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2012年02月24日

サッカーも東南アジアマーケットへ

14-1.jpg Jリーグのシーズンオフを利用して、1月中旬にインドネシアへ出かけてきました。
 インドネシアのスポーツと言えば、すぐに思い浮かぶのはバドミントンでしょう。オリンピックのメダリストを輩出している強豪国です。

 国際的な競技力ではバドミントンに及ばないものの、サッカーは国内ナンバー1の人気スポーツです。強豪チーム同士の対戦では、5万人規模のスタジアムが満員なるそうです。ナショナルチームのゲームになると、10万人の観衆が集まるとか! 

 思い返せば、2007年に東南アジア4か国で共催されたアジアカップでも、決勝戦の舞台はインドネシアの首都ジャカルタでした。サッカーは人気スポーツとして定着しているのです。

 個人的にも印象深い国です。
 日本の男子サッカーが史上初めてアジアの予選を突破し、世界大会出場を決めた場所が、他ならぬジャカルタだったのです。1994年に行なわれたアジアユースU-19選手権でした。中田英寿選手や故・松田直樹選手が出場したこの大会に、私はU-19日本代表のコーチとして関わっていました。日本の男子サッカーは、ここから世界の舞台へ飛び出していくことになります。

 話を戻しましょう。2012年のシーズンから、インドネシアでJリーグのテレビ放映が始まるそうです。世界第4位の人口を誇るインドネシアは、農業国でありながら鉱業資源に恵まれています。首都ジャカルタは東南アジア屈指の世界都市──世界に影響力を持った都市のひとつです。国としてのポテンシャルや将来性は高いと言えるでしょう。

14-2.jpg サッカー界にとっては、大きなビジネスチャンスの到来です。テレビ放映される国が増えれば、スポンサーメリットは拡がります。選手が着るユニホーム、ピッチを取り囲む広告の価値が高まる。インドネシアをはじめとする東南アジアでビジネスを展開する日本企業が、Jリーグに注目するかもしれません。人気スポーツのサッカーをサポートするのは、ブランドイメージのアップにつながるはずだからです。

 一方、インドネシア国内の企業も、Jリーグのブランド力に注目するかもしれません。ヨーロッパへ向いている東南アジア各国企業の視線を、Jリーグへ向けさせる好機です。

 通常の外国人枠と別にアジア人選手を登録できる「アジア枠」を使って、インドネシアの選手を獲得するのもいい。代表選手がJリーグでプレーすることになれば、現地では相当なニュースになる。インドネシア初のJリーガーが誕生すれば、移籍先のクラブのスポンサーに名乗り出る企業が出てくると思いますね。

 Jリーグの認知度が高まってくれば、ユニホームやグッズなどの販路拡大になります。現地で生産し、現地で販売できれば、コスト的にもムダがないでしょうね。消費は景気の動向に左右されますが、人口が多い国のほうが消費される可能性が高いのは間違いありません。インドネシアの人口は、日本のほぼ倍に相当します。非常に魅力的な市場と言えるでしょう。

 東南アジアは合宿地としても魅力的です。 現地でトレーニングをして、地元クラブと練習試合をすれば、クラブの宣伝になる。現在のような円高が続くのであれば(国内経済の観点からは、決して歓迎できませんが)、海外でのキャンプは費用的なメリットもある。うっかりすると、国内合宿より安上がりです。インドネシアなら、時差もほとんどありません。

 ヨーロッパのクラブが東南アジアを重要なマーケットと位置付けているのは、以前にも述べたとおりです(※Vol.7『Jリーグの生き残りには”アジア”が鍵』)。さらに加えて、南米のクラブも東南アジア市場に触手を伸ばしつつあります。選手を獲得しているクラブもすでにある。

 やがて訪れる高齢化社会を見据えると、スポーツも日本国内だけの経済循環では行き詰まってしまうと感じます。サッカー界も例外でありません。人も、モノも、行き来を活発にして、積極的に国外へマーケットを求めていくべきでしょう。

 
 

山本昌邦

山本昌邦

山本昌邦やまもとまさくに

NHKサッカー解説者

1995年のワールドユース日本代表コーチ就任以降10数年に渡って、日本代表の各世代の監督およびコーチを歴任し、名実ともに日本のサッカー界を牽引してきた山本氏。山本氏の指導のもと、成長をとげた選手達は軒…

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