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2009年09月18日

質問させる技術―(2)

「質問する技術」を説く本は、本屋さんに何種類も置いてありますが、「質問させる技術」についての本など、あまり見た記憶がありません。この”盲点”に気づいた私は前回、「質問させる技術その1」を堂々発表!その対策について、こんな風に「偉そうに」書いています。

「(質問をさせる技術には)大きく言うと前提になるポイントは3つあります。

1つ目は、「自分の話すテーマと中身が、質問に値するものであること」。
2つ目は、「全体を通じて、聞き手とのリレーション(よい関係性)を取り続けること」。
3つ目は、「より良いリレーション作りのための、話し手の自己開示ができていること」。

この3つのポイントをベースに、冒頭で具体的なインストラクション(指示)をしておきます。」(コラム第5回「質問させる技術―その(1)」より)

前回はこのような抽象的な「暗示」で話を終え、読者を「あれれれれ」と、がっかりさせてしまいました。今回はそんな反省を踏まえ、ぐっと、具体的に進めてみることにいたしました(毅然たる決意)。

まず、冒頭のインストラクション(指示と導入)とは、あらかじめ、質問のしどころを予告しておくことを意味します。例えば、

「これから約15分間、○○についてお話します。いきなり言い訳がましくなりますが、皆様の前でお話しすると思えば、緊張でドキドキしてきました。途中、混乱して内容が理解しにくい点もでてくるかとおもいます。どうかそういう点につきましては、ご報告の後、ご質問を頂戴する時間を十分取ってありますので、どんどん突っ込んでいただければとてもありがたいと思っております。おそらく突っ込みどころ満載だと思いますので、『ここはどうなってるんだ』、『もうちょっと詳しく話せ』など、話の途中で疑問をお感じになりましたら、恐れ入りますが、メモをお取りいただき、ご質問ください。大事なポイントを飛ばす可能性が大いにありますので、助けると思って、質問をお願いいたします」

こんな導入を済ませた後、いよいよ中身に入ります。

そこでポイント1:「質問に値する内容であること」
これは聞き手の好奇心に訴える内容になっているかどうか、ということです。あなたが話したい話より、相手が聞きたい話は何なのかを吟味すること。聞き手も興味を持った話には、いろいろ質問したくなるものだからです。

ポイント2:「聞き手とのよい関係づくり(リレーション)を常に心がけながら話を進めること」
原稿棒読みは、よい関係つくりの敵ですね。まず深い息を吸いながら無理でも笑顔を作り、息を吐きながら頭を下げます。ゆっくり顔をあげたら、自己紹介。ここで、自分の声の大きさが、参加者に大きすぎないか、小さすぎないかをチェックしようと試みてください。実際にできなくてもいいのです。聞き手に対し、配慮しようとしていることを感じることが、リレーション作りが始まった証拠だと思えばいいのです。相手が何人であろうと、聞き手一人ひとりの表情、反応を見て(※緊張して見られなくても、見ているようなふりをして)、自分の母親に話しかけるイメージで(※努めてゆっくり、わかりやすくという意味)スタートします。
「聞きとりにくいようでしたら、その場でおっしゃってくださいね。聞こえますか?」と質問を投げかけておくのもいい関係つくりにつながります。ここまで頑張れば、あなたの緊張は続いていても、聞き手は、あなたと、あなたのキャラに、慣れ始めています。

ポイント3:「より良いリレーション作りのための、話し手の自己開示ができていること」
さらにリレーションを深めるためには「自己開示」が有効な手立てとなります。「自己開示」とは、自分の強みばかりでなく、構えることなく弱みも平気で見せてしまうことです。
当然のことながら、報告者(あなた)は報告内容についての知識を一般以上に持っているわけですから、”エエカッコシイ”をしようと思えばできるでしょう。しかし、そんなことをしても誰も喜びませんし、好感も持たれません。何の得もないのです。

「偉そうだ」、「専門家づらしてる」と思われたら、話し終わった時に質問してもらえません。「簡単なこと聞いたら、『そんなことから説明しなきゃいけないんですか?』と、あいつに馬鹿にされるんじゃないか」と聴講者から警戒されます。
そのような不要な警戒心を起こさせないためには、話の折々に自分の気持ちや感じた思いを言葉にして伝えることが重要です。

「この部分は、私もびっくり仰天しました」
「うそつけ、と思わず口を衝いて出たんですが」
「これはわれながら、よく気がついたなと自慢げに妻に言ったら、女はみんな知ってるわよとバカにされちゃいました」

中身を伝えようということばかりに気を取られていると、逆に中身が伝わりにくくなる。伝えているあなたの「気持ち」を添えて伝えると、話の伝導率が高まる。これが自己開示の効能です。

また、話の途中、途中で、「今の話、厄介な感じがしません?このあたり、皆さんからご質問いただいたときに、もうちょっと詳しくお話しできたらいいなあと思っています」と、質問につなげる自己開示をしていきます。

以上のように、インストラクション(指示から導入)で、質問をお願いしておき、
1:相手の興味のつぼを外さぬ話をして、
2:よい関係性を築きあげることを心掛け、
3:話の中身にあなた自身の「感情」を乗せて話す。

また、話し終わったら、聴講者に”手を挙げる癖”をつけることもポイント。
「…以上が私からの報告でした。ご質問をお受けする前に私から皆さんに質問です。
とりあえず半分以上は眠気を克服して聞けた方、手を挙げてくださーい」、
「では、話半分と言いますが、半分ぐらいは分かったかもしれないと思った方、手を挙げてください」といった具合。

そして、いよいよ質疑応答の時間です。
「どんなことでも結構です。質問してください。どんなことにも全てお答えできます。なぜか?答えの中には『わかりません』という答えが含まれているからです。ではどうぞ」。

この程度のボケを入れつつ、和やかに、笑顔で、ゆったりと質問を待ちましょう。

それでも質問してもらえなかったら・・・と心配なら?
 “サクラ”を数人
、仕込んでおくのがいいかもしれませんね。

梶原しげる

梶原しげる

梶原しげるかじわらしげる

フリーアナウンサー

1950年生まれ。神奈川県茅ケ崎出身、早稲田大学法学部卒。文化放送にアナウンサーとして入社。92年からフリーとなる。 バラエティーから報道まで数々の番組に出演し、49歳で東京成徳大学大学院 心理学研…

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