2015年06月19日

残業対策には、大きく環境を変化させる視点を

仕事のやり方を変えない限り、いつまで経っても残業は減りません。企業のコンサルティングや、女性の悩み相談に乗る中で、「うちは残業が多くて」と嘆かれる声を度々お伺いします。

先日、ある女性がキャリア相談にみえられたのですが、とても疲弊した表情で、「私ばかり仕事の量が多くて、もうこれ以上頑張れません・・・。毎日残業なんです。」と訴えられました。仕事の内容を聞くと、本当にパンク寸前で、これ以上は受けられない状態です。残業で寝不足も重なり、精神的にも厳しい状態でした。そこで、ご本人が抱えている仕事の内容、周囲との関わり方、役割分担の仕方など、状況を吸い上げていったのですが、なんと、彼女が抱えている残業の多くは、抱える必要のないものばかりだったのです。つまり、ちゃんとやりたい、という責任感から、人の仕事まで抱え込んでいたのです。おかげで、周囲の人たちは早く帰れている人もいました。

そんな時、友人の仕事の相談に乗る機会があったのですが、偶然にも友人も残業を抱え、身動きが取れない状態で疲弊していました。「上司は、私の仕事を全然評価してくれないの。どれだけたくさんの仕事を抱えているのか、わかっていない。周囲の人たちは、さっさと帰ってしまうし。」こんな風にぼやいていました。詳しく聞いてみると、抱えている仕事は、評価の対象にはなっていませんでした。また、さっさと帰る周囲の人の状況は、どうやら、私の友人がすべてやってしまうから、やることが少なくなっている様子。

残業が減らない組織の研修を実施する際、「効率化」をテーマに仕事の棚卸し、どのように変革すべきかを検討してもらうのですが、その会社の長年続けているやり方の癖が邪魔をします。こうやったら残業問題は解決する、と解決した他社事例をいくら伝えても、うちの組織ではそれは難しい、とできない理由を誰かが熱心に話し出すのです。

残念なことに、私たちは、変わりたいと思いながら、変わりたくない自分がいるようなのです。しかし、難しい、変われない、と言っているだけでは、多様な人材が活躍しづらい状態が膠着化していきます。

今後ますます、ライフイベントとの両立は、誰にとっても課題になっています。それは、育児だけでなく、介護問題です。介護は、育児以上に男性にも関わってきますし、何より、自分が責任ある大事なポジションに就いている時に訪れます。更に高齢化です。若いころは、無理しても頑張れましたが、年齢と共に体力が落ちていきます。また、優秀な人材も採用しづらくなり、少ない人数で仕事を回していくことになっていきます。

会社全体が、効率のよい働き方をしなくては、疲弊していきます。そうでない組織は、女性、若手、外国人を中心に、優秀な人材に選ばれにくくなっていきます。社員が変わるのを待っていては、疲弊してしまいますし、大きく環境から変えてしまうことの方が、早いのではないでしょうか。

そのための方法として、ノー残業デーはよくある例です。さらにその他にも、思い切ってシステム化をはかり、ある一定の仕事を人が手を動かさなくても出来る状態に転換したり、評価制度の見直しをし、時間ではないところで評価できるような見える化をはかったりなど、会社の体質を大きく変えてしまう方法もあります。

環境が変化すれば、最初は抵抗していた人も徐々になじんでいきます。現実を実感すれば、変わらなくては、とようやく気付くこともあります。もちろん、それでも変わらない人は昔から存在しますが、7-8割の人間が変われば、風土は変わります。

徐々に社員のことを思って変えていきたい、急に変えるのは難しい、と思っていることこそ、変化が苦手な証拠かもしれません。