2017年09月20日

変容と固定観念の間で揺れる女性

企業研修のご依頼では、このようなご期待が多いことを感じます。「受講者たちが、一歩踏み出すきっかけづくりをしてほしい」

私がお受けしている企業研修は、ダイバーシティや女性活躍推進に関わるものです。ダイバーシティは、多様化する人やニーズに合わせて自身がどのように活躍するか、周囲と関わるか。また、管理職に対しては、自分とは異なる多様な部下をどのように育成していくか。そして、女性活躍推進では、入社した当時の期待から今、女性に対する期待の在り方が様変わりしている中、自身がどう変わるべきかをテーマに研修しています。

受講者は、今までとは違う在り方を目指してほしいと社会や会社から変容を期待されているという共通点があります。

今までの慣れ親しんだやり方を変えなくてはならない。これは、社会人経験が長い人ほど、大変な課題です。しかし、変化しないとどんどん環境変化から取り残されていきます。

環境変化を改めて理解した上で、内省し一歩踏み出すというステップが大事なのですが、正直なかなか変わらない人も多いものです。

先日、ある企業の管理職向けダイバーシティ研修の後、懇親会があったのですが、その際、男性管理職の方がこんなことをおっしゃっていました。「ここはもうリラックスの場だから、本音を言っちゃいますよ。藤井さんの講義はわかりやすかったですよ。でもね、うちの会社では難しいんですよ。」おそらく、そう思ってしまった時点で、変わらない方向に向かっていきます。特に上司がそのように考えている部署は、残念ながら変わりません。

一方、女性向けの研修後の懇親会では、「明日から頑張ろうって思いました。でも、上司次第なんですよね・・・。女性に仕事を任せてくれる上司と偏見のある上司だと全然働きやすさが違うんです。」という声を度々耳にします。その女性は、研修のあと、職場に戻ってアクセルを踏み込みすぎて玉砕してしまい後日、相談にやってきました。

お話をお伺いしたら、こんな内容でした。
その女性は内勤サポート職で、会社から、女性リーダー候補として研修に呼ばれ、最初は不安だったが、期待されているので、頑張ろうと思いました。研修中に、会社としてやった方がいいこと、お客様に貢献できそうなことをたくさん思い描けたので、早速上司に提案しました。 すると、「●●さんには、もっと違うことを期待している。女性らしい強みを発揮して頑張ってほしい。」 と、何とも腑に落ちない答えが上司から返ってきたそうです。そこで、女性らしいとは?と聞いていくと、どうやら男性のサポートといった意味合いのようなのです。彼女の会社の営業部は男性が営業、女性はサポートという構図が当たり前の姿です。しかし実際は、女性のアシスタントが男性営業の代わりにお客様とやり取りすることも多く、お客様ともコミュニケーションがしっかりと取れていて、時に営業よりもサポートであるその女性を信頼しているお客様もいるようです。しかし、その上司の固定観念は「この業界は、お堅いものを扱っているから女性が出るのは、うまくいかない」というものでした。

実際そうでしょうか。以前、ある半導体系の企業が海外の会社と合併した際、海外側の組織には女性営業もたくさん活躍していたことに驚いたとおっしゃる日本側の組織の男性がいらっしゃいました。同業ですから、お客様も当然一緒だったのです。でも、日本側は、男性営業しかこの業界で通用しないと思い込んでいました・・・。

さて、相談に来たその女性へのアドバイスですが真正面から戦わず、まずは実績作りをする方法をお話ししました。というのも、このまま正論を真正面から上司に言い続けても、時に評価が下がることがあるからです。上司は頭の中で、女性はアシスタント、サポートという役割しかイメージできていません。期待もアシスタントとしての行動です。期待する行動以上にやりたがる部下に対して扱いに困る、あるいは評価できないと感じる上司もいるはずです。ですから、真っ向勝負ではなく、アシスタントとして上司が期待していることで成果を出し認めてもらいながら、できることから少しずつ実績を作り、周囲からの信頼を得ることが大事です。

どんなに正論でも、上司の今までの固定観念、やり方はすぐには変えられません。自分自身も疲弊して諦めないように、計画的に虎視眈々とやってください。こんな方法をキャリア相談ではご指導することがあります。

一歩踏み出してほしい。こんな研修主催者(人事担当者)の想いがある中、残念ながら玉砕している女性は少なくありません。内省し、変わろうと思った、頑張ろうと思った受講者を上司はよき理解者、味方としてサポートし続けてほしいと感じています。