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2010年12月01日

講演会では自分のやってきたことだけを正直に語る

流行りの大風邪をひいてしまいまして、辛いのなんのって。
60を過ぎたせいなのでしょうか、風邪ごときでこんなにのたうちまわるとは思ってもみませんでした。咳、痰、発熱。39度を超える発熱なんて近頃めったになかったですが、ホント辛いもんですね。体のあちこちが痛くて。

原因は3歳になった息子の国太郎です。保育園から貰ってきたらしい風邪でゴホゴホやっているのがかわいそうで、ずっと抱きしめていました。もちろん顔に向かって咳をされたってそむけることもなく、まともに受け止めていたのです。当然のように次の日、ちょっと喉に違和感が。でもその日は福井の中学校で全校生徒と父兄と教職員さんたちが集まるところで90分の講演会。

年齢も立場も極端に異なる聴衆の前での講演が一番やりにくいと思っているのは、僕だけではないでしょう。ターゲットを絞り込めず、手さぐりであっちこちに話が飛んでしまうのです。内容の希薄さや話術の下手さを声量でカバーして今日まで凌いできました。大きな声で何とか聴衆の気持を引き止めようと、身振り手振りも混ぜて、口角泡を飛ばす大熱演。言いたいことが伝わってないな、と思う時ほど声が大きくなり、大げさなパフォーマンスになります。この日がそうでした。どうにかこうにか、目標地点に着地することはできたのですが、終わってみたら声はガラガラ。汗びっしょりだったのです。

次の日がゴルフ。寒い風が吹くこの季節のゴルフがこんな体にいい訳ありません。不甲斐ない散々なスコアを体調のせいにはできませんが、微熱があるときのゴルフほど、思うように打てないものだと思い知りました。その次の日の講演会は、全国から集まってきた農業法人さんの協会の集まりでしたが、前日のゴルフのように、思うように会話のヒットが打てない苛立ち。必然今回も大きな声になってゆくのが分かりました。

ガラガラ声になって、その次の日もゴルフ。体調管理も講師の心得の大切なひとつですから、こんなときゴルフなんて言語道断と叱られますが、自分の場合、自宅で静養するより好きなことしている方が圧倒的に治りが早い。早かったのです、今までは。今回はそうはいきませんでした。常識的に風邪は悪化してゆき、その次の日の四日市市での講演会も大変でした。

後ろめたさ、申し訳なさから、自分なりに懸命にしゃべったつもりで、それなりの成果はあったと思います。かえって体調万全の時よりも集中力は増していたかも、です。一点だけ、近頃お気に入りの「健康だから好きなことが出来るのではなく、好きなことをやっているから健康なのだ」と言う自説の反応が、いつもほどではなかったのですが、考えてみれば当たり前。ゲホゴホ言っている病弱な人間に、健康についての能書き言われても迷惑な話でしたね。

健康について語りたければまず自ら健康でなければ、と思い知ったのです。言っていることとやっていることの乖離に、聴衆はとても敏感です。それに、自分のことを棚に上げての知ったかぶりや、どこかで見聞きした話題や情報を、出典を明らかにせずに自分のこととして語るのは講演のルール違反。でもなぁ、そんなこと厳密にチェックされ始めたら、一言もしゃべれなくなってしまうのかも。三回ぐらいは「誰だれさんに聞いた話ですが…」と正直に言っていますが、それ以降は「僕は思うんですが…」といつのまにか自分が考えたかのような言い方をしています。

体調不良をどんなに隠そうとしても、一時間以上もしゃべっていたら必ずバレてしまいます。今回の経験によって、これからはさらに、自分のやってきたこと、やっていることだけ、より正直に語ることにしようと心に誓ったのです。

清水国明

清水国明

清水国明しみずくにあき

タレント

「あのねのね」で一世を風靡。芸能界きってのアウトドア派、スローライフ実践者としても知られ、子ども達の生きる力を育むための自然体験イベント等を積極的に実施している。また自然と共に生きる自身の経験から、シ…

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