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2013年03月25日

若手社員の気持ちを掴む魔法の言葉

 桜前線が駆け足で北上してきています。春の到来ですね。
4月から新社会人となる皆さんは、期待に胸を膨らませていることでしょう。
一方、新入社員を迎える管理職の方々は、「今年はどんな新人がくるのだろうか」と、少しばかり不安を感じているかもしれません。

 若い社員の気持ちを、どうやってつかむのか。
ビジネスマンなら誰もが直面するテーマです。

私はサッカーの指導者として、プロ選手はもちろん中学生や高校生などの年代とも接してきました。サッカーが好きで、サッカーがうまくなりたいと願う子 どもたちばかりですが、中学生や高校生には友人との付き合い方、進学、恋愛など、年代に応じた悩みがあります。好きなサッカーではありますが、練習に気持ちが入らないときもあります。

 あなたなら、どうしますか?
私は「どうした?何かあったか?」と問いかけます。

 中学生や高校生は多感な時期ですから、「どうした?」と聞いてもすぐに本音を明かさないかもしれません。「いや、別に」とか「何でもないです」と、伏目がちに答えることもあるでしょう。

 ここで、選手を追い詰めてはいけません。
「それなら、しっかりやれ!」などと言ったら、さらに気持ちが遠ざかってしまいます。
「何でもないと言うけれど、いつものプレーじゃないな」とか、「ケガをしたら困るから、いつものように集中して練習をしよう」といった言葉が良いでしょう。選手を精神的に追い詰めてはいけません。

 そのうえで、選手を観察します。次の練習でも思い悩んでいる様子がうかがえたら、もう一度「何かあったか?」と声をかけます。アスリートでもビジネスマンでも、失敗や挫折のない人生など有り得ません。躓き、転んで、それでも何とか前進していくものです。

 私が知る一流の選手たちも、悩み、苦しむことがありました。レベルが上がるほど、競技について考えることはより深く、より高度になります。結婚したり、子どもができたりすれば、プライベートでも考えることは増えます。しかし、一流と呼ばれる選手たちは、そんなときでもプレーに集中します。

 なぜか。自分がこうなりたいという目標に、ブレがないからです。悩んだり失敗したりすることも、振り返ってみれば自分の成長につながるということを、彼らは経験として理解しているのです。

 ビジネス経験豊富な管理職の方々から見れば、「彼はやる気が見えないな」とか、「意欲が感じられないな」いう部下がいるかもしれません。
感情表現は人それぞれです。サッカー選手にも、闘志を全面に押し出すタイプがいれば、闘志を内に秘めた選手もいます。けれど、一生懸命にプレーすることは、どちらも変わりません。「意欲が感じられないな」という部下も、必死になって働いている可能性はあります。

 それだけに、自分の価値観を部下に押しつけるのは避けるべきです。「こうあるべきだ」と部下を決めつけるのではなく、それぞれの個性をパズルのようにはめ込み、組織を構築していくべきだと思います。 小さな成功、小さな進歩を認めて評価すれば、部下の心にモチベーションが芽生えます。

 20歳も30歳も年齢が離れた部下の悩みを解決するのは、難しいかもしれません。けれど、悩みがあるという事実を受け入れることで、部下にかける言葉も変わってくるはずです。「キミはこうじゃなきゃいけないんだ」ではなく、「キミはこんなこともできるんだね」というひと言が、組織への忠誠心をかきたてます。

 上司としてもっとも避けるべきは、「オレはちゃんと言ってるんだけど、部下がやらないんだよ」という愚痴です。部下は自分の鏡なのですから。

山本昌邦

山本昌邦

山本昌邦やまもとまさくに

NHKサッカー解説者

1995年のワールドユース日本代表コーチ就任以降10数年に渡って、日本代表の各世代の監督およびコーチを歴任し、名実ともに日本のサッカー界を牽引してきた山本氏。山本氏の指導のもと、成長をとげた選手達は軒…

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