2007年08月01日

「学校向け講演キャラバン」のスタート

学校向け講演キャラバンがスタートしました。私自身、ずっと楽しみに待っていた企画のスタートと言えます。

引退してからもうすぐ3年が過ぎようとしていますが、講演は現役引退直後からずっと続けてきたことの一つです。緊張でガチガチのデビュー戦から少しずつではありますが、言葉が途切れずつながるようになり、過去の自分と現在の自分を改めて振り返り。そして講演を続けることで想いの記憶が鮮明に浮かび上がり、そうすることで考えが整理され、そして新たな自分の側面に気づき...。講演は人に対してメッセージを発信するだけでなく、知らないうちに自分の心の内側に向かってメッセージを発信している、そんな風に思う今日この頃です。

様々な職種と年齢層の方を対象に講演を続けさせて頂いて、一つ、ふと湧き上がってきた思いがありました。それが、「学生さん向きにメッセージを伝える機会がもっと増えないだろうか?」ということでした。できるだけ多感な時期に。私自身、学生時代は一番悩んだ時期でした。そして思い返せば自分にとっても人生の中で最も感受性が豊かで、<オリンピックに出たい>という確固たる目標を持つことができたことで、様々なことを学べた貴重な時期だったとも思うのです。そんな自分の経験をお話することで、少しでも学生さんたちが<明日>をよりよいものにしてゆくためのヒントになればと思ったのです。

前置きが長くなりました。キャラバンがスタートして立て続けに2校を回りました。その中で、私が新鮮に感じたことをご紹介しましょう。

生徒会の役員スタッフの生徒さん主動で全校生徒にアンケートで聞いてみたいことを事前に募り、その質問事項を箇条書きでまとめて下さったものを頂きました。これまでの講演の進め方としては最後に少しだけ質疑応答の時間を取るか、あるいは講演のお話のみで締めくくるかのどちらかでしたが、学生さんたちの質問に、自らが触発された、とでも言いましょうか、「今日は進め方を変えよう。その質問の全てに答える方法でやってみよう」と私の中で冒険心が湧きました。

また、講演でお世話になっている会社や所属している会社からのアドバイスでもありましたが、今の私の状態は、まだまだ"学生に近い年齢"で、"選手を引退してからの年月が浅い"ということもあり、彼らの質問に答えるというダイレクトでインタラクティブな交流をするほうが、学生さんにリアリティと親近感を持ってもらえるのではないか、ということも挙げられると思ったのです。自分自身も「今だからこそ」できる方法で皆さんと交流したいと強く感じました。その考えの下、できるだけストレートな言葉で熱く思いを込めて質問に答えていこうと、新しい試みをしてみたのです。

自己満足な部分があるかもしれません。しかし、その試みは成功したように思いました。とても場内が和やかな雰囲気に包まれていて、演台から近い学生さんと目が合ったときも熱心に頷きながらお話を聞いてくれていました。突然振った質問にも答えてくれました。そして私も質問に答えながら、当時の悩みや葛藤、それを乗り越えたと感じた瞬間の喜びの記憶が蘇ってきて、ほろ苦いような甘酸っぱいような何ともいえない気持ちがじわーっと込み上げてきました。

頂いた質問の中で共通することは、いわゆる壁や限界や緊張への「乗り越え方」でした。学生さんに一番お伝えしたいのは、自分の可能性を信じてやり抜く意志を持つこと。人間は100%の力があるとしたら、その能力の30%ぐらいしか実際は使えていなくて、その限界点の設定を自分の意志で変えることができれば、使っていなかった70%が自由なものになるのです。

選手時代、余力を残して練習してしまう私に対して、コーチが口を酸っぱくして言って下さっていた言葉です。その言葉の本当の意味を探って探り当てたとき、試合本番で本当に「私は何があっても大丈夫」とぐっと腹を据えられる自信を持てました。いきなり高い壁を越える必要はありません。明日でも、今からでもすぐに乗り越えられる壁から挑戦して、越えられた喜びと達成感をしっかり味わい記憶に残していくのです。すると、「次はこれならできるかも...」とか「私、前へ進んでいる!このままいけばできるかもしれない!」と繋がっていくのです。

こんなお話をしていても、実際のところ私も発展途上で自分の至らなさや未熟さに自己嫌悪したり、反省したりその繰り返しです。始まったばかりの学生向け講演キャラバンでは、学生の皆さんや先生方と共に私も成長していければと思っています。「使っていない70%を使おう!」を合言葉に頑張りたいと思います。