2008年08月15日

その思考、役に立っていますか?

いよいよ、北京オリンピックが始まりましたね。第1回目のコラムにも書きましたが、私は大のスポーツ観戦好き。仕事している場合じゃないです(笑)。

さて、スポーツ選手の精神的な強さに憧れるあまり熱狂的に応援してしまう私ですが、一流アスリートがクローズアップされ、その激しい練習ぶりや精神論のインタビューなどが放映される番組も頻繁に見ています。そこで、メンタルタフネスの視点から見聞きしていると、一流アスリートには「現実の受け止め方」に共通点があることがわかります。

ここで皆さん、以下の出来事に遭遇したと想像してください。

<初詣のドライブ。御札をもらって帰る途中に、後ろから追突された。
相手は飲酒運転。幸い、同乗の家族は全員ケガもなく無事。>

Aさん:
「元旦から、なんてことだ!せっかく神社でお参りしたのにご利益ないじゃないか。
本当についてない。あー、今年はダメだ・・・・・・」

Bさん:
「やれやれ。元旦から"アタリがある"なんて今年は宝くじ買おうかな。
あの神社の御利益で幸いにもケガもなく無事だった。感謝!
さあ、今年もいい年にするぞ」

出来事が同じでも、AさんとBさんの受け止め方全く違いますね。みなさんなら、どちらの受け止め方をしがち、ですか? どちらの受け止め方が良い悪いではなく、現実的かどうかを考えてみましょう。そもそも、元旦に追突されたことが、なぜ1年をダメにするのでしょうか?

物事の受け止めた方、考え方のことを「認知」と言いますが、心理学者であるアルバート・エリスが提唱した論理療法では「ビリーフ」と言います。自分にとって不合理で役に立たない、気持ちをみじめにするような受け止め方を「イラショナル・ビリーフ」と言い、合理的でもっと自分に役立ち、気持ちが楽になる受け止め方を「ラショナル・ビリーフ」と言います。イラショナルからラショナルに意識的に変えることで、より健康的な生活に役立てようとすることが、メンタルヘルスやタフネスにも活かされるのです。

この、自分にとって役立つ受け止め方をすることを「ユースフル思考」とも言うそうです。一流アスリートの話を聞いていると、とにかく「ユースフル思考」です。ご存じ、イチロー。彼は道具を大切にすることでも有名ですよね。使用しているバットは長い間変えておらず、惚れ込んだ逸品だとか。シーズン中、どんなに調子が悪くてもバットを変えることはないというのです。それどころか「このバットで打てなかったら、自分のせい」だとテレビのインタビューで語っていました。バットのせいにしないから、自分の腕を上げることや、問題解決などに思考がシフトしますよね。バットのせいにしていたら、バットを改良するほうに向くでしょう(それも必要ですが)。他の番組では「調子が悪いと皆が心配してくれてうれしい(笑)」とも言っていました。チャーミングですね。

ユースフル思考は、安易にポジティブに変えるというのではなく、"自分にとって役立つ"ことが大切です。たとえば、苦手な人がいて「こいつが嫌だ」といつも嫌な思いでいることも選択できます。ですが、こんな風に受け止めてみてはどうでしょう。「この人とうまくコミュニケーションがとれるようになれたら、自分にとってどんなメリットがあるのかな?」。苦手な人をただ嫌な存在のままにしておくこともできますが、自分の成長の材料にさせてもらうこともできます。ユースフル思考に切り替えるためのコツは、自分への質問や語りかけること。 たとえば、日ごろ面倒に感じていることやつまらないことを「もし、楽しくできるとしたら?」とか。受け止め方を変えると、目の前にある日常が変わって見えてきます。"突破する力"が湧いてきませんか?