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人生最大の危機 <国内編> ~戦場カメラマン 渡部陽一~

渡部陽一

戦場カメラマン

人生最大の危機を教えてください。

カメラマンでありながら長い間、写真を全く使ってもらえず、戦場取材への飛行機代はもちろん生活費までも確保することが困難を極めていた日々が忘れられません。
世界の現場に飛び込む費用をいかに素早く確実に手にできるのか?
金銭の不足という葛藤の中、理屈抜きで日雇いの仕事に飛び込み、日当でいただける日銭をコツコツとためていき、生活の基盤と戦場取材の費用を綱渡りでまかなっていました。

その時の状況や危機が発生した原因を教えてください。

写真を使ってもらえない理由を、自分自身で正確に理解していなかったことが挙げられます。
世界情勢のもつ情報の速さや国内情勢との比較、つながり。取材の構成、写真そのものが持つインパクトなど報道写真として一枚の写真がもつ力を発揮できずにいました。取材の動き方や発表の仕方が手探りであった記憶があります。現場に入り続けること、シャッターを丁寧にきり続けていくこと、考えれば考えるほど、問題提起ができず消化していくことが鈍っていた気がします。

危機とどのように向き合い、乗り越えたのですか?

いかに早く確実に、取材時期を見据えた生活費と取材費の貯蓄計画を立てられるかをイメージしました。
週単位や月単位で仕事を組んでいくシフト制のアルバイトよりも、一日一日を基点とする日雇いの仕事のほうが、正確にリズムをもって資金をためて取材に飛び回れることに気がつきました。一日一日絶対に欠勤をせずに仕事場へ足を運び、取材で外国に飛び出す折には前もって取材期間を仕事先に伝えることで帰国してからの日雇いの仕事をまわしてもらえることにも安心感を得ていました。こまめな連絡と写真を撮る為の取材が柱であるという道筋を固めることで定期的にリズムをもって世界に飛び出すことができました。

最大の危機に直面したご経験から、どのようなことが得られましたか?

明確なビジョン、目的を定めてしまうこと。そこに向かってシンプルに、繰り返される日常に体を慣らすことで、目的がはっきりしていると気持ちが弱くなっても、ぶれない自分を意識することができると感じました。それぞれ、その折々の環境に、身を任せることが、長い時間がかかっても目的を引き寄せることができるはじめの一歩の環境づくりのような気がしました。

最後に、人生の危機に直面している人へ向けてアドバイスをお願いします。

焦らないこと。引く勇気をもつこと。
この二つが混乱期に冷静な判断力を引き寄せてくれる気がします。自分で納得をし、決断をした行動であれば、時間がかかっても忍耐力を保ちながら目標をたぐっていくことができると感じます。あせらないこと、シンプルですが、この動きが意外と気持ちと体のバランスを整えたまま底力を与えてくれる切り札のような気がします。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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