ワークライフブレンドという言葉はご存じでしょうか。ワークライフバランスと何が異なるのでしょうか。この、ワークライフブレンドは、これからのキャリア形成でも必要な考え方になっていきそうです。また、このワードは特にZ世代やミレニアル世代の価値観にもフィットしているようで、キャリアに関する講演で、ワークライフブレンドの話をすると、特に若手が受け入れやすいように感じています。
「ワークライフバランス(WLB)」という概念は、1980年代のアメリカやイギリスで登場したのが始まりです。女性の社会進出が進む中で、仕事と家庭の両立を支援する目的で広がっていきました。しかし、働き方や人生の多様化が進むにつれて、「仕事と生活をきっちり分ける」のではなく、仕事と生活を合わせてビジョンを考える人が増えてきました。そんな背景から2010年代後半から2020年代に登場したのが「ワークライフブレンド」です。
もともと、キャリアプランやデザインというと、仕事上だけのことを想定してビジョンを描いていました。例えば、3年後には◎◎の役職に就く、とか、〇〇ができるようになっている、などに特化していました。もちろん、今も仕事上のキャリアビジョンはそのような描き方をしますが、併せて同じように描く必要があるのは、ライフです。どちらかを犠牲にするのではなく、両方叶えるビジョンです。
そこで、講演や研修では、ワークとライフを一体化させるには、というアプローチでお話しするようにしています。この一体化ですが、時間の使い方はもちろん、自分自身を一体化、という意味が大きいです。
キャリアアドバイザーとして個人の方のカウンセリングをする際、仕事の相談だけにとどまるケースは、ほぼありません。結婚、出産、介護、老後、趣味、暮らしなどなど、様々なことに繋がって、人は悩みます。当然ですが、ワークもライフも同一人物の出来事ですから。
そこで、まず自分の理想の時間配分を考えていただきます。人生をつかさどる要素として、
- 仕事
- 学び
- 趣味
- 家族
- 健康
- 近所づきあい
- 社会貢献(繋がり)
があります。この7つの要素を大体何割くらいずつ使いたいのか、計算してもらいます。人によってこの配分は異なり、理由も違いますから、ここからなぜなのか、を話してもらいます。そうすると、理想の未来の割合に向けて今から準備すべきことや、仕事が乗っている時に家族に時間を割く必要が重なり、両方やるためには効率化が必要だ、など、すべきアクションが見えてきます。
また、ワークライフブレンドの観点からもうひとつ、キャリア研修や講演では、仕事上だけの経験の棚卸しではなく、ライフの経験を棚卸ししてもらいます。
ワークとライフそれぞれで経験したことからの気づきや磨かれた強みがあります。しかし、ワークはもちろんのこと、それ以上にライフの経験からの自分の強みを尊重していない人がなんとも多いものです。
例えば、お子さんがいらっしゃる方が、子供を通した活動を自分で評価していないことがあります。でも、話していくと、親同士のトラブルを解決したことがある、とか、会計係・連絡係をやった、などが出てきます。ワークもライフも私たちは役割を担っています。ワークでは例えば営業部の課長という役割、ライフでは親としての役割です。それぞれ、役割を持った上で、周囲のコミュニティと関わって、そこで何かを磨いています。
なぜこのようにワークとライフの両面から棚卸しをしてもらうのか、というと、ワークの経験がライフで使えたり、逆もしかり。まさしく行ったり来たりのブレンドなのです。以前、ある女性が、会社から管理職を目指さないか、と打診を受けていたのですが、自分には無理です、と断られました。その無理だと思う理由を聞いてみたところ、やったことがないから、だったのです。しかし、ライフの棚卸しをしたら、PTAの活動経験が、まさにリーダーシップを発揮するようなことだったのです。本人にその旨をお話ししたら、それは仕事ではなくてプライベートの経験ですから・・・とおっしゃっていたのですが、仕事上の経験でないと使えない?そんなことはありません。経理の仕事をしている人が、PTA活動で会計係を任せられるってこと、ありますよね。それと一緒です。なぜか私たちは、ライフの方の経験を低く見積もります。ワークとライフ、どちらで経験していたって良いのです。
オンとオフを切り分けるよりも、両方の経験を行ったり来たりできることが効率的ではないでしょうか。
ワークライフブレンドの観点から自身の棚卸しをするようにしましょう。そして、組織でも、ワークだけの経験で仕事をお任せするのではなく、いわゆる隠れた才能となりそうな、ライフでの経験を知ることも本人を活かすことにつながるのではないかと思います。


藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…
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