タイトルにある言葉は、2023年にAI半導体最大手エヌビディアCEOのジェン・スン・ファン氏が語った言葉とされますが、調べてみると、同じ意味合いの言葉はいろいろな人が語っているようです。
10年ほど前に、野村総合研究所が「10〜20年以内に、日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」という内容のレポートを発表しました。しかし10年を経て、AIが何かの職業を完全に置き換えた、ということはまだ無いのではないでしょうか。一方で2022年末に公開された生成AIは、2年半を経て劇的に進化し、人々の仕事のやり方を変革しています。今後、生産性や効率においてAIを使う人とそうでない人の格差は広がることが予想されますが、それによって就労や給与レベルに影響が出るということになれば、ファン氏の言葉が現実味を帯びてきます。
とはいえ、一部の先進的な企業以外では、業務現場でのAI活用は思ったほど進んでいない、という見方もあります。これは、以前DXが進まない理由の時にも書きましたが、現場の「変わりたくないバイアス」が一因なのかもしれません。長年改善を続け、慣れ親しみ、これまでうまくいっていた業務プロセスを、「このままでは駄目だ」という理由だけでわざわざ変えるのは、業務の停止や停滞など、現場にとっては大きなリスクになります。経営者側としても、そこまでリスクをとれないという場合が多いでしょう。
しかし、環境は外側から変わっていくのかもしれません。全国大学生活協同組合連合会が昨年10-11月に行った1万人規模の学生生活実態調査では、学生の50%がAIを継続的に利用している、ということです。「利用したが今はしていない」を含めると全体の7割近くになります。これは、同時期の社会人への調査(調査によってかなりバラつきがありますが)と比べても非常に高い数値です。これらの学生が新入社員として入社してきたとき、何が起こるのでしょうか?彼らには「これまではこれでうまくいっていた。」という成功体験はありません。「この仕事は、AIに任せた方が良いのでは?」という発想は自然に生まれるでしょう。
これまでは、企業を変えていくためには業務経験と知識が必要でした。しかしその経験や知識がAIに学習される時代になると、デジタルネイティブな世代が企業を変えていく時代になるのかも知れません。
大越章司おおこししょうじ
株式会社アプライド・マーケティング 代表取締役
外資系/国産、ハードウェア/ソフトウェアと、幅広い業種/技術分野で営業/マーケティングを経験。現在は独立してIT企業のマーケティングをお手伝いしています。 様々な業種/技術を経験しているため、IT技…
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