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コラム 人権・福祉

2010年04月05日

「制度」でなく「人」が創る介護へ

 2000年4月に始まった介護保険制度が始まり、同制度のもとで介護サービスを提供する事業者の数は激増しました。しかし、ここへきて「利用者が制度のサービスを選ぶのではなく、サービスが人を選ぶ」事態も起きています。

 埼玉県坂戸市にある福祉施設「元気な亀さん」は、代表の瀧本信吉さんが掲げる「今困っている人をすぐに支援する」という理念を実践するため、介護保険制度にのらない自主運営を行っています。
瀧本さんによると、徘徊(あてもなく歩きまわること)が激しいなどの理由で、この2、3年、施設やグループホーム(認知症の人を少人数でケアする)から退去勧告を受けて、ここにたどり着く利用者が増えているそうです。

介護の次世代リーダーたち

 4月17日より公開されるドキュメンタリー映画「ただいま それぞれの居場所」(企画・製作・監督 大宮浩一)は、「元気な亀さん」の日常のほか、現在の介護サービスのあり方にジレンマを感じ、自ら理想とする介護を実現させようと施設や事業所を立ち上げる若者の姿が描かかれています。

 そのひとり、石井英寿(1975年生まれ)さんは、大規模施設に8年勤務し、食事・入浴・排泄の介助を流れ作業で行う画一的なサービスに違和感を抱き、独立。現在は、自らの夢である高齢者と障がい者、子どもが一緒にいられる居場所作りを目指して日々奮闘しています。
 お年寄りや障がい者を日中の一定時間預かるデイサービスなどを行う伊藤英樹さん(1971年生まれ)さんは、フリーターやひきこもりを経験。この施設を開いたことで「自分の居場所もできた」と話していました。

 マスコミでは、人手不足や低賃金などネガティブな面をクローズアップして介護現場の現状を伝えていますが、自分たちの介護を創っていこうとする若者もいるのです。個性のある介護が各地で育っていくことを期待します。そして、現在、介護現場で働くあなたには、現在の業務のあり方を見直したり、「自分の居場所」を求めて働く気概をもってほしいと感じます。

 ちなみに、映画に登場する施設は、利用者が徘徊しないように「鍵」をかけている施設はありません。

「煩わしさ」から逃れるべく、人との関係に鍵をかけがちな今の格差社会には、他人よりも自分の収入、自分のキャリアの追求を求める人も多いでしょう。
 しかし、今の社会は、認知症の高齢者や知的障がい者にとっての生きやすい場所なのでしょうか。
 彼らを社会という枠組みからオミットするのも人。
 そして、彼らの居場所をつくり、ともに寄り添って生活していこうとするのもまた人、です。

小山朝子

小山朝子

小山朝子こやまあさこ

介護ジャーナリスト/介護福祉士

9年8カ月にわたり洋画家の祖母を介護。その経験から全国各地で講演し、執筆活動や各メディアにコメントする。介護のノウハウや介護現場の「今」をわかりやすく伝えており、「当事者と専門家、ふたつの立場からの説…

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