用では、その学生のパーソナリティや能力を推し量り、働き手としての可能性を判断することが面接の目的となる。とは言え、それらは見えるものではないし、見た目や雰囲気の影響も大きく、また、大学名や学生時代の活動内容による先入観からも逃れにくいから、その判断はかなり難しい。だいたい、いくら時間をかけても、回数を重ねても、もちろん何千人と面接した実績があるという自称“面接のプロ”だって、完全に人を把握することなどできるはずはない。

しかしながら、拙い面接の結果、何となく受けた印象で合否の判断を下すのは相手に失礼であるし、合否への納得性という観点、企業イメージの向上という観点からも問題がある。だから、少しづつでも面接の技術を上達させていくことが大切だ。

面接では、その学生のパーソナリティや能力を推し量らねばならない。それは、「彼が何をやってきたか」を聴いても分らない。事実を確認しているだけだからだ。「ある状況・背景において、どう考え、どう感じ、どう行動したか」を把握することで、初めて相手の中身に触れることになる。状況・背景を知り、そこでどう考え、どう感じ、どう行動したかを知るのは、一問一答の受け答えでは無理で、十分な説明を要するような質問の仕方が重要になってくる。学生が用意してきた回答を受け取るだけではなく、その場で考えて回答しなければならないような質問の仕方をできるかどうかも鍵となる。アンケートをとるような網羅的で深みのない会話には意味がない。

上手な面接官は、「広げる」「深める」「まとめる」のが上手い。その学生が物事をどう捉え、どう行動するかを判断できる話題はそんなに多くはないので、まずは、それが分かるようなポイントにたどり着くために話題を広げる必要がある。そのポイントにたどり着かずに面接を終了してしまったら失敗である。次に、そのポイントに来たら、そこでじっくり話を深める。具体的な描写を求めると共に、そこでの状況の捉え方や思考、感情を言葉にしてもらう。最後に、話の内容やそこに含まれる相手の思考・感情などをまとめ、整理して返し、こちらの理解の確さかを確認する。そうすると、面接側の勝手な理解とはならないし、学生に「伝わった実感」を持ってもらえる。もちろん、このような会話が可能になる前提として、話しやすい雰囲気づくりと、こちらの興味関心が伝わっていることが大切となる。

面接は、「話しやすい雰囲気を作る」「相手に対して興味関心を表す」ことを前提に、「広げる」「深める」「まとめる」というコミュニケーションの技術が問われる。これは、その人の普段の“雑談力”と大いに関係している。雑談の巧拙は、関連する話題に振る(広げる)こと、ここというポイントで内容を掘り下げていく(深める)こと、相手の話やこれまでの会話の内容を整理し、返したり引き取ったりする(まとめる)こと、を柔軟にできるかどうかにかかっている。話しやすい雰囲気があり、相手への興味関心が感じられる、という点でも面接と雑談は同じである。一問一答形式で、事実を単に網羅するような雑談は面白くも何ともない。

面接の力は、雑談力を普段から鍛えることで上がっていく。仕事の合間や休憩時間や飲みながらでもいいが、「話しやすい雰囲気」「相手への興味関心」、「広げる」「深める」「まとめる」という観点からコミュニケーションを見つめなおせばよい。普段、見知った相手から思いや感情を引き出したり、会話を盛り上げたりできないのに、面接だけは上手という人はいない。雑談下手が、面接官研修を受けて急に面接がうまくなることはない。面接上達への道は、普段から雑談力を磨き続けることである。もちろんそれによって、学生を完全に把握することも、入社後の活躍を完全に予測することも出来ないのだが、判断の精度は上がり、受けた学生の満足度も上がるのは間違いない。