2014年11月01日

小学校の学級人数とクラス編成

財務省の諮問機関である財政制度等審議会が、2011年度に制度化した公立小学校1年生の35人学級を従来の40人に戻すう文部科学省に求める方針であるというニュースを拝見しました。今回はこのトピックについて私になりに思うところを述べさせて頂きたいと思っているのですが、まず論点整理の意味合いでどんな報道がなされたのかを説明しておきたいと思います。

 

以下新聞報道を抜粋)財政審としては「きめ細かな指導を目指して導入したが、財政負担増にもかかわらず、いじめや暴力抑制の明確な効果が認められないと主張した。財務省の試算によると、40人学級に戻した場合、義務教育費国庫負担金を年間86億円削減できる。」という言い分。

 

確かに国の財政を考えれば、成果の上がっていない分野に関しては見直しや切りつめられる部分は切りつめたいという理論は成り立つのですが、教育現場では成果を上げたくとも上げられない極めて困難な実情があり、そう簡単なことではないようです。しかも年々その問題の内容が複雑化、多様化していっていると伺います。

 

学力の向上は当然のこと、例えば、子供達と向き合う時間を取りたいと思っても、授業以外の事務作業の膨大な量を抱え、不登校、いじめ(いじめもSNSなどの使用で顕在化しにくい)、特別な支援が必要とされる生徒の対応、災害・不審者・交通などの安全対策、地域や保護者からの要望のそれらの対応に追われていることの方が多く、昔とは抱える問題の質や量がずいぶんと変化していると悲痛とも感じられる現場からの声を聞きます。

 

私自身もスポーツの指導を通じて、公立学校の教育現場でも起こりうるであろう問題点に向き合う日々です。今担当している選手は9人ですが、たったの9人でも、年齢差、体力差、技術差があり、それぞれの段階にあった能力を引き出していくために、練習の仕方やメニューの立て方、声の掛け方に試行錯誤の連続。それが35人、さらに40人に戻る...と想像をするだけで、一人の担任や担当者だけでは到底子供達全員を細やかに見てあげられそうにない気がします。数字やデータの上で成果が上がっていないからと、こと教育の分野においては以前に戻す判断をしてしまっていいのか、国民的議論が必要だと思います。

 

さらに今回の件を考えるうちに個人的に思ったことは、1クラスの人数の議論にとどまらず、子供が最大限に能力を伸ばせるようにするときに、スポーツにおいては技術の習得度別にチーム編成がなされ、その習得度に見合った内容のトレーニングや、あるチームはじっくり基礎を鍛える、またあるチームは新しい技に挑戦するなど、そうすることでそれぞれの段階での達成感を味わい、それによってそれぞれが確実なステップアップをしていくことができると考えられています。

 

さらに選手同士で技術を教え合ったり、まだある技術を獲得できていない選手が技術を獲得できている選手に貪欲にやり方を聞きに行くなど、教え合うことなどは常識の概念と言ってもいいと思うのですが(保護者の方もスポーツでは理解を頂いています)、なぜか日本の公教育の現場では習熟度や能力別に編成をすることはタブー視されてきました。

 

格付けされているというような捉え方だったり、機会を均等に与えられていないという捉え方だったり、とにかくそこにアレルギー反応があるように感じます。しかし学習もスポーツも伸びる時期やスピードはそれぞれに違いがあります。にも関わらず、どの子供にも当てはまらない中間的な授業内容やカリキュラムで授業が組まれ、習得度の高い子は学校がつまらなく感じたり、あるいは、ゆっくり理解していきたい子にとっては、これもまたついていけない苦痛な時間になってしまっているのではないか?と思うのです。どちらにとってもあまり幸せではないような気がします。

 

いつも先生に向かってただ机を向け聞くのみだった授業が、得意な教科や好きな教科はどんどん新しいことを学べるクラスに、ちょっと基本がわかっていない不安な教科なら先生がじっくり教えてくれるクラスにという具合に、教科によって編成も良いし、先生が見守りながら生徒同士で教え合ったりする時間を持ったりするだけで、インプットとアウトプットの効果で知識の定着に繋がったり、より深い理解が生まれたりするのではないでしょうか。またそれぞれの多様性を学び合うために習得度別クラス以外に、合同の授業や共同作業にも別建てでしっかりと取り組み、社会性を学ぶ。そんな考え方は公教育に当てはまらないでしょうか。

 

あくまでも個人的な考えなので、現場にそぐわないかもしれませんが、色んな方向性を考えてみることもこれからの日本にとって必要なことのように思います。子供が「できた!」「わかった!」「次は何を学べる?」とこんな気持ちになれる環境がこれからの日本の未来の姿に大きく関わっていると思います。