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2013年03月08日

「言葉は少なめ、行動は少し多め」という生き方

英米には”Easier said than done.”という諺があります。この諺の意味は、「言うは易く行うは難し」。これはつまり、「言葉で言うのは簡単であるが、言った事を行動に移すのは難しい」ということを意味するものです。

さて、読者の皆さん、仕事帰りに居酒屋に行くと、そこで一体どのような話が聞こえてくるでしょうか。恐らく、自分のテーブルの右でも左でも、あるいは、前でも後ろでも、聞こえてくる会話といえば、「会社の批判」「上司の悪口」「人の噂話」「社会情勢に対する無責任な批判」などではないでしょうか。

日本社会では、酒の席では、大抵の場合、「組織や人の批判」に花が咲きます。日本社会は「ストレス社会」という捉え方も可能ですが、実際はこの限りではありません。

酒の席であるかどうかに関係なく、安易に組織や人の批判ばかりをする人にみられる共通点は、「自分が発する言葉に対して責任を持たない」ということです。

言葉に対して責任を持たない人にみられる更なる共通点は、「大きなことを簡単に言ってしまう」ということです。例えば、「そのうち、もっと大きな契約を取るぞ!」、「今はこんな仕事をしているが、いつかは自分の会社を作り、世界中の企業を相手にビジネスを展開するぞ!」というような具合です。

無論、夢を持つことは良いことです。しかし、「夢を持つ」ということと「無責任に大きなこと言う」ということは根本的に異なる概念です。

概して、他人の信用を得る人は、「安易に大きなことを言わない人」です。このような人は、日々の会話では、「できることのみを人に伝える」、「できないことは言わない」、「かりにできることであっても、実際にするつもりのないことは言わない」等を基本精神としている人です。

一方、他人から信用されない人の典型は、「大きなことを簡単に言う」、「自分の能力・力量以上のことを言う」、「言ったことをやらない」、「理想論を述べるが、実際の行動が伴わない」等です。

冒頭で述べた諺について振り返りながらこの問題について考えていくと、次のような「ボジティブ思考のための『源泉』」が見えてきます。

<1>
「言葉巧みに大きなことや理想論を言う人は多い。しかし、ほとんどの人は、口では簡単に言うが、実際の行動が伴わない。それ故、安易に軽口を言うことは人からの信用を失うことになる。」

<2>
「一度口にしたら、そのことについて責任を持つ。するつもりのないことは口にしないように自分を律する。」

<3>
「仕事でもプライベートでも、できないことは言わない。できることを相手に伝える。」

<4>
「日々、言葉は”少なめ”にして、実際の行動においては、発した言葉よりも”少し多めに”行動する。」

私自身、様々な経験から感じることは、「人の言葉ほどあてにならないものはない」ということです。言葉は、<実に簡単に使えてしまう道具>です。簡単に使えてしまう道具ですが、言葉は、場合によっては、人間や組織、さらには、世の中の動向にさえ大きな影響を与えてしまう恐ろしい代物でもあります。

読者の皆さん、言葉を”デリケートに”扱いましょう。そして、言葉は、単に発するだけでなく、自分が発した言葉に対して「責任」を持ち、人前で一度言ったことは、実際に行動に移すことを心掛けてみてください。これは、一見すると簡単そうですが、実際、毎日このような生き方を実践していくには「厳格極まりない精神基盤」を堅持し続けることが求められるでしょう。

追記:
本稿で、連載コラムが最終回を迎えました。この場をお借りして、読者の皆さん、そして、株式会社ぺルソンの皆様方に対して心からのお礼を申し上げます。

生井利幸

生井利幸

生井利幸なまいとしゆき

生井利幸事務所代表

「ビジネス力」は、決して仕事における業務処理能力のみを指すわけではありません。ビジネス力は、”自己表現力”であり、”人間関係力”そのものです。いい結果を出すビジネスパーソンになるためには、「自分自身を…

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