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2020年07月28日

withコロナ時代における研修の在り方

新型コロナウィルスの影響で、対応に追われている人事部の方の大変そうな状況を度々耳にします。誰もが正解がわからない中、上層部からの方針に基づき、在宅勤務か、オンラインのツールはどうするのか、という目の前の対応から、採用計画、教育計画に至るまで、見直しを掛けています。

採用を一斉に取りやめのところもあれば、長い目でみて会社の将来の発展を考えると、人材確保はストップさせない、という方針から採用は継続、しかし、やみ雲に採用するのではなく、本当に必要なポジションとそれに見合う人材か、を精査して採用計画を見直す。このような対応をされているようです。

採用と同じように、研修の見直しを掛けている企業も多く、実施の可否、内容、実施方法の見直しを掛けている企業が多い様子です。

私は、講師として企業研修のご依頼を受けることが多いのですが、4月から6月前半くらいまでに予定されていた研修は、ペンディング、または夏か秋に日程変更されたものが増えました。

そして、いつ収まるかわからないコロナの状況を見つつ、秋冬に実施予定のすべての研修をオンラインに切り替えることに決めた、というご連絡とご依頼が最近増えています。

そんな中、今回は、今後の研修の在り方について、考えてみたいと思います。

社員研修は将来への投資である

まず、オンラインオフラインそれぞれの特徴を挙げてみますと、

【オンライン】

  • 遠方勤務の社員も移動の必要がない
  • ブレイクアウトセッション機能がついているズームなどではグループワークが可能
  • 受講者も講師も長時間の集中力が持たない
  • その場の温度を実際に体感することができない
  • 顔の表情など変化がわかりづらい
  • 受講環境によって集中できないことがある

【オフライン(集合研修)】

  • 社員が集まることでネットワーキングの意味も大きい
  • 懇親会や宿泊など、つながりができる
  • お互いの変化に気づきやすい
  • 仕事を離れて集中して受講できる
  • 移動に時間やコストがかかる
  • ホワイトボードなどを使ってアイデアを出しやすい

比較してみますと、それぞれ良い点も悪い点もあります。両方を実施してみたことで、これからの研修のスタイルを見直すことにもつながった、とおっしゃる担当者もいました。例えば、オンラインとオフラインを組み合わせたり、時間・回数やコストの見直し、対象者の見直しなどです。一方で、この機に研修をストップされた会社や業界もありました。例えば旅行業、飲食業は、教育費の捻出がままならない、という状況で、本当はやる必要は感じているが、今は目の前のことを解決しなくてはならない、と。

教育は、目先の課題解決のためではなく、将来への投資ですから、余裕がなければ、当然そこには、時間やコストは掛けられません。

しかし、一方でコロナが経営に及ぼす影響が少ない企業でも今年度は研修はすべてやらない、と決めたところもあります。「本当はやった方がいい研修もあるはずなんですが、上の方針でストップせざるをえなくて」そんな苦悩の声を研修担当の方からお伺いしたこともありました。先に述べましたが、教育は目先の解決ではなく、将来への投資のためです。数年後に及ぼす影響を考えたら、本当はやるべきだ、と頭を抱えていらっしゃいました。

教育はストップすると後戻りしてしまう

さて、私がお手伝いさせていただいているテーマの多くは、ダイバーシティ推進、女性活躍推進です。コロナの影響により、今期はやらない、と決定される会社が増えるのでは、と予想していたのですが、まったくそんなことはなく、ほとんどの企業が実施の方向で話が進んでいます。

やり続ける理由をお伺いしたら、

  • ダイバーシティ推進は自社の将来にとって大切な課題だから
  • 毎年実施しているのにこのテーマを急に辞めたら、社員の特に女性たちから、形だけの女性活躍推進だったのでは?と信頼を失うことにもなる

といったお話でした。

このテーマは、過去に何度も世の中の状況が悪くなると予算を削られ、ストップしてきました。そのたびに折角途中まで進めていたのに後戻り。この繰り返しでした。よってなかなか女性活躍やダイバーシティが進まない、という結果に。

コロナだけでない、グローバルの中での日本の競争力を考えたら、教育研修はやり続ける必要がある、そんな判断をされる企業が多いことに良い意味で驚かされます。

オンラインで様々なことが可能になる

ちなみに、オンライン研修で受講者のマインドアップを図ってほしい、というご依頼があった時、それはリアルの集合研修でないと難しいのでは・・・と本音では思っていたのですが、オンライン研修後、受講者の発表の中に「オンラインの方が集合研修と違って緊張せず、リラックスして受けられた。ブレイクアウトセッションでは、みんなが近く感じられたし、講師も回ってきて少人数で一緒にまざって話せたので親近感がわいてよかった、楽しかったです」との声がありました。確かに集合研修だからといって、みんながマインドアップするわけでもないですし、また、オンラインでも関わり方、進め方次第でいくらでも様々なことが可能になる、ということを実感しています。

ますますオンラインセミナーが世の中にとって当たり前のこととなっていきます。今、教育研修担当者は、そのノウハウを蓄積させている真っ最中。そして、受講者も何度もオンラインで受講することで、徐々に慣れてきている様子。

未来の教育の形の一片が今、見えてきたように感じます。

藤井佐和子

藤井佐和子

藤井佐和子ふじいさわこ

キャリアアドバイザー

個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…

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